つい先日会社の先輩男性から、私が入社した時「すごい奴が入ってきた」と思っ
たと聞かされた。『さわらぬ神に祟りなし』や『長い物には巻かれろ』を教訓とする
サラリーマンには、上司や先輩にポンポンものを言う私の存在が奇妙にみえたか
らかもしれない。
十代の頃から人と同じことをするのが大嫌いで、高校生になり周りの女の子達
がパーマをかけだした時は、断固としてストレートヘアを保っていたり、その逆をし
たり。
とにかく皆と異なることばかりしていた。別に目立ちたいと思ってそうしていた訳
ではなかったのだが、「なぜ、皆と同じにしないの?」という疑問を人に抱かせて
しまい、結果として目立ってしまったようだ。
「出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない、私はそうなりたい」とコメント
したのは、確か田丸美寿々さんだったと思う。
その言葉を聞いた時、「そうか、出る杭は打たれてしまうけれど、打たれない為
には出すぎてしまえばいいのか!」と私は悟った。それからは、その言葉を胸に
秘め、口先だけに終わらないように各種の資格を取得し、趣味を広げ、意欲的に
仕事もこなした。努力の甲斐あってか、友人達からも「趣味が広いね」とか「専門
職でいいな」等と最近は言われている。
入社当時「すごい奴」だった私は、勤続四年目の現在、社内ではCADオペレー
ターの第一人者となり、十代のウラ若き後輩からひとまわり以上も年上の男性ま
で、CADについてのオペレーションや機能を教える立場でもある。
彼らから「CADについてわからないことはない」と思われている私の愛読書は、
いまでも『CADオペレーションマニュアル』だ。
そして、相変わらず「出すぎた杭」になろうと、心のアンテナを絶えず緊張させ
て、街で電車内で、目をキョロキョロさせている。