二月一日(日)曇り
十一時の汽車にて母と弟は石塚の畠へ行き、天気予報では今夜雨か小雪と
いっていたが寒い日。一日こたつに入ってラジオをきいたりして午前中を過ごし
てしまったが、午後からは明日の登校の準備に一生懸命にやった。
新しいオーバーをきてみれば胸も肩もペチャンコに細くなってしまって形が悪
い。ずい分やせたものだ。手はきれいになったけれど、姉から羨ましがられたり
恨まれたり……。
いつも重荷、私の肩にある。一つは町田先生へのお便りを出していない事。
二つめは履歴書を書く事、おっくうである。先生なんと思っていらっしやるだろ
か。でも必ずお手紙はあげます。
夕方とっときのとっときのリンゴを姉が無性に食べたいというのでほおばった。
父より一枚でもよいから履歴書を明日書いておくようにと言われた。明日は学
校へ顔出しをしてみるつもりで準備をしたがお天気が……
追記 昭和20年当時の私の兄弟は、長女・次女(思いで日記記述)・
長男・次男(私)・三女・四女の六人兄弟だった。次女の姉は、今考
えると肺結核だった。目が大きく美人で字がとても綺麗、これが高校
三年生の字体かと思うほど達筆である。それは父親似である。小さい
時の記憶はほとんど飛んでいるが、姉が残した日記でその当時の情景
がおぼろげに思い出される。
汽車に乗っての畑仕事。一つ思い出しました。早朝自転車に乗って
よく馬糞集めをしたことを、肥料不足を補うためにである。
町田先生は、恐らく姉が通う高校の先生だと思う。姉の淡い恋心に
せつなさを感じている。
手元には、矢絣の着物を着て撮った写真がある。いつまでも十八歳
のままの姿で。
十一時の汽車にて母と弟は石塚の畠へ行き、天気予報では今夜雨か小雪と
いっていたが寒い日。一日こたつに入ってラジオをきいたりして午前中を過ごし
てしまったが、午後からは明日の登校の準備に一生懸命にやった。
新しいオーバーをきてみれば胸も肩もペチャンコに細くなってしまって形が悪
い。ずい分やせたものだ。手はきれいになったけれど、姉から羨ましがられたり
恨まれたり……。
いつも重荷、私の肩にある。一つは町田先生へのお便りを出していない事。
二つめは履歴書を書く事、おっくうである。先生なんと思っていらっしやるだろ
か。でも必ずお手紙はあげます。
夕方とっときのとっときのリンゴを姉が無性に食べたいというのでほおばった。
父より一枚でもよいから履歴書を明日書いておくようにと言われた。明日は学
校へ顔出しをしてみるつもりで準備をしたがお天気が……
追記 昭和20年当時の私の兄弟は、長女・次女(思いで日記記述)・
長男・次男(私)・三女・四女の六人兄弟だった。次女の姉は、今考
えると肺結核だった。目が大きく美人で字がとても綺麗、これが高校
三年生の字体かと思うほど達筆である。それは父親似である。小さい
時の記憶はほとんど飛んでいるが、姉が残した日記でその当時の情景
がおぼろげに思い出される。
汽車に乗っての畑仕事。一つ思い出しました。早朝自転車に乗って
よく馬糞集めをしたことを、肥料不足を補うためにである。
町田先生は、恐らく姉が通う高校の先生だと思う。姉の淡い恋心に
せつなさを感じている。
手元には、矢絣の着物を着て撮った写真がある。いつまでも十八歳
のままの姿で。