イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

イギリス伝統の素朴な遊び、コンカー・ゲームに夫の少年時代をしのぶ...雨上がりのコンカー狩り

2019年10月07日 22時46分19秒 | 英国の、生活のひとコマ
きのう、「ブログに載せるイギリスの秋らしい話題はないかな」と言ったら夫が「あるよ、コンカーだ」と提案してくれました。

子供たちが小さいころに私が勝手に「コンカー・ストリート」と名付けた すぐ近所の並木道にいってみました。


ホース・チェストナッツ Horse-chestnut、別名コンカー・ツリー conker tree という木がずらっと植えられている通りです。
同じつくりの家が二つとない、しかも全てぐるりと庭に囲まれた高級住宅街です。



1920年代から30年代にかけて造成された住宅地で、住宅は築90年、ホース・チェストナッツは樹齢90年。

これがコンカー conkers。


クリに似ています。
英語でホース・チェストナッツというぐらいなので 私もクリ(スゥイート・チェストナッツ sweet chestnut ) の仲間だと、30年近く前にイギリスに来てから この記事を書く20分前までずうっと思っていました。

違いました!



日本語で セイヨウトチノキ というそうです。
クリとは全く関係ありません。
夏が暑い日本では育ちにくいそうです。

フランス語で「マロニエ」。

イギリスに来たばかりの時 聞いた、「つやつや、プリプリの実が ウマのお尻に似ているため ホース・チェストナッツという」説もずっと信じていたのですが、それもウィッキピーディアで調べて間違いだとわかりました。

17世紀にイギリスに渡来した頃 トルコ人が病気のウマに強壮剤として実を食べさせていたから、だと書いてあります。
人間には食べられません。食べるとおなかを壊すそうです。

コンカー探しにはちょっと遅かったようです。

すべて木から落ち切って、車に踏みつぶされたり蹴散らされて傷だらけ、イガも湿って茶色く変色しています。


それでも探せばぽつぽつ見つかります。

実の入ったイガ発見!


そう、これ!


「大収穫期」にはこの黄緑色の丸いイガがバラバラ落ちてくるのです。
うっかり当たるとケガしそうな 地面にあたるとこっつんこっつんバウンスするほど大きいものも、毎年この通りでよく見かけます。

拾って地面にたたきつけるとパカっと割れて、つやつや、プリプリした堅い実がコロン、コロンと出てくるのです。

2,3週間前に来てみるべきだったのです。

トゲなしのイガも見つけました。





さて、イギリス中どこに行ってもよく見かけるホース・チェストナッツとその実、コンカー。

60代のうちの夫が「イギリスの秋といえばコンカーだ」といった理由は、コンカーを目にして秋の訪れを感じるといった風流なことではありません。

コンカーにひもを通して遊ぶ「コンカー戦 conker game」がうちの夫(60代)やその少し下の世代(30代ぐらいまで?)の間のイギリスの男性にとってそれはそれは重要な子供時代の社交行事だったのだそうです。


コンカーに穴をあけて、荷造り用の丈夫な紐を通してみました。

夫が子供の頃はお母さんから借りた編み針(イギリスの伝統的な編み針は鉄製です)で穴をあけたそうですが 私は細めのねじ回しを使いました。

ねじ回しが実の中にキリキリ入って 驚くほど簡単に穴が貫通しました。



相手が吊り下げたコンカーに自分のコンカーを振って(投げたらダメ)ぶつけて割った方が勝ちという素朴で単純なゲームです。

プレーした女の子もいたそうですが、やはりより夢中になったのは男の子だそうです。

夫はそれほど熱心じゃなかったけど、この季節になるとコンカーゲーム以外の遊びは考えられないので、やはりたくさん強いコンカーを用意してゲームに挑んだのだそうです。



やってみました。
交代でひと振りずつ。
一回振ってあたらなかったら交替です。

私は30回以上やって、ただの1度も当たりませんでした。
夫は3回に1度ほどはずしました。

左手の指に紐を巻きつけ右手に短く残った紐をピンと張り、相手のコンカーが完全に静止した状態を見きわめて弾くように振ると豪速球で当たるようです。

夫は子供のころは 外したことがなかったそうですが、子供の時は見えていた右目が今は見えないからとか腰が痛いからとかいろいろ言い訳をしていました。



30回以上やってもあたらないのでさすがに飽きました。
夫も疲れたところでやめました。

めんこやビー玉のように勝ったら分捕れるというわけでもなく、相手のコンカーを打ち砕くのが目的の破壊的(?)な遊びです。

絶妙なタイミングでツボに当たると、ヒモを通した穴からヒビが走り何回目かで粉砕するらしいのです。
子供たちが興奮するのも無理ない?
でも そこまで熟達するのは並大抵のことではありません。

子供たちがあまりにも夢中になりすぎて学校でたくさんのコンカーが没収されたり 校内でのコンカー・ゲームが禁止されたり....それは それはセンセーショナルな遊びだったようです。

今はコンカー・ゲームをする子供はほとんどいないようです。
ゲームボーイを経て スマートフォーンゲームなど遊び方が変わってきているからというのも もちろんですが、「危ない」といわれだしたのもその一因みたいです。

コンカーが当たって歯を折ったり失明したり...本当にそんな事故があったのかどうかはしりませんが、心配されているのは事実です。
私も夫が当てた自分のコンカーがはね返ってあごにあたって痛い思いをしました。

ちなみに、下の息子は小学校の授業でコンカー・ゲームをやったことがあるそうです。
「昔の遊び体験」授業か何かでしょうか。

面白くなかったそうです。
だって....ぜんぜん、当たりませんから!
修練を積んでチャンピオンになって注目されたい!というような情熱もわきません。




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リスボンを離れて現実に戻る!すでに木々に実る赤い実と美しい紅葉への期待....薄曇りの肌寒いイギリスの秋

2019年10月05日 23時52分19秒 | 英国の木々と草花
長々と暑かった9月のリスボンに旅行した話をつづけているうちに.....



イギリスはすっかり秋です。



鮮やかな紅葉はまだ少し先ですが、いつまでも暑苦しい外国の写真を載せ続けていては「イギリス生活ブログ」であるストックポート日報の趣旨に背く!
....というわけで、午後の気温が17度前後、寒いというほどではないもののどんより曇って時々ショボショボ(傘は必要ない)雨の降る昨日のうちの近所の写真です。

夏中花が切れ間なく咲く続けた我が家の前庭の花壇も色あせてきました。


ヒイラギが今年の夏の終わりに何年も待ちかねた赤い実を初めて付けました。


上の写真の黄色いルドベキアの奥にこんもり丸く刈り込んであるのがヒイラギの茂みなのですが、わかりにくいですね。

こんもりと丸く刈り込んでいたから実がならなかったのかもしれません。
幹に近い、刈りそびれた部分に集中して実をつけているのを発見しました。

大木に育ったよそのお宅のヒイラギ。


オレンジ色がちょっと意表をついているのですがこれもヒイラギです。

この通り一帯は1930年代に宅地造成した地域です。
前庭に植えられた木も樹齢90年、都市計画に沿って景観を考えて植樹されたものが多いのです。



街路樹のローワン。


さて、これは何かしら。


常緑樹になる赤やオレンジの実は暗くて湿っぽい北ヨーロッパでは数少ない冬の彩りとして喜ばれています。
ヒイラギに限らず緑の葉と赤い実がクリスマスのモチーフとしてよく登場するのは「ぱっと見た目がハデ」効果と周り一帯死に絶えたような冬枯れの中の「生命の輝き」を象徴するからでしょうね。

町でクリスマスカードが売られる季節になりました。


☝オックスファムでは8月の終わりから売られています。(やれやれ)

リスボンの季節外れに暑苦しい写真がまだあるので、忘れた頃に少しずつ小出しにして載せきることにします!

リスボンはいまだに気温が25度から28度まで上がることもあるとのことですが、もしかして日本もまだ暖かいのでしょうか。
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リスボンから乗り合いフェリーで河を渡って対岸の町へ...またまた行ってしまった眺望スポット、奇妙な宗教モニュメントも拝観

2019年10月03日 20時03分58秒 | ヨーロッパ
リスボンで訪ねた究極の眺望スポット....


...にある巨大キリスト像、クリスト・レイ Cristo Rei(王、キリスト)



リスボンの、河を見下ろす どの景観スポットからも右手(川下)に大きなつり橋(4月25日橋 Ponte 25 de Abril)と一緒に遠目にもはっきりと、両手を横に水平に上げたキリスト像が見えます。


☝左端の塔の上に十字架のようにみえるのがキリスト像なのですが、スマホで読んでくださっている方には判別できないかもしれません。

町の中心の川岸からは もうちょっとはっきり見えたのですが、残念、写真を撮りませんでした。

キリスト像が立つのはテジョ河対岸の河口に近い、アルマダ Almada という都市の丘の上です。

実は、巨大キリスト像なんて特に見たかったわけではないのです。
河を船で渡ってみたかっただけです。

リスボンの観光案内所で、河の向こう側に行ってみたいんだけど、船はあるのか、と聞いてみました。
遊覧船でもあるのかと思ったのです。

20分ごとにフェリーの定期便が出ている、と教えてくれました。

リスボンから発着する向こう岸の到達点は3か所だったのですが、案内所の人は カシーラス Cacilhas 行きを勧めてくれました。

「大きいキリスト見たいでしょ?」

言われたとおり河沿いを歩いてフェリー乗り場に着くと ちょっと驚きました。
観光フェリーではなく、地元の人たちが通勤や日常の用事(買い物とか)に利用する公共交通フェリーだったのです。

フェリーから見たリスボンの町です。


静かな河の上を約15分、向こう岸につきました。

モダンなガラス張りの船着き場を降りるとすぐ目の前に市電の駅と、それなりに大きなバスターミナルがある広場がありました。
小さな灯台と、展示してある由緒ありそうな帆船と潜水艦もあります。

広場にパラソルをすき間なく広げて、テーブルと椅子を並べた魚料理レストランで昼食を食べました。

レストランの写真をのせた記事のリンクです☟

リスボンで食べたもの...その2、ポルトガル名物の新鮮な魚介料理!堪能しました...しかし!わざわざ調べて分かった!環境への影響を考え、いろいろ疑問アリ        (写真多数)


食後、広場からのびるカシーラスの目抜き通りらしい道をちょっと歩いてみました。


☝︎振り返って撮った写真です。奥に見えているのが広場です。

鮮やかな色の3、4階建ての古い建物の間の狭い石だたみの道を歩いていると、南米の田舎の町にでも迷い込んだような錯覚に落ちいりました。

なかなか楽しそうな町という印象です。
撮った写真はこれだけですが。

教会の横の、裏通りにも入ってみました。


どこもかしこも石だたみ。





しかし、何の下調べもせずにやってきたカシーラスの町なかで見るものは他には見当たりません。

(帰国後調べてみたら、美しい砂浜がある河口の海水浴場、橋脚への遊歩道や 古い僧院まであるちょっとした観光スポットらしかったのが わかりました)

やっぱり、ここまで来て見に行かないわけにはいかない、キリスト像。

バスの案内所で直通バスがあることを聞いて 行ってみることにしました。
乗り合いバスで約20分、始発のターミナルから乗り合わせたのはすべて終点クリスト・レイ目当ての観光客ばかり。

船着き場とバスターミナルのある広場を抜けるとバスは ぐいぐい急な坂を上がり続けます。

観光地ではない、普通の街なかのバスから見える景観は生活感たっぷりでとても興味深かったです。

車道も歩道もガタガタ石だたみです。
道の両側には中途半端にモダンで見栄えのしない、1960年代、70年代風のすすけたコンクリートの高層住宅ビルがぎっしりたっていました。

日よけ布を張り出したベランダには洗濯物がいっぱい...

帰り道は歩道ぎりぎりの細い横道を抜けるルートに変わり、人々の生活をもっと身近に目にすることができました。

路上に椅子を数客並べたバーで昼間からビールを飲む観光客ではない地元の人や、間口の狭い商店、戸口の階段に座っておしゃべりを楽しむお年寄り、などなど。

坂の途中のちょっと立派な噴水のある小さな広場の前でバスが停車しました。
噴き上げる水に青藻がいっぱいわいてまるでバスクリンみたい、しかも広い水盤にたまった水はふちにドロドロ泡を吹く茶色い水垢が吹き寄せられ、キタナいことこの上なし。

メインテナンスできないなら噴水を止めればいいと思うのですが。

古い美しい街に生活感が垣間見えた時、「旅情」を感じるものなのですが、バスの行きかえりに見た なんだかショボくて貧しげなアルマダの生活感は…ちょっと違います。

いえ、この町の風景のショボさは日本でもイギリスでも おそらくその他どこでも よく目にする、ごくありふれた程度です。

でもヨーロッパ有数の国際観光地、リスボンに旅行中、しかもリスボン観光の目玉の一つとして知られる観光スポットへの移動中に目にしちゃったというのが…なんだかちょっぴり後ろめたい気分にさせられました。

目的地の高い丘の上には観光バスがたくさん とまっていました。

キリスト像だけではなく、広大な敷地一帯が宗教施設のようです。
カトリック教徒の巡礼の人も観光バスを連ねてやってくるようです。

景観に統一性を持たせるためか 植えられているのはすべて同じ樹齢のオリーブの木ばかり。
キリストの時代のパレスチナ....? か何かに見えるよう意図していると思うのですが。




像の土台は、コンクリートのカッコつけすぎ現代建築。


巨大な鉄の十字架が、てっぺんにキリストをいただくカッコつけすぎ現代建築に向かってドカンと配置されています。


見た時に「この中途半端な角度は何かな?」と思ったのですが、後で写真を見て気がつきました。
キリストがゴルゴダの丘を登った時に担いだ十字架の角度では?

それなりの尺度の(カッコつけすぎ現代建築の上に立っているキリスト像はめちゃくちゃ大きすぎます)キリストが中腰で下にかがめる角度だと思います。

透明人間に担がれた十字架が配置された素晴らしい眺望スポット!


向こう岸がリスボンです。

独裁者サラザールが独断で建設、1966年に開通し、自身の名前を付けさせた(サラザール橋)壮大なつり橋、「4月25日橋」が見下ろせます。



1974年の革命でサラザールが政権を追われると革命勃発を記念する「4月25日橋」に改名されました。

橋のたもとで通行料金を徴収するようです。
車の長い流れが料金支払いゲートで止まってまた動き出すところをしばらく上から観察しました。

カッコつけすぎ現代建築の中は、いかにもカトリック教会好みのモダンで抽象的な内装の 立派な礼拝施設になっていました。

キリスト像の足もとの展望台にも もちろん上がりました。
(建物の中に入ってみるまで上まで上がれることに気がつきませんでした)

料金を払って7階までエレベーターであがり、ぐるぐる回る階段を3階ほど上がって、吹きさらしの展望スペースにたどり着きました。

静かに流れる大河と河の向こうにキチキチとかたまるリスボンの町...絶景です。


(スマートフォーンで写真を撮っても撮れた写真のスケールの小ささにはいつもがっかりさせられます。だから撮ったのは上の一枚だけ)

写真を撮るのが嫌いなうちの夫は旅行中、たった一枚だけスマートフォーンで写真を撮りました。
両手を広げて王国に人々を迎えるポーズの(だと思います)キリスト像を見上げたところ。



無新論者のうちの夫は自分で撮った下から見上げたキリスト像写真をスマートフォーンのホームスクリーンの壁紙写真に使っています!

風がビュービュー吹き付ける展望台にあがったとたん、大音量で流れているステレオ効果抜群の荘厳な聖歌が聞こえてきました。

信者を敬虔な気持ちにさせる効果は抜群でしょう。

信仰のない私たちはウッと吹き出したいのをこらえました。

キリストの立つ足もとの台に世界各国語で...


...というメッセージが刻まれていました。

「神は愛なり」と文語体で書いてほしかったです。


1959年に除幕されたこの宗教モニュメントを建造させたのはやっぱり当時の独裁者、サラザールだそうです。
有名なブラジルのリオ・デ・ジャネイロの巨大キリスト像、「贖い主、キリスト」からインスピレーションを得た(というよりマネ、自分が支配する国の首都を見下ろす立派な宗教像が欲しかったんですね)そうです。

観光客の多くは両手を広げた「はりつけポーズ」でキリスト像と一緒に記念写真を撮っていました。

ありきたりで恥ずかしい(インスタグラムに投稿してたりするともっと恥ずかしい)...というか、信仰のある人もけっこう来ているみたいなのに、罰当たりな感じです。

このカップルは大はしゃぎでした。


はりつけポーズのみならず、キリストの背後でぬかずく聖人のモダン彫刻のポーズまでマネする彼氏の写真を撮る彼女。
それを写真に撮る私。










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やっぱり行ってみたリスボンの観光地、その2 ヘタさにあきれるタイル絵で飾られた、絶景が楽しめる静謐な修道院

2019年10月01日 21時45分37秒 | ヨーロッパ
昨日の続きです。
サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院 Mosteiro de São Vicente de Fora(城壁の外の聖ヴィセンテ修道院)。



17世紀初めに完成したマニエリスム様式の建築物ですが、修道院の基礎が築かれた12世紀の建物の一部が、ところどころ残っています。

資料の展示室にもなっている上階の小部屋いくつかは、とってもロマンチックで、「ここは本当に修道院?!」といった雰囲気です。





すぐそばの、蚤の市が開かれていた広場や通りは身動きもできないほど観光客でいっぱい。
町中、どこを歩いても人だらけです。

観光シーズンの国際観光地、リスボンですから。

しかし、この修道院のこの静けさは何ごと!?

入場料5ユーロは決して高くありません。

国際的な観光地、リスボンの名所としては実は知名度はいまひとつらしいですね。
私たちはあまり感心しなかった、英語のガイドブックおススメの蚤の市を見にここまで坂を上がってきたついでに近くなので寄ったというわけなのです。

青タイルで装飾された壁で有名だというふれこみにひかれて。

ベレンの塔のある、世界遺産、ベレン地区にある ジェロニモス修道院 Mosteiro dos Jerónimos がポルトガルで最も有名な修道院らしいですね。

シーズン中には観光バスが何台もとまり、入場するのに列に並ぶと聞きました。
私たちはそっちの方にはいきませんでした。

このサンビンセンテ、案外、穴場かもしれません。

規模はジェロニモスよりはずっと小さそうですが見るべきところはとてもたくさんあります。

まず、(繰り返しますが)青タイル!

ポルトガル第二の都市、ポルトPorto の大聖堂のクロイスターで見た愉快な青タイルのヘタ絵の写真をたくさん載せた記事のリンクです☟
ポルトの名所、大聖堂

美しいクロイスター(雨ざらしのアーケードに囲まれた中庭)....


...の周りにびっしりタイル絵。





建物の中、ほとんどの壁に生活感あふれる人々の生活が、遠近法を完全無視した風景画を背景に ちまちま描かれたヘタ・タイル絵が張り付けられています。

俗っぽいテーマ!修道院でしょ!?
もちろん私たちはタイル絵の揚げ足取りに夢中になりました。

お尻をつついてたり....


子供とイヌを巻き込んでの大ゲンカ。


弦の切れたバイオリンと野球のバット(?)で殴りあい。

夫はより目とガチャ目探しに集中していました。(顔の真ん中でタイルが切れている顔はほとんど両目の焦点があっていません)


獲物はウサギですよね。大きさと体つきが....


お祈りするウサギ。


階段エリアは絵のヘタ度が一層極まっていました。


同じタイル工房のグループが場所ごとに装飾デザインを担当したのかもしれません。



階段の途中にドアを設ける必要があったためにタイルをはぎ取って壁にペンキで(タイル絵のヘタさを踏襲して)元通りの絵が復元されていました。


何かの文化財か何かだと思うのですがいいのかな?

それにしても、代々国王の菩提寺としての役割を果たしてきた修道院だということなのに、もうちょっと絵の上手な職人を集めるわけにいかなかったのでしょうか。
絢爛たるルネッサンス文化の後、爛熟したマニュエリスム美術の時代なのに。


クロイスターの周りの一室が何気なく豪華な装飾でびっくりです。


すべて、色の違う石をはめ込んだ象嵌装飾で壁も床も柱も飾られていました。


天井は彩色!

ポルトガルの、このタイルに絵を描いて建築物に張り付けることへのこだわりは一体何なんでしょうか。





この修道院の観光上の売り物は、鐘楼に上がる階段の途中で出ることができる、微妙に斜面がついている屋上からの眺めです。


一般の人はここでおしまい、鐘楼のてっぺんには上がれません。





少し下に見えている白亜のドームは Igreja de Santa Engrácia(教会)です。
この教会の周り一帯でこの日は蚤の市が開かれていました。




テジョ河にはデッキ上にたくさんのスイミングプールがある巨大なクルーズシップが数日停泊していました。




屋上の壁に柄ものタイル(あまりもの?)を無秩序に集めて張り付けたスペースがあって、やっぱり装飾チームの美意識にいろいろ疑問がわきました。





ついでです。
リスボン観光の目玉だというサン・ジョルジュ城 Castelo de São Jorge にも行ってみました。




ガイド本によれば、修復しすぎで賛否両論、とのことですが、私はこれでいいと思います。
このぐらい修復してくれなければ、ただの廃墟です。危ないです!

やはり、見ものは絶景、ですね。


中世の城郭があった場所の高級レストランのガラスの壁で風景を移し込んでセルフィーを撮りました。



城壁に上るともうちょっと高さが楽しめます。パンク(若い女性)と夫を一緒に写しました。





なんだか眺望スポットばかり訪ねたような気がします。
実はもう一か所、究極の眺望スポットにも行ったのです。

それは次回。





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やっぱり行ってみたリスボンの観光地、到着した翌日、行き当たりばったりで見てきたもの、その1

2019年10月01日 09時00分00秒 | ヨーロッパ
リスボンには海鮮料理を食べるためだけに行ったのではありません。
行き当たりばったりでしたが、観光もしました。

テージョ河畔から、急な坂道をくねくね上りました。




無秩序にゴタゴタたて込んだ17世紀ごろから残っているものもあるという古い建物が右にも左にも。



多くの古い建物の一階が観光客目当ての通俗なお土産物屋やアイスクリーム屋などなどになっているのは当然ですが、上階には人が住んでいるのです。
観光客向きの「民宿」の看板を上げているドアもありましたが。

洗濯物や、よく手入れされた植木が窓やバルコニーの手すりから下がっていますし、サテライト・ディスクもたくさん取り付けられています。

歴史ある古い町の生活感!

強烈な旅情を感じるのはこういう小さな路地を横目に通り過ぎた時。



たどり着いた目的地は、図書館で借りたガイドブックおススメの、火曜日と土曜日に開かれる Campo de Santa Clara の蚤の市。


リスボン到着の翌日が火曜日だったので思いついて行ってみることにしました。

リスボンの中心バイーシャ Baixa の東、河畔から坂のてっぺんにあるサン・ジョルジェ城までの間の地区をアルファマ Alfama といいます。

そのアルファマの中心、急な坂道の中ほどにある、白亜のドームが美しい Igreja de Santa Engráciaという教会の周り一帯を「聖クラーラの野原」と呼ぶらしいのです。
その(野原ではなく)広場と広場から広がる急な坂道の両側いっぱいに露店が並んでいました。



生活感あふれる不用品市(と掘り出し物)を期待したのですが、発展途上国製の工芸品や地元作家の手作りアクセサリーや革工芸、専門の業者が出品するセカンドハンド品が多く、商業的でかなり期待外れでした。



☝木と木の間にテジョ河が見えています。
この辺りは展望スポットでもあるのです。


すぐそばのIgreja de São Vicente de Fora(城壁の外の聖ヴィセンテ教会)と 隣接するMosteiro de São Vicente de Fora(城壁の外の聖ヴィセンテ修道院)に行ってみました。(ガイドブックのおススメスポットです)



目当ては修道院でしたが同じ敷地内にある教会にも立ち寄りました。

多くのポルトガルの教会同様、清楚な白い外観(写真がありません、残念)にかかわらず内部はけっこうゴテゴテしています。



ルネッサンスやらマニエリスムやら混合様式のけっこう建築史上重要な建物なようです。

バルセローナの大聖堂でも見かけた、各聖人を奉る個別の廟がいくつも身廊の両側にありました。
聖人の名前が書かれた募金箱がそれぞれに取り付けられていて....


(☝よく知られたアッシジの聖フランシスコと聞いたことない聖 Bras ...調べました、聖ブラシウス、やっぱり知りません...が募金箱をシェアしています)

「聖人 人気コンテスト」のようでした。

「どの聖人が一番たくさん募金を集められるか?」

バルセローナの大聖堂でも、もっとずっと大規模に「聖人 人気コンテスト」が繰り広げられていました。

この「聖バルバラ」はコスプレ・マネキンまで導入してコンテストに力が入っているようです。


しかもキリストの強力な友情出演まで...

私はいくらでも見ていられたのですが夫が飽きたというので、本命の修道院(下の写真の壁の向こう)に移動します。



(☝写真の階段のてっぺんが教会の入り口です)

修道院の中庭のブーゲンビリアが花盛りでした。





9月の半ばに南国の花の美しいディスプレイが見られて最高の気分でした。




なんだか長くなってしまいました。

城壁の外の聖ヴィセンテ修道院については次回に....


「城壁の外の」というのは名前の一部です。「de Fora」は「外の」という意味だそうです。

期待外れの蚤の市やついでに入った教会の写真までゴタゴタ載せてリスボン記事を引っ張っているような気もしてきました。

例年になく暖かいイギリスの秋ですが、朝夕は次第に冷え込むようになり、一昨日この秋初めてラジエーター(全館暖房)を実験的につけてみました。
(昨日はまた15度前後の暖かさが戻り、朝夕も暖房なしで過ごしました)

.... そう。「冷え込んできました」意外にお伝えする特にイギリスらしい話題も今、ないのです。
ああ、日が短くなっています。


暑い日が10月になった今もつづくというリスボンの話題にもう少しお付き合いください。
















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