クラブボクシング@ゴールドジム湘南神奈川

普通、湘南辻堂といえばサーフィンなのにボクシングでひたすら汗を流すオッさん達のうだうだ話!

声が…

2014年10月27日 | 日記
風邪引きましたな。

非常に楽しい「あの頃 朴(ぼく)は若かった」シリーズのおかげで、
ネタがない私は非常に助かっております。


それでも書いた理由。

お知らせがあるんです。

・風邪により喉が痛くて声が出ないっす。
もしかしたら当日歌えないかもです。タバコが良くないのかなぁ。
ま、いっか。

・昼休みに朴さんからの依頼文書まとめました。


早く帰って寝ますかな。






僕と佐藤先輩 2

2014年10月27日 | あの頃 朴は若かった
池袋支店で2年目のある朝、朝会が終了して8:40になっても佐藤さんは出勤してきません。

まあ、これはいつものこと。稼いでいる時はちょっと遅刻しようが支店長はあまり文句も言わないのですが、頻繁に酒臭い息で遅刻してくる佐藤さんは明らかに脇が甘すぎです。

8:50になって代表電話が鳴ります。電話を一番に取るのは新人の務めです。

「あ~朴ちゃん?オレオレ、佐藤です。支店長空いてる?ちょっと替わってくれる?あ、その前にさあ、夕べ俺さ朴ちゃんのマンションに泊まったことにしてくれる?まあ、確認の電話なんてないと思うけどさ、万一かみさんに聞かれたらそう云うからさぁ。」
遅れてくる上に外泊のアリバイ工作を手伝えという適当さに頭に来た私は
「師匠、いい加減にしてくださいよ。私、奥さんやお母様や娘さんに凄く良くして貰ってるんですよ。だから嘘は絶対嫌です!私が嘘つき呼ばわりされるのはごめんです!」
「またまたぁ朴ちゃん。堅いこと言うなよ。嫌われちゃうよ~、オレと朴ちゃんの仲じゃん。お願いするよ。」
「嫌ってくれても結構です!大体アンタ何処にいるの?もう前場が始まっちゃいますよ。いい加減にしてください!支店長に替わりますから!」
と冷たく突き放しました。支店長が
「佐藤は午前中休みだとさ。お~い朴!夕べ佐藤と一緒だったのか?」
「いいえ、私は一緒じゃありません!別の先輩といましたから。」
「あ、そう?全く佐藤はしょうがねえぁ」
そう、しょうがない人なんです。
優しいし、面倒見はいいし、仕事は出来るけど、ちゃらんぽらんなんです。

そして10:30くらいに別の電話を女性スタッフが取りました。

携帯もスマホもない時代、佐藤さんのお母様からでした。女性スタッフはしばし受話器を握ったままお母様の話を聞いているよう、そのうちに泣き出してしまいました。

電話を終えたスッタフは内容を支店長に報告します。それは

「佐藤さんの奥様が先程亡くなられた。新居の2階の階段から落ちた。落ちた時はもう即死の状態。それは打撲が原因でなく元々心臓が弱く、2人目の娘を産んで間もない時期だったので、貧血でくらっとして階段から落ちた。」

そして「階段下で倒れているお母さんを見つけたのは、当時3歳の娘さん。3歳なのにしっかりしていて、ご近所に助けを求めに行った・・・」 

師匠!アンタ何処で何してるんですか?昨日アンタがきちんと帰っていたらもしかしてこんなことにならなかったかもしれないじゃないですか?少なくても昨日は大切な時間を一緒に過ごせたはずじゃないですか?それを私にアリバイを頼んだりするなんてどうかしてるんじゃないですか?

怒りと悲しみで言葉に詰まってしまいました。

そして当の先輩からは11時くらいに支店に電話がありました。何となく自宅に電話をしたんでしょうね。そして悲報を知ってしまったんですね。

私はそれから直ぐに自宅に駆けつけて葬儀・告別式のスタッフとしてお手伝いをさせて頂きました。告別式も終え火葬場にもご一緒させて頂きました。さすがにその後ご自宅へ出向くのは憚られましたが、骨を拾い、お浄めをしているところに先輩がやってきて

「朴さぁ。いろいろありがとうね。おまえ今度結婚するんだよな。結婚式行けなくて悪いなぁ。」
「・・・・・・・」
「お前さぁ、かみさん大切にしろよ・・・」
「・・・・・・・・・」
そして2人で抱き合って泣きました。
泣いても泣いても涙が止まりませんでした。

だって、まだ3歳の長女、産まれたばかりの次女を遺して逝くなんてさぞや無念だったでしょうに。

もう28年前の夏の日のことです。

僕と佐藤先輩 1

2014年10月27日 | あの頃 朴は若かった


佐藤(仮称)さんは6つ歳上の営業課長で私の教育担当係を任ぜられた支店の先輩でした。当時、28歳。社内結婚で3歳の娘とお母様と埼玉県川口市に住んでいらっしゃいました。私は何度も自宅に招かれたり、本当にお世話になった方でした。

今回はこの愛すべき先輩について2回に分けて投稿致します。

佐藤さんは全店でトップセールスマン。口癖は「仕事は見て覚えろ!同期に負けるな!」でした。私の飛込み営業初日、佐藤さんは「じゃあさ朴、これから営業の神様の俺様が飛込みの見本を見せてやるから、よ~く見とけよ!見て身体で覚えろよ!で、もし取れたら俺の客ってことでいいよな?」と頼もしくもセコい発言をかまします。そして。

「こんにちわ~ お忙しいところすみません。私、◯◯証券会社池袋支店の佐藤ともう、え?ほんとに忙しい?でも、5分だけ?え?間に合ってる?え~‼︎名刺だけでも~ あ、ダメ?分かりましたあ。じゃあ失礼しま~す。」
「師匠ぉ ダメでしたねぇ。いくら初めてでも、ちょい酷いっすよねー⁈」
「いいか!朴。今のは悪い見本だ。断られ方も勉強のうちだ。それから、今のは貧乏人だから、あんな奴は相手にするなよ。時間の無駄だしな。分かったか!」
「へ~い、わかりやした。ありがとうございます。じゃあ次お願いします。」

「こんにちわ~ ◯◯証券会社池袋支店の佐藤と申します。え?ウチは八百屋だからカブは売るほどある?って、大将!上手いことおっしゃいますね。カブに株、はははは~ あ、忙しい? いえいえ、あ、帰れ? じゃまたぁ。」
「師匠ぉ!あんなつまんないダジャレで引き下がんないでくださいよ!」
「いいか!朴!八百屋は大体あんなこというんだよ。それを見せてやりたかったわけだ!それに八百屋は金がないのが相場だから、八百屋に飛び込んだらダメだぞ!分かったか!」
「師匠ぉ!じゃあなんで金ないとこに飛び込んでるんですかあ?」
「あのなー朴、おまえ煩いよ。せっかく営業の神様が身を以て教えてあげてるのに、もう教えないよ。」
「師匠!大変失礼しました。では次ヨロシクお願いします。」
「よし、朴分かればよろしい。新人は素直が一番よ!じゃあ、次、今度は事務所に飛び込んでみよう!」
「こんにちわ~ ◯◯証券会社池袋支店の佐藤と申します。社長さんいらっしゃいますか?」
「私が社長ですが何か?」
「社長さん、株式とかお取引されてますか?
あ、やだなぁ社長!もう、沢山四季報お持ちじゃないですか!ウチとも取引しましょうよ。新規発行の転換社債お持ちしますから。
え?今日相場が下がってる理由?理由ですか?理由? そりゃ売りたい人が多いからですよ。あ、今のは冗談です。あ~ 朴君!お客様に下がっる理由を説明してください。」
「初めまして新人の朴と言います。昨日、米国の雇用統計が発表されまして、非農業部門の雇用者数が予想より低くかったこと、新規失業保険の申請件数が予想より高かったことを背景に景気拡大に水をさすのではないかと、ニューヨーク市場が売られたのに日本も引っ張られていること、またそれで円高に振れたりしてることでしょうか。個別銘柄の状況は分からないのですけど。」
「社長!ということです。あ、彼は朴です。良く勉強してる?ありがとうございます。うちのエース!期待の星ですから。で、頭デッカチにならないように、今、私が教育してるんですよ。あ、じゃあ、これを機によろしくお願いします。失礼しました。」
「師匠ぉ!店出る前に情報チェックしてなかったでしょ~?酒臭い匂いで出勤してくるし!」
「あのなー朴、おまえ煩いよ。今のはお前がどれだけ勉強しているかチェックしたんだよ。今日は合格だな。で、さっきの社長は後で俺が転換社債持っていくから。俺の客ってことでいいな? あ~疲れた!午前の飛び込みはこれで終わり!午後からはひとりで飛び込め!お前に教えることはもうない!」
「え~ 師匠!なんすかあ~それ。適当じゃないですか?」
「煩いね朴は。そんなこと言ってると嫌われちゃうよ。あ~ それから、おまえ今日は夕方まで支店に帰らなくていいから。俺、おまえと一緒に飛込みすることになってるんで、そう言うことで。俺、サウナで寝てくるわ、じゃあヨロシク!」

佐藤先輩。
お調子者で、自分に甘くて適当で、せこくて、時間にルーズで、でもそれに余るくらい優しく接して頂きました。

私が50歳を越えても金融機関で長々といられるのはあなたが、適当さや、どうにかなるさなるものを教えてくださったからだと感謝しています。

続く