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『物語 イタリアの歴史』 人生があると歴史に共感できるんだな

2024-12-18 11:45:31 | 日記
『物語 イタリアの歴史』
藤沢道郎

中公新書の<物語歴史>シリーズのイタリア篇です。
このシリーズで最初に読んだのは『物語 中国の歴史』である。
これは、とってもコスパの良く中国史を概観できる一冊なのですが、
強いて言うならば「物語ではない」のである。

そしてこの『物語 イタリアの歴史』では藤沢先生が
物語を紡ごうと正面から取り組んでいらしたので、
ちょっとびっくりした。
いや、こういうことですよ、企画主旨は。
びっくりじゃないのよ笑

というわけで10人の人生に絡めながら
イタリアの歴史をなぞっていく一冊です。
『ルネッサンスの女たち』でも思ったけど
生身の人間が垣間見えると、
歴史がめちゃくちゃ身近に感じられますよね。
おもしろい。

最初はローマ帝国の皇女ガラ・プラキディア。
フン族(超強い)が西進して、ゲルマン民族が大移動して、
ゲルマン系ゴート族にローマが悩まされる時代。
410年ローマ陥落(しょっちゅう陥落してないか?)

個人的には、第二章の女伯マティルデが興味深い。
この人はトスカーナ女伯で、カノッサの領主なんですよ。
聞き覚えがある地名!
ローマ帝国崩壊後は、イタリアは名目上は神聖ローマ皇帝の領土。
実質は伯が領有して代官支配をしている時代で、
マティルデは父が神聖ローマ皇帝と戦って敗れたり
色々と辛酸を舐めさせられたわけです。
恨むわけですな。
そんなマティルデと仲良し&崇拝しているのが
グレゴリウス7世で。
1075年、グレゴリウス7世と神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世
の間で叙任権闘争勃発。
とくれば、次は有名なアレです。
1077年、カノッサの屈辱。
なんでカノッサ?と思っていたけれど、
グレゴリウス7世は以前からトスカーナ伯の後見をしていたので
「謝りたければカノッサにいるからおいでよ」的な
ことだったようです。
マティルデの高笑いが見えるぜ…!!

グレゴリウス7世はこの後ハインリヒ4世に負け負けして、
ローマにノルマン人(すでに南イタリアでぶいぶい言ってる。つよ〜)
を引き込んでローマ略奪されて(ほら、まただ)、
人生の後半は逃げ回るハメになります。
あまり人をいじめてはいけないな。

あとは皇帝フェデリーコ(フリードリヒ2世のこと)の
シチリアにおける文化の開花、
作家ボッカチオを通じてのナポリ・シチリア事情から
(ナポリはフランス、シチリアはスペインに取られる)
北イタリアの自治都市国家が小領邦君主国家へ移行する時代へ。

14世紀は黒死病、15世紀はメディチ家の時代。
16世紀は宗教改革(1527年ローマ劫掠。ほんと災難)、
17世紀になるとヴェルサイユが最先端で
イタリア文化は流行遅れみたいな時代になり、
18世紀は啓蒙主義が大流行しつつナポレオン爆誕、
皇帝に就任したついでにイタリア国王も名乗る。そうなの?
で、フランス工兵隊の遺産である道路や橋梁、ナポレオン法典、
徴兵制などを活用してイタリア国家意識と近代化がようやく始まる。
(イタリア統一運動を「リソルジメント(覚醒)」と言うらしい。
どんだけボーッとしてたんだ)

1861年、統一イタリア王国宣言へ。

神聖ローマ帝国とか、十字軍とかの単位ではなく
イタリア半島の歴史という視点で見たことはなかったので
なんだか新鮮でした。
(ナポレオンってイタリア王だったんかーい、とか)

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