某日本企業のインド向けデジタル広告キャンペーンが2021年1月18日から始まりました。一年前から受注がほぼ決まっていたのですが、コロナでずっと延期になっていたものです。最初は、インドのビジネス雑誌の中で最も読者数の多い雑誌に広告を出稿することで、その読者の大半を占めるビジネスエリート層にブランド訴求を行うという計画でした。
インドは、多言語の国です。ヒンディー語が人口規模では一番多いのですが、タミール語とか、ベンガル語とか、テルグ語など地域にとって数多くの言語が使われています。インド全体の公用語としては、英語とヒンディー語になるのですが、ビジネスの世界では英語が共通言語となります。従って、インドのビジネスエリート層が購読するような新聞や雑誌は英語になります。
インド全国のビジネス層にリーチする場合、一般の新聞や経済紙を使うとかなり高くなってしまいますが、英語のビジネス誌だとかなり効率的に広告キャンペーンを行うことができるので、この媒体に着目したわけです。ところが、すぐにコロナになります。インドが全国規模のロックダウンに入るのが2020年3月25日。このロックダウンは5月末まで継続します。
6月から"Unlock"ということでロックダウンが徐々に解除されることになるのですが、実はインドの感染者が急増するのはロックダウンが解除された後なのです。6月から9月まで、感染者が急増していきます。9月には、一日の感染者数が10万人に迫り、やがてアメリカを抜くかとも思われたのですが、9月中旬をピークに感染者数は徐々に下がっていきます。感染者の推移と、ロックダウンから"Unlock"への流れを示したのが下の図です。
ちょっと見にくいですが、上の段の赤い矢印がロックダウンの時期 (3月25日から5月末まで)。緑色が"Unlock"(ロックダウン緩和)の時期です。"Unlock"は6月から始まり、1月現在まで"Unlock 8.0"として継続中です。下の棒グラフは昨年2月からのインドの一日の感染者数の推移です。ロックダウンが始まった頃はほとんど感染者が少ない状況でした。累積ではアメリカに次ぐ感染者数のインドですが、2021年の1月中旬時点では1万人以下になるレベルにまで下がっています。また1月16日からインドでワクチンの接種も始まります。着実に収束に向かっているという感じですね。
3月25日から5月末のロックダウンの期間、一誌を残してほとんどのビジネス雑誌が印刷を停止してしまいます。雑誌は定期購読でオフィスや自宅に配達される以外に、書店や空港などで販売されるのも多く、オフィスが閉鎖になったり、外出規制などにより、読者数が減少するという事態に見舞われます。
こんな状況の中で、オンラインでメッセージを訴求したらコロナの影響を回避できるのではないかという話になり、雑誌媒体の予算をまるごとデジタル広告に移すことになります。
インドのビジネスエリート層をターゲットに、バナー広告を配信するということになるわけですが、グーグルとかの特定のアドネットワークではなく、フェイスブックやインスタグラムなども含めた複数のネットワークを対象にしたプログラムで広告配信をすることにしました。特定のサイトや、特定のページに広告を露出するのではなく、ターゲットとして特定されている人が閲覧するページやSNSに広告を露出させていくという手法です。専門的な言葉で言うと、アドエクスチェンジとか、リターゲティングとかを組み合わせた構造になります。
またこれに合わせて、ビジネス誌でのオンラインでの広告キャンペーンも並行して行うのですが、これらすべてをリモートで管理しています。日本、シンガポール、インドがリモートで繋がって、お金のやりとりも全く問題なくできました。これまでやったことのない業務もあり、心配なことも多々あったのですが、やってみたらできてしまいました。結果が出てくるのはこれからですが、クライアントが満足する結果が出ることを祈っています。
国境を超えて、広告を実施していくのが私の役割なのですが、遠く離れたインドでもこんなことができてしまうので、何かありましたらお問い合わせください。コロナの時期でビジネスの制約はありますが、国境を超えて不可能を可能にしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
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