成田に着いた時、雨だった。
飛行機の機体からでて、空港へ渡された廊下に出た途端、
湿り気が身体にまとわりついた。
ああ、日本だ。
わたしは、前世を全部思いだしてしまった人みたいな気分になった。
空港から、我が町の近くの駅に行くバスで帰る事にした。
バスの発車時刻まで、空港をウロウロ。
不思議な高揚感のある朝7時。
お腹が減って減って、ハンバーガーチェーン点の朝メニューを食べた。
う、うまい。
ソーセージエッグマフィンも、しっとりしている。
湿度が高い国だからなのか。
バス乗り場に行くと、後ろに並んだのが、飛行機の中で言葉を交わした青年だった。
バスを降りる駅までは一緒。
日本語は話せない、一人で、
仕事の為に来た。
スペイン語と英語と、ものすごくたくさんのゼスチャーでわたしたちは、会話した。
日本に帰ってきちゃったなあ
と、思っているわたし。
新しい土地で、これからに燃えている彼。
娘が、メキシコに行きたての頃、
そっちは、どうなの?
と、聞くと、
結局は、物事はわたしの半径何メートルで起こっているわけだからさあ、
あんまり、日本と変わらない
と、言われた。
後ろに並ぶ彼は、半径何メートルに希望を見ている。
同じように、わたしも、わたしの周りの半径何メートルに、見出せるかな。
ここが、日本だろうが、メキシコだろうが、どこだって。