先日の「4号カラー卓上電話機の難点」の折にも触れました通り、この「えんじ」も
凄まじい劣化度でした。(多分、今までの4号カラー電話では最悪の状態)
それを根気よく手を施し、何とか見れる状態まで回復。
一部、傷(欠け)は有るものの、これで残り「あと二色」となりました。。。(もも、あおたけ)
以前にもご紹介した4号黒電話ですが、一般的な黒電話と委託公衆赤電話以外に7色もの
カラーバージョンが存在しました。
「showa 土花亭」ではその内の3色(うすねず、ぞうげ、わかくさ)をコレクションしていましたが
今回、4色目となる「ふじ」が入庫。
しかし、この4号カラー卓上電話機に共通して言えるのが、黒電話に比べ色艶の劣化が激しいこと。
50年、半世紀にも及ぶ経年であれば致し方ないと言えばそれまでなのですが・・・。
相当遣れた状態を綺麗にする前に実はこの電話機、ダイヤル固定部分が破損しておりました。
粉々に砕けたダイヤルを固定する部分の残骸を掻き集め接着。足りない欠損部はパテ処理という
まるで、何処ぞで出土した土器なみの修復。
機能を確保したところで通信テストを行い、やっと汚れ落としと磨き作業へと移行する。
正直、これが限界の仕上がり。
残り3色。「もも」「あおたけ」「えんじ」。。。
これが中々、入手は困難で特に「もも」。これは一生、お目に掛かれないかもです・・・。
「卓上」などという言葉は最近ではあまり耳にせず、「卓上型〇〇」も「携帯型〇〇」に変貌してしまい
家の中から出て行ってしまいましたね・・・。唯一、今でも家の中に居座っているのは「卓上コンロ」
ぐらいでしょうか。。。
ところで、最近は黒電話の話題を多く掲載していますが、昭和27年(1952)から電電公社が
一般電話加入者向けに提供し始めた 歴代の「3号電話機」「4号電話機」「600形電話機」と
たまたま並ぶ機会がございましたので一同、記念撮影です。
右側の「3号」については昭和8年からの提供で、元はアメリカの工業デザイナーが設計した
黒電話をそのまま模したものと言われています。
しかし、この「3号黒電話」が黒電話の元祖であることは間違いなく、やがて世界水準を越えた
最高傑作とまで言われた「4号黒電話」が生まれるきっかけとなったものです。
そして「4号」。昭和25年(1950)に後に「ダルマ」と称され、全国自動ダイヤル化の貢献機でもあり
総生産数400万台、優れた伝送特性から「ハイファイ電話機」と呼ばれた4号黒電話。
今でも電話のシンボルマークや絵文字として残ってますね。
そして、馴染み深い「600形」。昭和38年(1963)に、これ以上の性能は望めない
「完成された電話機」として登場しました。
丸を帯びた形の4号からシャープなデザインに変わった600形黒電話。今までのベークライト製から
硬質塩化ビニール製になったせいもあり、重さも相当軽く作れています。
ただ、色々と電話機を修理等で触っていますが内部の機械を含め工業製品としては
あまり魅力も感じづ、今時の機械モノと良く似たチープ感は否めません。
以上、サクっと黒電話の変革を書かせて頂きましたが何はともあれ、電話をかけるという行為に
その昔は儀式(受話器を上げ、ダイヤルを回す)というものが存在し、緊張すら感じた黒電話。
そんな時代はもう忘れ去られていますね・・・。