私が25歳を過ぎてから、突然母の態度が変わった。それまでは「結婚なんて
早くしなくてもいいわよ」と言っていた母が、ふと気がつくと「早く結婚しなさい症
候群」にかかっていたのだ。あまりの突然の変化に「冗談じゃないわよ!!」と
思わず私は叫びたくなった。
それって、それって、あんまりじゃない?昔、よく言っていたじゃない。「結婚な
んてしたい事をしてからでいい」と。あれは全部、ただの建前だったのね、それ
を信じて? 貯金などなにもせずに、若いうちは自分を磨かなくっちゃね、とアフ
たー5にせっせと学校に通い、仕事に燃え、燃え過ぎて身体をこわして会社を辞
めて、再就職した先でも、なんの因果か、またまたハードワークの専門職。「こん
な機械相手の毎日なんて、もう嫌だ!」と再び転職めざしてオベンキョウの毎日
を過ごしているというのに……
しかし、よく考えてみれば、母の言い分というのは、「やりたい事を一通りやっ
て、25歳を過ぎたらさっさと結婚しなさい」ということだったのかもしれない。
この間、夕食の支度をしていたら、母が私にエプロンをつけてくれた。そのあ
との言葉が傑作だった。「エプロン、よく似合っているわよ」つまり、遠回しに結
婚しなさいと言ったのだ。
この話、後日友人に話したところ、彼女は苦笑しながら、「なんで、そんなに
結婚させたがるんだろうね」と、やはり、親の結婚しなさい攻撃が激しいという
話を聞かされた。
まったくどこの親も同じね。と、妙齢の女ふたりの会話は深夜まで意気さか
んだった。
私も9月で26歳になった。誕生日が過ぎてから、母は一番にこう言った。
「あんたも、もう26歳なんだから、ちゃんと考えなさい」と。そのうち「もう○○
歳だよ」という言い方になるのは必定。前途多難だな、こりゃ。