~片田舎の小学校に、東京から美しい転校生・エリカがやってきた。エリカは、クラスの“女王”として君臨していたマキの座を脅かすようになり、クラスメイトを巻き込んで、教室内で激しい権力闘争を引き起こす。
スクール・カーストのバランスは崩れ、物語は背筋も凍る、まさかの展開に―。二度読み必至!伏線の張りめぐらされた学園ミステリー。2015年第13回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。「BOOK」データベースより
著者の降田 天(ふるた てん)氏は、作家の鮎川 颯さんと萩野 瑛さんの女性作家二人からなるユニットとのこと。萩野氏が大筋を書き、2人で登場人物の心情などを話し合った後で、鮎川氏が執筆している形だそうです。
『このミス大賞』というのは、今までにも、数十冊読みましたが、当たり外れが大きいんです。
しかしながら、この『女王はかえらない』は、『イニシエーションラブ』や、『アヒルと鴨のコインロッカー』のような、あっと驚く大どんでん返しがあります。
『スクールカースト』という恐ろしい言葉があります。
学校のクラスの中にある、イケてるグループとイケてないグループ、さらにその下層に置かれているいじめられっ子ということです。自分自身の子どもの頃を思い出しても、大なり小なりありましたよね。
本書『女王はかえらない』は、三つの章にわかれており、第一章は子ども目線のクラスでの権力争いを描き、第二章では教師目線の学級崩壊寸前になっている苦悩、そして第三章で真相が明らかになるという展開です。
ライトノベル界では名の知れた作家さん二人の描く世界&文章ですので、とても読みやすく、わかりやすい内容で、一気読みの作品でした。
何の先入観もなしに読み始めたので、大どんでん返しがあるとかないとか考えることもなく、物語に没入していました。
第二章で少し違和感を感じ、「んっ?」と思いながら、第三章の真相が明らかになったときに、「はっはぁ~ん、見事に騙されたね」と痛快な気分になりました。
『イニシエーションラブ』のように、「さぁ騙してやるぞ!」という仕掛けが、そこかしこに仕掛けられており、巻末の解説文にもあるように、一つのトラップが発動すると、あちこちで地雷が連鎖、的に爆発していくような様は見事です。
レビューでは「使い古された手法」などと酷評されている部分もありますし、ミステリーを読みまくっている愛好者の方なら「はいはい」という感じなのでしょうが、僕はいつも『先入観無し』のクリアな頭で入っていきますので、イヤミスですが、気持ちよく騙されました。
★★★☆3.5です。
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