いつもゼンマイ式機械時計ばかり触っているのですが、初めて「電気時計」なるものに触れる。
showa土花亭に来た時は相当な汚れと異常なまでに早い秒針の進み具合に分針(長針)の
動きの鈍さ等々、悲惨な状態。
本体背面のエンブレムに記載されている「Hz表示」が読み取れなかったため、秒針の異常は
てっきり「60Hzと50Hz」の違いによるものと判断していたところ、内部のクリーングに注油、
それにいつもの愛情注入で正確に時を刻むまで回復。
この「マツダ製電気時計」は非常に珍しい「セレクトスイッチ」機能を持つ。
裏面のコンセントに他の電気製品のプラグを差し込めば使え、正面のレバーを「手」側にすれば
随時電気は流れ、「自」側にすれば風防の廻りにある15分刻みのピンの出し入れによって
タイマーと化す当時としては画期的な電気時計。
流石に昭和11年(1936)に発売されたものだけあって75年以上の歳月による傷みは
いたし方なく感じるも、セレクトピンがデザイン的にもこの時計を引き立てている。
只今のところ、自動タイマーが不調のため悪戦苦闘修理中ではございますが、大変稀少なモノなので
この場でご紹介させていただきます。
本体箱は木製となります。
メインスイッチと背面にはコンセント。
背面のエンブレムは読み取り難く、多分「特許番号」の記載も有る筈なのですが・・・。
タイマースイッチ部分。左が「手」で右が「自」。
そして、この時計を最も引き立てるデザインである「セレクトピン」のディテール。
風防は凸面ガラス。
マツダマニアとしては手元にひとつ置いておきたい逸品です。