ペンションアミーゴの壁には大きなメキシコシティの地図。
ひときわ興味を抱いたのは、シウダデラ市場。
メキシコ全土からの民芸品が集まる。
200店舗が軒を連ねる。
今日の午後にはテオティワカン遺跡のバスに乗りたい私たちである。
ちょっとだけよ、の、つもりで覗いた市場で大興奮。
美しい刺繍のブラウス。
革細工の靴や鞄。
細かい銀細工のアクセサリー。
凝ったデザインの分厚いタイル。
お茶目な人形。
カラフルなギター。
全部欲しい。
ガイドブックには、値切ってみよう!
と、ある。
しかし、こんなに美しく、手の込んだものが、日本人のわたしからすると、もう、安いのだ。
130ペソ
と、言われるので、頭でペソから円に計算する。
わたしの黙る姿が考えているように見えるのだろう。
じゃあ、120でいいよ。
え。なんにも言わないでいたら、下がった。
二つちょうだい。
なら、230でいい。
と、いう感じ。
あんまり、安く値切る事ばかり考えないで、この美しい物を欲しいと、誠実な態度の旅人でいるほうが、気持ちいい買い物ができる気がする。
刺繍ブラウスとビーズのアクセサリーの店では、女の店員さんと、
これがかわいい、あれがかわいい
と、女子トークになるのが面白かった。
別珍のような、リッチな刺繍のバックの店では、白人のマダムが山のように商品を持ってこさせて、選り分けているのが、ちょっと偉そうだった。
わたしたちは、そっと、小さなバックを言い値で買った。
狭い通りを歩くと、いきなりおじいさんに、
ほとんどダダ!
と、日本語で声をかけられた。
逃げるようにして、駆け抜けた。
出会う角、新しい通りの店はいつも目新しく、また、素敵な物に出会ってしまうので、
最後は、娘と、
もう、見ないよー!と、半べそかいて出口目指して走った。
ものすごかった。
素敵で美しくて、色彩に溢れていた。
メキシコの人々の生活のエネルギーが、百花繚乱、ひしめいている市場だった。
これから、テオティワカン遺跡に行くというのに、荷物の量が増えてしまった。
でも、素敵な物が、このリュックに詰まっていると思うと、そんなに重さは感じないのだった。