久美子(仮称)さんは池袋で旅館を営む女将さん。気っ風が良く明るい性格、巨乳の熟女、株式現物取引のお客さまでした。
久美子さんが支店のローカウンターに座ると、その横に居座る「いよっ!常務」が大きな胸が気になるのか、何これ話しかけて来ては、無視されたり、冷たくあしらわれたりでしょんぼりしながら「おい!新人!タバコくれや⁈」と誤魔化すのでした。そうすると「ちょっとアンタ!駆け出しの営業マンにタバコ貰って恥ずかしくないの‼︎ アンタ金持ちだと吹いてるなら、朴ちゃんにワンカートンでも差し入れな!」う~ カッコいいぜ!久美子さん!
「いよっ!常務」は居たたまれずに「あ、そろそろ会議の時間だな。じゃあ行くとするか!じゃあ新人、頑張れよ」とあるかないかわからない会議、勤めてるかどうかわからない会社へ出かけて行きました。
久美子さん「私、あんな粗野で下品で汚いオヤジ、もう気持ち悪くて悪くてね。みんなもそうよねー。」と女子社員に話しかけます。
「私ね~ 小ざっぱりしてる男が好きなのよ。朴ちゃんなんかタイプね~。」などと持ち上げることも忘れません。そうすると佐藤先輩が耳元にきて「やっちゃえ、やっちゃえ、デカい胸をありがたく頂いてこい!」とこれまたちゃらんぽらんなことを言ってくるわけです。
さて、この久美子さんですが「お小遣い」を下さるんです。当時の証券マンはよくあったことかと思いますが、本当は良いことではありません。まあ、男性のお客さまですと、利益が出ると飲みや美味しいものを食べに連れて行って下さる感じですが、お酒もあまり飲まず旅館の女将さんである久美子さんは、若い証券マンを連れて近隣で飲食することはありません。
その代わりに、私が勧めた株式銘柄で利益が出るとお礼にと言い「利益の2割」を下さるんです。その度に「これで飲みに行っちゃダメ!」「足元見られないように綺麗な靴を買いなさい」「いいネクタイ買いなさい」「品の良いワイシャツを着なさい」と親身な言葉を添えて下さいます。
「利益の2割」は額にして2,000円の時もあれば、2万円の時も、10万円の時もありました。久美子さんは「こうすると、一生懸命に考えたり良い情報を取ったり調べたりして、あなたの勉強になるじゃないの~」と人身掌握が上手いこと上手いこと。相場ですから株価が下がっても、それについてはお咎めなしです。
2年目のある日に私はある銘柄につき政治関連銘柄だったか仕手株筋の情報を得たのです。今でこそそんな情報で売買など考えられないなのですが、まあ、そんな危なくもおおらかな時代だったんですね。
そして情報は当然未確認ながらも売買の手口を見るにその銘柄は爆騰の気配が伺われます。そこで久美子に連絡すると、しばし考え込んだあとにお試しに2,000株だけ注文を下さいました。
果たして、その銘柄は連日ストップ高を付けて爆騰です。お試しの2,000株でしたが、利益だけで300万円を得たのでした。
「利益の2割」でっせ!60万円下さるかもぉ~! 期待で胸が膨れます。
そして、現金受渡の日。私からねだる気配を出さないように声が上ずらないように、務めて淡々と受渡を始めました。
現金を確かに受領した久美子さんは
「朴ちゃん!今回はありがとうね。で、いつもの2割は今回はナシ!」
「え~ なんやねん!(心の中の声)」
「朴ちゃん、このお金あると直ぐ使ってなくなっちゃうでしょ?奢っちゃうだろうし、風俗に行っちゃうよね。若いもんね~、でも、朴ちゃん結婚するから、そんな人に風俗に行く資金を渡したらお嫁さんに申し訳ないんだよ。」
「だから、こんかいのお礼は私から奥さんにこれをプレゼントします。」と何らかのブランドかは忘れましたが、リボンの付いた綺麗なハコを渡されました。
久美子さんカッコ良すぎです!
少し残念でしたが、いや、かなり残念でしたが気持ちが素晴らしい。ありがたい限りです。
そのプレゼントはそこで開けず、そのまま今のかみさんに渡したんですね。モノは2割と言うわけではないそうでしたが、それなりに高価なものだそうです。
久美子さんの心遣いはお金よりもずっと価値のあるありがたいプレゼントでした。