いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

天と男と左…右

2005年10月17日 08時36分05秒 | ハマ風は踊る
 平成8年5月、埼玉県美里町で出土した6世紀の「馬型埴輪」に、右から乗馬
したことを示す鎧が付いていることが分かったとの報道があった。
 右乗り乗馬文化は、西洋流馬術が流入する以前の日本のほかには、アメリカ
インディアンなど少数の民族に限られていたそうである。明治時代に西欧馬術
を取り入れてから左乗りになったという。自転車を考えてみると大概の人は左
から乗っている。そして、1563年に来日したフロイスは「日本とヨーロッ
パの風習の違い」で、「われらは左足から騎乗する。日本人は右足からである」
と記述している。
 ところで、古代日本では「左」の方が「右」よりも優位であった。その論拠と
して、塚崎幹夫著「右と左の日本史を辿る」によると

   ① 古事記(712年)のなかの陰陽説で「天と男と左」が陽で「地と女
     と右」が陰になっている。
   ② 同じく古事記のなかで、日の神天照大神はイザナギノミコトの左目か
     ら生まれ、右目からは、月の神ツクヨミノミコトが生まれている。
   ③ 古事記でも日本書紀(720年)でも記述の順序は、まず左がでて次
     に右になる。例えば「左目」記述のあとは「右目」が出てくる。
   ④ 座席の順位では、一番目の座席を左座といい左の方が右座より優位
     である。
   ⑤ 古代日本では、左大臣のほうが右大臣よりも上位である。などなど
 また、よく話題になるのが、ひな祭り時の男雛と女雛の並び方である。現在は
内裏雛の側から見て右が男雛、左が女雛が主流となっている。このように男雛
が右になったのは、昭和天皇の即位式の時の写真に倣ったからだと言われて
いる。
 しかし、右に座った男雛もこちらから見れば左側である。この辺に席順の混乱
の原因があるようだ。以来、「左」は「右」に比べて旗色が悪い。漢字の「左」
には、不便、よこしまと言う意味があるし、「左遷」「左前」「左巻」などの
熟語が見られ、かたや「右」は、「座右」の銘「右腕」と頼む等があり「右に
出るもののはない」ということになる。
 そして、「左翼」は、フランス革命時の議会で、議長席に向かって右に穏健派、
左に急進派が座ったのに由来している。

 それでは、日常生活での右回り左回りを少し見てみよう。
   ① 生卵を小鉢に落としてかき混ぜるとき箸をぐるぐると右回り
   ② ふるいを使って、粉や砂をふるいにかけるときも右回り
   ③ ロクロを回すのも右回り、日常の動きでは右回り習慣を選んでいる
     状態が多いようである。これ、地球の自転に関係することか。
 そして、非日常的な動きの場合には
   ① 盆踊りは左回りに踊り続け
   ② 遊びやゲームの回り方も基本的に左回りである。その例として、
     社交ダンスもナチュラルターン(右回転)とリバースターン(左
     回転)を繰返しながら左回りの方向に踊る。
   ③ ジェットコースターなど回転する器具もその回転方向は左回りであ
     ある。このように日常生活の状態を観察するとなかなか面白い。

 また、人の表情には、左右でかなりの違いがある。映画やテレビ等で右側
からと左側から撮ってもらいたいとの話をよく聞く。100年以上前から左脳
は言語脳(知の部分)理性で、右脳(情の部分)が音楽脳と考えられている。
虫の音を日本人は、左脳で聞き、欧米人は右脳で聞くということは、日本人
は虫の音を音楽としてではなく言葉として聞き欧米人はそれを音楽として聞
いている。そこで、日本人は虫の音を快く聞き、外国人は雑音として聞いて
いるとよく言われている。そう言えば、今年は「恋に焦がれて鳴くセミよりも、
鳴かぬ蛍が身を焦がす」と詠まれるセミ時雨も立秋を過ぎてからきかれる
ようになったが、これは、全国的な現象であったようだ。
 それにしても、「左」と「右」。漢字の書く順序でみると「左右」と左が先
かと思えば「右往左往」となかなか味のあるものである。
 世の中には、左から右に文字を並べていく文化と、右から左に並べていく
文化がある。しかし、縦書きの方は、方向について「上から下へ」しかない。

 それでは、「鏡に映ると左右が逆になるが、なぜ上下は逆にならない」の
だろうか?
 
 




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