思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『トマト・ゲーム』皆川博子

2025-02-19 11:59:29 | 日記
『トマト・ゲーム』皆川博子

皆川博子御大のデビュー作を含む短編集。

皆川先生、主婦業がひと段落した40歳前後から
小説を書き始めたそうです。
え?そうなの?!

最初は児童文学系の賞をとり、
文芸デビューは『アルカディアの夏』。
小説現代の新人賞受賞(1973年)。
同年、『トマト・ゲーム』が直木賞候補。

これが43歳のできごとだそうで。
すごい!なんか希望が湧くな!

というわけで御大の一冊目の短編集
『トマト・ゲーム』を読んでみた。

表題作は進駐軍で働いていた
ケイティとサミー(と言いつつ日本人である)が
邂逅する物語。
もう良い年の中年なのに、
なんだか退廃的で隠微で異文化感があって
初期作から世界観できあがってるなあ〜と感心する。

できあがってるな〜、で言うと、
デビュー作の『アルカディアの夏』ですよ。
アルカディアは、ギリシヤ・ペロポネソス半島に
あると言われている理想的田園地帯。
ウェルギリウス『牧歌』が原典。
(というのをつい最近『イコノロジー入門』で学んだ)

中3女子が自分の部屋で肉食ミミズクを育てながら
そこを「アルカディア」と呼んでいるのです。
失踪した父、魅力的な母、ミミズクをくれた級友。
セーラー服と万引きしたホットパンツと。
できあがってる〜。

ところで初版は昭和49年である。
あれ?私、生まれてないじゃん。

そんな御大は最近の作品もめちゃくちゃ面白いのである。
そして執筆ペースもやばいのである。
頼もしい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『あなたの人生の物語』 超... | トップ |   
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事