いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

歳月 86編

2005年10月09日 18時02分12秒 | 娘のエッセイ
 早いものだ。あと数ヶ月もすると、私の年令は三十代に突入する。
 まだ私がティーンエイジャーだった頃、三十歳の女の人というのは遥か彼方の
存在だったというのに。

そしてその頃の私は、毎日とても刹那的に生きていたくせに、どこか生きること
にウンザリしていて、私はきっと三十歳になる前にこの世からいなくなっている
はずだと信じていたのに。

 もっとも、三十歳を目前にした今、生きることに意欲的かというと、そういう
わけではない。十代の頃とはまた違った意味で、人生にウンザリしている。

 そして”三十五歳になったあかつきには、この世から消えていたい”などとい
うことを懲りもせずに考えていたりするのだ。

 私がいつまでたっても結婚や出産に積極的に取り組めないのも、心の奥底
に、常にそういった思いがあるからなのかもしれない。

「人生ってなんだろう」などという青臭いことを言うつもりはない。けれど、
流れゆく歳月というやつは、決して私の味方にはなってくれない。歳月は私に
とって恐怖でしかない。

 減り続ける脳細胞。弾力を失ってゆく素肌。そして何より怖いのは、私の目
から鱗を落としては、現実を突きつけてくることだ。歳月は、私に冷静な観察
眼をくれる。

ごく当たり前に見えていた事柄に、多くの?マークがつき始める。両親の夫婦
関係に。自分の家族関係に。

 そして様々な人たちの憎悪に、嫉妬に、思惑に。そして、それらをすんなり
と受け止められる程、私は強くないし、リアリストでもなかった。そのたびに
私は脅え、歳月をうらむ。

 歳月は、神様がくれた最高のプレゼントだと人はいう。どんな辛い事柄も
過ぎてゆく時が忘れさせてくれるからという。

 いつか、私にも歳月が最高のプレゼントだと思える時がくるのだろうか?
それとも、歳月が私の味方になってくれる時は、永久にこないのだろうか…。

コメント
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