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旅行記、世相独言

無形文化遺産保護条約採択10周年記念シンポジウム

2013年08月05日 12時12分13秒 | イベント
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ユネスコの無形文化遺産と世界遺産とは別物?



 2013年8月3日、大阪・堺市ホテル・アゴーラ リージェンシー堺で、無形文化遺産保護条約採択10周年の記念イベントが開催された。

 富士山が世界文化遺産に登録され、今夏は多くの登山者で賑わっているようだが、これは有形の文化遺産で、世界遺産だそうだ。

 一方、世界には数々の後世に伝えたい無形文化遺産がある。芸能や儀式、祭礼、伝統工芸等々。しかし、これらは世界遺産とは別物だそうだ。(今のところ)ということを、始めて知った次第。



 本条約はユネスコ加盟のうち154ケ国が締約国となり、世界各国の後世に伝えたい上記無形文化遺産を保護しようとするもので、その成立には日本国がリーダーシップを発揮したそうだ。

 いずれ、世界遺産の枠内に有形・無形の文化遺産として登録保護されることを目指して欲しいものだが、今のところまだそこまでのコンセンサス形成が出来ていないようだ。





 当日は、日本の佐陀神能(スサノウノミコトのヤマタノオロチ退治を題材にした「八重垣」)と、カンボジア王立舞踊団による宮廷舞踊「アプサラ・メラ伝説」(アンコール・ワットの第一回廊の壁面に見ることの出来る乳海攪拌の泡から生まれたアプサラたちの舞踊)が1時間半にわたって演じられた。
 この舞踊団はノロドム・ボパ・デヴィ王女殿下が顧問を務め、カンボジア宮廷舞踊を内外に広められ、当日も列席されていた。

海峡クルーズとブルーモスク  -イスタンブール2-(異文化体験31 東西文明十字路の旅9)

2013年08月05日 10時59分42秒 | 異文化体験_中・東欧
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海峡クルーズとブルーモスク -イスタンブール2- 98.08.24

 ボスポラス海峡(上が黒海、下がマルマラ湾、エーゲ海、中ほど金角湾が見える)

 トルコ周遊の旅も今日がいよいよ最終日。
 午前中は「ボスポラスクルーズ」、ボスポラス海峡の長さは約30km、最狭部は760m。海から旧市街地の景色を堪能し、更に海峡を黒海近くまで遡って往復するツアーである。潮の流れは黒海からボスポラス海峡を経てマルマラ海に、更にダーダネルス海峡を経てエーゲ海に注いでいる。

 クルーズ船にて

 ガラタ橋近くのエミノニュ桟橋を出ると、眼前には旧市街地の街並みにトプカプ宮殿、アヤソフィア、ブルーモスク等が重なり合った重厚な景色が展開する。
 それらの景色が少し遠くなった頃に、左手に昨日入れなかったドルマパフチェ宮殿を海から眺めることになる。
 海峡には2本の橋が架かっているが、最初の橋がボスポラス大橋。往路の中ほどにあるのがファティフ・メフメット大橋。この橋の手前に1453年建造のルメリ・ヒサール(要塞)がある。

      
(左)イスタンブールの旧市街地              (右)昨日見学出来なかったドルマパフチェ宮殿

      
(左)遠くにファティフ・メフメット大橋(第2ボスポラス大橋)が。 (右)1453年建造のルメリ・ヒサール(要塞)

 黒海近くのキレキュブルヌという町で下船し、「Qulistan」というシーフードレストランで昼食。ここから遠望する黒海は波も荒く、正に黒い海である。

 黒海(左下にマルマラ海が覘いている Wikipedia) 

   
(左)黒海沿岸のシーフードレストラン「Qulistan」   (右)黒海沿岸にて(波が少し荒い)


 再びイスタンブールに戻って旧市街にある通称「ブルーモスク」、正式名スルタンアフメット・ジャミィを訪れる。
 このモスクは珍しく6本のミナレット(尖塔)を持ち、27.5mの大ドーム、4つの副ドームと30の小ドームを持つ1616年建造のオスマン建築の傑作の一つ。直径5mの4本の柱で大ドームを支え、内壁を飾るブルーを基調とするイズニック・タイルも素晴らしい。

 6本のミナレットを持つブルー・モスク(スルタンアフメット・ジャミィ)

           
(左)真近に見るモスクの威容          (右)巨大なドームを持つモスクの内部


 ローマ時代の大競技場の跡がヒプドロムという公園になっていて、3本の碑が立っている。最南端の26m高さの碑は、テオドシウスⅠ世のオベリスクと呼ばれローマ時代エジプト・カルナック神殿から運ばれたもの。真ん中が8mの青銅製の蛇の柱。最北端が切石積のコンスタンティヌスⅦ世のオベリスクで青銅板で覆われていたもの。

 ローマ時代エジプト・カルナック神殿から運ばれたオベリスク


 イスタンブールの旧市街地には、4世紀から6世紀にかけて造られた地下貯水池が何箇所か発見されている。
 その一つがトプカプ宮殿近くのイエレバタン・サルヌジュである。イエレ「地に」バタン「沈んだ」という意味。ローマの水道橋(ヴァレンス水道橋)からここに引かれトプカプ宮殿の水源となったようだ。140m(L)×70m(W)×8m(H)の地下空間を28本×12列336本のコリント様式の柱で創り出している。薄暗く夏は涼しい地下宮殿の一番奥にはメドゥーサの妖しい顔が2基横たわっている。

        
(左)イエレバタン・サルヌジュの入場券          (右)照明に浮かぶ幻想的なコリント様式の柱群

    
(左)メドゥーサの妖しい横顔(左が頭部、右が顎)   (右)巨大な地下貯水池は涼しくしばし休憩


 カパル・チャルシュ、屋根付き市場の意、日本語でグランド・バザール。
 中東最大の規模で、出入口が20以上、店数4400。15世紀半ばにメフメットⅡ世が設置し、順次拡大し今日の姿になった。当初は貴金属や絹を扱う店が多かったようだ。世界的に有名となり今や観光客価格となって、あまり買うものはなく、雰囲気だけを楽しむ。

 世界最大規模のグランド・バザール


 最期の夜は「Karvansaray」というレストラン&ナイトクラブでの夕食とベリーダンスのショー。
 ベリーダンスは西洋人がつけた名で、元来は中近東各地の民族舞踊がそのルーツ、必ずしも女性だけの踊りではないようだ。イスラム教の浸透で露出度や派手さも少なくなったが、トルコは比較的戒律が緩やかなため、ベリーダンスが観光資源の一翼を担っている。

       
          「Karvansaray」でベリーダンスを堪能、胸元にチップも忘れずに 

 独特のリズムとサズの音にあわせて、臍だしルックの衣装で妖艶な身体の動きを続けるダンサーが小生の席に近づいてくる。あわててポケットからチップのお札を取り出して、ダンサーの豊かな胸元に差し入れる。あっという間のショータイムも終わり、深夜の空港に向かう。

 午前1時発のアシアナ航空OZ552便は、ソウルに18時05分着。ソウル市内で焼肉を食した後、漢江観光ホテルで1泊。翌26日10時20分の便で11時55分関空着。

    
(左)韓国・ソウルの一夜(付録の焼肉)        (右)漢江観光ホテルで迎えた夜明け 


 ハマム(トルコ風呂)だけ行き損じた充実した東西文明十字路の旅であった。