さて!寝てるわけには、いかないよ!
もう観光はどうでもよくなっている娘を叩き起こす。
2日でメキシコシティの全部を見るくらいのつもりのわたしである。
しかし、すぐにそんなのは戯言だと思い知る。
コヨアカン地区にあるフリーダカーロの美術館から、北上してメキシコシティを攻めようというわたしの計画。
なのだが、
メキシコシティはでかい。
2ブロック先だよ。
の、2ブロックのでかさ!
しかも、小さな通りは地図にでていないから、迷う迷う。
おまけに、露店の雑貨が可愛くて足を止め、
搾りたてのジュースの誘惑に足を止め、
腹が減っては戦ができないので、タコスの屋台で小休止。
フリーダカーロ美術館から、タクシーで、
フリーダとディエゴリベラの暮らした家へ。
歩きに歩いて地下鉄の駅へ。
リスの群がる公園を抜けて、国立文化人類博物館へ。アウトラロピテクスの模型と並んで写真を撮る。
もう、その頃にはヘロヘロである。
気がつけば午後6時。
地下鉄に乗って、宿に戻ろうとするも、時間が帰宅ラッシュに入っているよう。
メキシコシティのラッシュ時の地下鉄は、地獄の沙汰だと耳にしていたので、どうする?
はてさて、タクシーだといくらかかっちゃうのかな。
などとはなしながら歩いていると、大きなスタジアムの前から、トリバス!
(多分トリップバスの事)
二階建ての屋根が座席になっている、浮かれた観光バスである。
わたしたちの目指す地区に行くか聞いてみると、うまいこと、行くという。
でも、1日違う路線にも乗り放題で140ペソ。1000円前後。
いまからじゃ、コース一周も無理だから、もったいないよとチケット売りのお兄さん。
金持ちパポンから来た、世間知らずのお嬢様二人旅行である。
ボッタクれば、いいのに!
実は我々の出会ったメキシコ人は、みんなこんな風に優しかったのである。
タクシーよりもいいから、と、頼んでトリバスに乗せてもらう。
観光名所を次々にまわり、イヤホンで日本語の説明も聞ける。
わたしは、大変このバスが気に入った。
1日乗り放題で、上手く使えばだだっ広いメキシコシティを効率的に観光できそう。
バスを降りて、地下鉄3駅で宿に最寄りの駅。
その頃、土砂降りの雨に見舞われて、タコスを食べながら雨宿り。
長い長い1日だったが、メキシコに雨が降ると安心する。
気温がぐっとさがり、埃っぽさが落ち着く。
古代から現代まで、メキシコの人々の作る建造物や小さな生活雑貨に魚のモチーフがたびたび現れる。
魚は、豊穣を表すシンボル。
雨や水や魚に、人々が抱いく想いは、水に恵まれた我々日本人とは違う重さがあるだろう。
激しい雨も、夜半には上がった。
広いメキシコの大地は、軽々と飲み干してしまったかの様に、また、なんでもない朝が来る。