~一九六〇年、プラハ。小学生のマリはソビエト学校で個性的な友だちに囲まれていた。男の見極め方を教えてくれるギリシア人のリッツァ。嘘つきでもみなに愛されているルーマニア人のアーニャ。クラス1の優等生、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。それから三十年、激動の東欧で音信が途絶えた三人を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!「大宅壮一ノンフィクション賞」受賞作。「BOOK」データベースより
244件のレビュー評価があるのに、★★★★★5つが76%を占めているということだけとっても、中々の作品であることがわかりますよね。
表題の作品を含む、3つの短編が収められており、米原万里さんがプラハのソビエト学校に通った日々に体験した社会主義思想を取り巻く物語です。
日本人の小さな女の子が感じた価値観、社会観、そして日本に帰国してから眺めていた中東欧地域の国々の緊迫した情勢、さらに大人になって、かつての友人を訪ねて歩くドキュメンタリー映画のような作品でした。
3つの中では、ヤスミンカの話が一番好きですね。
なかなか、こういう思想を持つ方と、じっくりお話をしたこともないですし、理解や共感できない部分もありますが、「まぁ、こういう時代や思想があったということを知っておく」という意味では、読んで損はないと思います。
★★★3つです。