『本が好き、悪口言うのはもっと好き』
高島俊男
第11回講談社エッセイ賞受賞作。
文庫の帯を丸谷才一が書いていることから分かる通り
学識があって口が悪いセンセイの随筆集です。
おもしろくないわけがない笑
しかしまあ、丸谷氏よりもよっぽど攻撃的で
口が悪いおじさんである。
日々、朝日新聞を読んでは
言葉の誤用と野球・囲碁の解説に文句を言って
ひねもす過ごしているらしい。
良い生活だな笑
著者は中国文学専攻、教鞭も取っていたそうです。
とにかく言葉遣い、特に言葉の誤用にキビシイ。
そして勉強になる。
ある時は小説を読んで「呆然」という言葉に怒っているんですが。
私はセンセイが何に怒ってるのかピンと来ない。
えー、どうしよう。
と読み進めえると、これ、元々は「茫然」「惘然」と書く言葉で、
「呆然」は近年現れた当て字なのだそうです。
うわあ、知らなかった。
いやいや、もう、茫然ですよね。作家なら辞書引いて小説書かないと!
本来は怒られる側の私だが、センセイと一緒に怒る側に立つ。
読者とは特権階級なのである笑
他にも意味用法が180度転換したもので、
「流れに棹さす」「気のおけない人」「可愛い子には旅をさせよ」
のお話しとか。
「流れに棹さす」はずっと誤用していました。
今後は堂々と知ったかぶりします!
あと「百姓読み」(漢字の一部を見て読み間違えること)も
初めて知りました。
たとえば「洗滌」。これは「せんでき」が正解だけど、
「うーん、わからんけど、せんじょう?かな?」
と読みたいじゃないですか。
私はそう読んだ。
世間がそう読むならそれで良かろう、
ついでに読みやすく「洗浄」と書こう、となった次第。
へええ〜。
言葉(というか日本語か?)って、妙なところが
フレキシブルですよね。おもしろ。
中盤に収録されている「ネアカ李白とネクラ杜甫」は
最高に良い。
高校生向けに書かれたとのことで、
読みやすい文章で軽やかに中国二大詩人と中国詩の特徴を
解説してくれます。
これ教科書に載せたら良くない?
李白はいまいち出自の分からない人だけれど、
同じく出自がメインストリームではない(地方の鮮卑族出身)
唐王朝が「李」姓を称しているのに乗じて
「王家の親戚」を名乗り、あちこちで食客暮らしをする。
どちらも出自が曖昧だからこその相乗効果だな。
狩野亨吉という変人を描く一編もめちゃくちゃおもしろかった。
こんなおもしろい人がいたのか、と感心してしまったけど、
普通の人が書いたらあまり魅力的に思えなかったかもしれない。
(京大初代学長をつとめた人であり、稀代の春画コレクターである)
良い本を読みました。
高島俊男
第11回講談社エッセイ賞受賞作。
文庫の帯を丸谷才一が書いていることから分かる通り
学識があって口が悪いセンセイの随筆集です。
おもしろくないわけがない笑
しかしまあ、丸谷氏よりもよっぽど攻撃的で
口が悪いおじさんである。
日々、朝日新聞を読んでは
言葉の誤用と野球・囲碁の解説に文句を言って
ひねもす過ごしているらしい。
良い生活だな笑
著者は中国文学専攻、教鞭も取っていたそうです。
とにかく言葉遣い、特に言葉の誤用にキビシイ。
そして勉強になる。
ある時は小説を読んで「呆然」という言葉に怒っているんですが。
私はセンセイが何に怒ってるのかピンと来ない。
えー、どうしよう。
と読み進めえると、これ、元々は「茫然」「惘然」と書く言葉で、
「呆然」は近年現れた当て字なのだそうです。
うわあ、知らなかった。
いやいや、もう、茫然ですよね。作家なら辞書引いて小説書かないと!
本来は怒られる側の私だが、センセイと一緒に怒る側に立つ。
読者とは特権階級なのである笑
他にも意味用法が180度転換したもので、
「流れに棹さす」「気のおけない人」「可愛い子には旅をさせよ」
のお話しとか。
「流れに棹さす」はずっと誤用していました。
今後は堂々と知ったかぶりします!
あと「百姓読み」(漢字の一部を見て読み間違えること)も
初めて知りました。
たとえば「洗滌」。これは「せんでき」が正解だけど、
「うーん、わからんけど、せんじょう?かな?」
と読みたいじゃないですか。
私はそう読んだ。
世間がそう読むならそれで良かろう、
ついでに読みやすく「洗浄」と書こう、となった次第。
へええ〜。
言葉(というか日本語か?)って、妙なところが
フレキシブルですよね。おもしろ。
中盤に収録されている「ネアカ李白とネクラ杜甫」は
最高に良い。
高校生向けに書かれたとのことで、
読みやすい文章で軽やかに中国二大詩人と中国詩の特徴を
解説してくれます。
これ教科書に載せたら良くない?
李白はいまいち出自の分からない人だけれど、
同じく出自がメインストリームではない(地方の鮮卑族出身)
唐王朝が「李」姓を称しているのに乗じて
「王家の親戚」を名乗り、あちこちで食客暮らしをする。
どちらも出自が曖昧だからこその相乗効果だな。
狩野亨吉という変人を描く一編もめちゃくちゃおもしろかった。
こんなおもしろい人がいたのか、と感心してしまったけど、
普通の人が書いたらあまり魅力的に思えなかったかもしれない。
(京大初代学長をつとめた人であり、稀代の春画コレクターである)
良い本を読みました。
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