時計続きで恐縮です。。。それも精工舎のスリゲル。
今回ご紹介するのは精工舎スリゲルの明治期から大正期にかけて製造された「世界の都市シリーズ」の内の「ペキン」。
今では大変希少なこのシリーズが入荷した時はみすぼらしい姿でした。
全体的に薄汚れた不動機。上宮飾り(破風)は真っ黒で下宮飾り(上戸)は欠品。
特徴的な「銀文字盤」もご覧の有り様。
早速、不動原因と思われる心臓部(ムーブメント)のチェックです。
香箱入り発条の15日巻き。時打ちと半打ちが備わる。
色々と診断している内に時計側は問題なく動くものの、時打ち側は香箱の中でゼンマイが切れている事が」判明。
ゼンマイさえ入れ替えれば時打ちも甦るのですが残念ながら当方には香箱用のゼンマイの持ち合わせがない・・・。
せめて時計側を動かすことと、出来るだけ綺麗な状態にして上げることを目的に作業に取り掛かる。
背面には意匠登録の「9972号」の刻印。
下宮欠品部分にはエディションナンバーと思われる丸に20の文字。
ムーブメントは外箱に似合わずとても小ぶりであるものの香箱入りはやはりスッキリとしていて美しい。
サイドのスリゲル部分から覗くムーブメントと、その裏面に備わる渦リン。
そして、この「ペキン」の売りのひとつ、豪華な振り子室。
上宮飾り(破風)のレリーフも綺麗に仕上げ、文字盤も本来の輝きを取り戻さす。
長振りの振り子は非常にユックリと正確に時を刻む。
残念なのは時打ち以外もこの下宮飾り(上戸)が欠品していること。
いつか適当な欅材で復元したいところです。
そして、こちらが最終型(大正12)のカタログ。上宮飾りの上端が少し異なりますが同じ「ペキン」。
精工舎ペキン: 明治44年~大正12年(関東大震災)まで製造。(世界の都市シリーズ)