こちらの写真は、月の裏側なのですが、実際の月ではなく、昨年、シンガポールのアート&サイエンスミュージアムで展示されていた巨大な月のインスタレーションで、ルーク・ジェラム(Luke Jerram, 1974 - )という英国のアーティストの”Museum of the Moon” という作品です。実際の写真データをもとに作られた作品なのですが、月の裏側は「静かの海」のような海がなく、クレーターだらけです。
さて今月の満月は6月6日の夜明け前でした。月の一部が地球の影にかかるという半影月食という現象も同時にあったようです。
満月に名前があるというのを知ったのは、5月の「フラワームーン」が最初でした。6月の6日の満月は「ストロベリームーン」。なんかロマンチックな名前です。
私はシンガポールに住んでいますが、ステイホームになって3度目の満月です。それまでは、私が東京に行くか、妻がシンガポールに来るかで、ほぼ毎月会えていた妻にも会えなくなってはや3ヶ月。リモート夫婦生活が続いています。
東京とシンガポールの距離は約5300キロ。そんなに離れているのに、一緒に、同時に眺められる物体があります。それが月です。地球から38万キロ以上離れているのですが、共有できる物体としては、一番身近な存在です。
昔よく聴いていたレベッカの歌で「ムーン」というのがあります。月が全てを目撃していた存在という切ない曲です。「ストロベリー」という曲もあったかなと記憶を辿ったのですが、それは「ラズベリードリーム」でした。この曲も、「今夜も月が見てるわ」という歌詞から始まります。若い人は知らないかもしれませんが。
ストロベリーで思い出すのは、松田聖子の「Strawberry Time」という曲。
Welcome to Strawberry Time
争いのない国へ
Welcome to Strawberry Land
ここに住む人は誰もHappiness
素晴らしい世界ですが、今の時代だと「疫病のない国へ」ということになるのでしょうか。
もう一つ、おじさん世代にとって懐かしいのは、ばんばひろふみの「いちご白書をもう一度」という歌。「就職が決まって、髪を切ってきた時、もう若くないさと君に言い訳したね」とい歌詞に切なさを感じました。昔は学生は長髪が普通でした。でも今の我々から見ると、「もう若くない」なんて、とんでもないですけどね。
で、満月ですが、地上から見て満月ということは、その向こうは暗闇です。月は常に同じ側を地球に向けていて、月の裏側は決して見ることはできません。
ストロベリームーンの満月の裏側で、実は、中国の月面探査がずっと続いているのですが、これはあまり日本では報道されていません。2019年1月に月の裏側への着陸に成功した中国の嫦娥(じょうが)4号は、玉兎(ぎょくと)2号という月面ローバーが探査活動を続けていて、すでに一年半を経過しました。玉兎2号は、太陽電池で駆動するのですが、一月の半分は暗闇なので、活動できるのは昼間の時期だけです。満月の今は、裏側は闇なので、玉兎2号は眠りに入っています。当初は数ヶ月だけの予定だったのですが、こんなに長いこと活動を継続していて、コロナの時期も、玉兎2号は月の裏側を走り回ってるおりました。
こちらが玉兎2号の写真です。「月のウサギ」という名前なのですが、本当にウサギのように見えますね。
中国は、地上では「一帯一路」で、影響力を拡大しようとしているのですが、月面での戦いは、月の裏側に一番乗りしたことで、アメリカを凌駕しています。地球上から直接電波の届かない月の裏側で活動することは、実は技術的には大変なことのようで、アメリカはかなり悔しい思いをしているに違いありません。今はコロナや、黒人問題で宇宙開発どころではないかもしれませんが。
日本の某社長(当時)が、ロケットを打ち上げて、月を旅行し、まだ誰も見たことのない月の裏側を眺めるんだとおっしゃっておられましたが、すでに中国が月の裏側の調査を進めているので、月の裏側を見たとしても、そんなに新鮮味はなくなってしまっていますね。
月面探査は中国の壮大な嫦娥計画の一環なのですが、嫦娥というのがなんなのかという説明は、過去のブログで紹介してありますので、興味のある方はこちらをご覧ください。
満月と新型コロナとテレサテン(2020年5月8日)
月にまつわるつきない話(2013年9月21日)
しかし、満月をみて思うのは、この二つの記事で紹介している「但願人長久」という、昔の詩をそのまま歌詞にした中国語の曲なのですが、この曲の中の次の歌詞が良いですね。
「ただ願わくは、遠く離れているあなた、ずっとずっと元気で、そして地球のどこにいてもこの美しい月をともにに眺めることができますように」
なんてことを満月を見て思ったりします。
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