べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

下草刈り

2007-07-27 20:31:27 | 長岡市深沢町 山の木


今年は梅雨が長く、連日80%を越す湿度のため、木の乾燥がうまくいきません。

深沢町W邸でも同様で、6月はじめに上棟し、外部を塞いだ状態ですが、内部の構造材は乾燥が進まず、逆に、高湿度のために、水分が戻ってしまいました。

内部の渋が浮かび上がり、しみだらけになり、表面にカビが生えてしまいました。

梅雨という季節もありますが、外部の湿気対策を行うことにしました。
裏山は杉の木を伐採したので、草が伸び放題になっています。
草から蒸発する水分も考えられるので、これを下草刈りの要領で倒していきます。
お客さんがこれを見て、草刈機を使って手伝ってもらえました。

草を刈っていくと、昨年植えた記念樹のようなものも見つかりました。周りの草のほうが成長が早いため、草に隠れてしまっていたのです。
陰になると、木の成長は止められてしまいます。
植林してある程度木が育つまでは、こうした下草刈りを行わなければなしません。

昔は、よく、山へ行って、下草刈りをしたものです。

こうすることで、木の成長を促すとともに、通風も良くなり、土壌の保水力も上がり、活性化します。
保水力が上がれば、浸透して地下水になり、山の麓(ふもと)で水が湧き出るようになり、飲料水や農業用水に使えます。
里山を手入れすることで水源としての山林を持続してきたのです。


それにしても、最近は草木の伸びるのが早くなったような感じがします。
植物は光合成により水と二酸化炭素を酸素と糖分に変え、糖分は自分の体を形成していきます。
化石燃料の消費による二酸化炭素が増えたため、温暖化の問題が生じていますが、植物は植物でその成長を高めることによって、二酸化炭素を減らす仕事をしているのではないかという気もします。

草の一本一本が地球温暖化に対して働いているのに、人類は戦争だの、原子力だの世界経済だのと、全く温暖化に対して対策をたてようともしない。
草の命を絶ってまで家の湿気対策などとは人間のエゴもここまでくると非情極まりないような・・
それでも、森林を育てれば、草よりも多くの二酸化炭素を固定できるのです。
その木を使って、家を作れば、家自体が炭素のかたまりで、その分、二酸化炭素を減らすことができます。
木を育て、使うことは人類にとって最良の温暖化防止策になるのではないでしょうか?

そんなことを考えながら、草を刈り終わったら、からりとして風が通るようになりました。
まだまだ梅雨は開けませんが、少しずつ改善の方向に向かっています。
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マルユー見学

2007-07-23 21:51:11 | 長岡市深沢町 山の木


まだ梅雨は明けないのでしょうか?
今年の気候は何か変・・

この日曜日に、村松のマルユー木材の社員研修旅行の帰りに、深沢町W邸へ立ち寄りました。

裏山の木を伐採した職人さんがその奥さん連中に、

「この木を切ったんだ。
ちょっと間違ったら、下の家に突っ込むので、苦労した。」

と、説明していました。
奥さんも、

「夕方、遅く帰ってきて、心配だったが、こんな遠くで仕事をしていたとは・・」

と、心境を聞かせてくれました。
木を切った裏に、いろいろな背景があり、人間ドラマがあります。
その、ドラマの積み重ねが1つの家作りにつながっている・・

まさに、その切った木が組み合わさって、新しい家が建っているのです。
しかも、伝統木組みで・・この中越沖地震の震度6弱でもびくともしなかった家に生まれ変わりました。
材木屋さんも驚き、喜んでかえっていきました。

お客さんも同席していて、社長さんの話を聞いていて、満足したようです。

「この、差し(鴨居)なんて、1本10万円はしますよ!」

そおだったのか・・もうちょっと、もらえば良かったな・・
でも、先祖代々の木だから、この家にふさわしいと思います。
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新潟県中越沖地震時の深沢W邸

2007-07-18 19:58:07 | 長岡市深沢町 山の木
地震時に建築途中であった深沢W邸では、当日、左官屋さんとお客さんが一服している最中だったとのことです。

横揺れがはげしく、お客さんと二人で呆然と建物を見ていたそうでしたが、屋根が1尺(30センチ)も横に揺れていたそうで、何回か揺れているうちにピッタッと真ん中で止まったそうです。

これを見ていたお客さんは、

「この地震でこの程度だったら大丈夫だ」

・・と喜んでいたそうです。
だって、この建物、まだ1階耐力壁が工事途中で、2階は外部のみ、2階床は全く手をつけていないので合板による水平合成はないので、ほとんど骨組みで持っていたようなものです。
そして、重たい瓦屋根ですから・・
完成すれば、さらに上のクラスの地震でも大丈夫だということです。

中を点検してみたところ、仕口が開いた所は一箇所も無く、栓や込み栓部分にヒビも入っていませんでした。
屋根瓦も異常なし。さすが耐震施工。

長岡は柏崎に比べれば規模は小さかったようですが、柏崎よりの深沢なので震度6弱以上はあったかと思います。
度重なる余震にもびくともしない・・

伝統構法・・恐るべし!
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杉羽目板貼り

2007-07-11 21:37:09 | 長岡市深沢町 山の木


深沢W邸の外装工事がはじまっています。
1階部分は杉の羽目板を縦に貼ります。
2間の長さなので、足場の上と下とで釘を打つのに2人かかりです。

山北森林組合の製品で、人工乾燥されていますが、外装には半生くらいがいいかと思っています。
あまり、乾燥度が高いと、雨がかかり、濡れると木が増えて互いに羽目板が押し合って、応力がかかり、最終的には釘が浮いて板が外に反ってきます。

貼るときに、なるべく隙間を空けて、長い通りを貼るときは、ジョイント部分を何箇所か設けて、そこで板の遊びをつくっておく工夫が必要です。
窓の周りも、増えることを想定し、隙間をあけておく必要があります。

大工がいい仕事をして、ピッタリとくっつけた場合が、一番危ない施工です。
はじめの見た目はすごくいいのですが・・
内装はそれでよくても、外装の場合は逆です。

横張りにして、鎧張りにする昔ながらの方法がいちばんそのことについては長けています。
板が増えても重なりで調整します。
縦胴縁がイナズマ型に切って、横板を収める方法もありますが、かえって逆効果かもしれません。透かして、自由度をもったほうが良いと思います。

木が増えたり減ったりするメカニズムを承知しながら使わなければならないので、面倒ですが面白いものです。
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霧除け

2007-07-09 20:57:13 | 長岡市深沢町 山の木


伝統構法の「渡りあご」仕口を用いた場合、梁と桁は互い違いに交差して、梁が外壁よりも出てしまいます。
また、通し柱を貫通した梁、けたの「打ち出しホゾ」も同様に外部に突き出してしまいます。


古民家や土蔵でも同じことがいえますが、この突出した部分は、そのままむき出しになっているのが特徴です。
この部分の腐食を防ぐのに、屋根鼻を伸ばして雨が直接当たらないようにしていました。

深沢W邸の場合、この突出部分を雨から守るために、「霧除け」(庇)で巻いて隠してしまう方法をとりました。
突出した梁に下地を設けて、霧除けの骨材としています。
これで、風雨からまぬがれ、耐久性を高められるでしょう。

また、連続していない部分は、個別に板を上に打ちつけ、鉄板で巻いているところもあります。
昔は、そのままだったのでしょうが、防水性、耐久性を高める工夫をしています。
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安田瓦葺き

2007-06-13 18:53:35 | 長岡市深沢町 山の木


深沢町W邸で、瓦葺き工事が終了しようとしています。
2・3日晴れているので、工事もはかどっているようです。
ただ、気温が30度まで上昇し、暑いさなかでの作業で大変そうでしたが・・

瓦は安田瓦を使用しています。
新潟県産の瓦で、中越地震の被災者の場合、1/2補助(最大85万円)が受けられます。
中越地震以来、新築やリフォームは屋根に瓦を葺くことが少なくなりました。

 瓦は地震に弱い

という、風評が広がったためです。
地震で瓦の落ちた屋根は、殆どが鉄板屋根に貼り替えられ、新築でも鉄板のほうが軽いということで、鉄板を採用してしまいがちです。

実際は、葺き替え時期のセメント瓦の屋根や、棟瓦に透かしを入れたりした豪華な瓦屋根が被害にあっていて、確実に施工していた焼き瓦の屋根は被害が殆どありませんでした。

屋根が重くて構造がもたなくなった家は、何処かに欠陥があり、全半壊になったようです。(壁の配置や金物等の入れ方)
屋根が重い場合は、それなりの構造の強化が必要です。
(瓦のせいにしてはいけない!)

現在は、耐震施工の指針があり、瓦を屋根鼻から無理にせり出さず、棟瓦も金物や鉄筋を入れて、銅線でしっかりと固定します。(写真)
1/2補助もあるので、カラーステンレス鋼板屋根よりも安く済みます。
最近では鋼材の価格が高騰しているので、鉄板を葺くよりも安いかもしれません。
鉄板屋根は寿命が短いし、傷むと補修がやっかいですが、瓦の場合は20年以上は耐久性があるし痛んでもそこだけ取り替えれば良いという利点があります。


瓦屋根を葺く場合、構造の強化は必至です。
小屋梁も一回り大きい材料を使い、木組みもがっちりとしておく必要があります。
今回、3間(5.4m)を飛ばす大空間を作りましたが、登り梁と床梁の2重対応をしていて、瓦の重みでたわんだのは、皆無か2㎜程度でした。

でも、雪国の場合、瓦の重さよりも雪の重さのほうが遥かに重いのです。
たとえ鉄板にして軽くしても、雪の荷重からは逃れられない地域のため、瓦であろうと鉄板であろうと雪に対する構造をしっかりしておかなければなりません。
200年周期で起きる大地震に備えることも必要です。

伝統構法の木組みは、昔に起きた地震や豪雪の経験で、これに対応する方法を組み込んできているので、基本に忠実にしていれば耐震、耐雪性能は自ずと確保できるのです。
(実際、我が社の伝統構法の物件は地震当時、無傷でしたから・・)
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上棟式 無事終了

2007-06-11 15:05:02 | 長岡市深沢町 山の木


インド北部で高熱による被害が出ているとのこと。
気温40度以上の日が続き、熱射病、日射病による死者が多数・・

日本でも、昨日・一昨日と不安定な気圧配置により局地的な集中豪雨が観測されました。

温暖化の影響と思われますが、今回の先進国首脳会議に、地球温暖化防止がテーマとなり、アメリカの参入が決定。ただし、中国、アフリカ等の発展途上国の結束も決まり、温暖化の責任は先進国にあると言及。温暖化防止における技術提供と補助を要求しました。

エネルギー、食料問題や温暖化防止問題をめぐっての南北対立が懸念されます。

海抜の低い地域をかかえる国では、海面上昇による国土の減少が進んでいますが、その多くはアジアやアフリカです。
中国やインド等人口の多い地域が経済発展しようとしていますが、規模も大きいので温暖化に対する影響は多大なものとなるでしょう。

インドも今回の件で、地球温暖化に関心を持ってもらえばよいのですが・・
それ以上に、このサイトをご覧いただいている皆様方も、温暖化に関心を持っていただきたい。



深沢町W邸の上棟式が無事終了しました。
あいにくの雨で、屋根に上がることはできませんでした。2階の屋内での式となりました。

昔は、クレーンなど無く、親戚や村中の人たちが集まり、家を建てたものです。
大工は数人。あとは力仕事等で協力してやぐらを組んで縄で吊ったり引っ張ったりして重い梁を上げていました。
時間も数週間くらいかかったのでしょう。

上棟式では無事に棟(屋根の一番てっぺん)が上がったことを祝い、手伝ってくれた人たちに家族が振る舞いをしました。

現在では、ハウスメーカーではオプションか、やらない事が多いようですが、お客さんにとっての節目でもあるので、我が社では率先して行うことをお薦めしています。
家内安全を願って一家が結束してもらうのが一番の狙いなのですが・・

その姿・形を表した木組みの家に愛着を持ってもらい、ここで住むことに期待を高める・・
家族が一緒にここで暮らすことをイメージして、いろいろな意見を言ってもらえば、この家が更に生き生きとした作品になることでしょう。
そのプロセスが楽しいのです。
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深沢町W邸 全景

2007-06-07 21:36:34 | 長岡市深沢町 山の木


深沢町W邸の建物全景です。・・といっても全部写ってないか・・
構造部分が組みあがり、屋根の下地材を貼った状態です。

破風板は、この裏山の木で、和室の差鴨居や大梁を取った丸太の背板を使っており、殆ど無節で赤みのある美しい杉板になりました。
塗装するのがもったいないくらいです。
切妻屋根の直線的な破風板と円形屋根の曲面が対比しあっておもしろい形になりました。

明日は、いよいよ上棟式の日です。
雨の予報ですが、式のときだけでも晴れてくれれば屋根に上がって行うことができます。
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金輪継ぎ(しりばさみ継ぎ)の効果

2007-06-06 20:23:28 | 長岡市深沢町 山の木


クレーンに吊られている材料は母屋(もや)です。
長さは10m以上あります。
1本物ではありません。概ね中央あたりで継いであります。
しかも、クサビ1本しか打っていません。

金輪継ぎ(しりばさみ継ぎ)は伝統構法の継ぎ手のひとつですが、
2本の同じ形状の材料をつなぐ時に用います。
複雑な形状ですが、継ぎ手を組み合わせて、クサビを打つことで、まるで1本の材料のようになります。
そして、1本の材料として吊っても平気なくらいの強度がでます。

プレカットや在来木造の場合は「鎌継ぎ(かまつぎ)」になりますが、こうはいきません。


蓮潟町T邸の場合・・

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登り梁

2007-06-04 22:44:17 | 長岡市深沢町 山の木


先週の土曜日に深沢町W邸の建て方がほぼ終了しました。
後半は晴れた日が続いたので、はかどりました。

写真は、登り梁で、屋根勾配で斜めに傾いた梁です。
屋根を支えつつ、台所や居間の吹き抜け空間を形作る大事な構造材です。

登り梁は4本あり、化粧仕上げとなって、吹き抜けの天井部分に現しになる予定です。

こういった見せ場が随所に散りばめられています。
当然、加工も時間がかかりました。1本仕上げるのに3~4日かかっています。
延々と梁ばかり刻んだ大工が、どのように納まるか、真剣に見ています・・

苦労したところは、うまく納まるとほっとします。
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1階部分 終了

2007-05-31 20:47:52 | 長岡市深沢町 山の木


昨日は、晴れて1階部分の建て方が終了したのですが、今日は1日雨で外仕事は殆ど進まない状態でした。

内容は、込み栓や栓、くさびの打ち込みで木を締め、「屋起こし」を行いました。
これが終わらないと、2階にすすめません。

1階部分が広いため、込み栓打ちだけでも半日以上かかりました。
屋起こしが終わったのも夕方ちかく・・
レッカーも殆ど物を吊らない1日でした。

明日は、いよいよ2階と小屋組みです。
今週中には何とか形にしたいところですが・・
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建て方 はじめ

2007-05-29 21:26:31 | 長岡市深沢町 山の木


快晴。いよいよ深沢町W邸の建て方がはじまる。

今日は和室部分で終了かと思いきや、意外とスムーズな展開で、1階の半分以上は終了しました。
明日は夕方から雨のようで、なるべく進めておきたい所・・

今日は疲れたので、コメントは短めにします。
写真は、建て方の様子。

大きな床梁は居間の天井に現しにする予定。(裏の山の木を使用)
伝統構法の仕口は普通では見受けられないと思います。

組みあがったら、がっちりとして、筋交いがいらないくらいでした。
見学に来ていたお客さんもおお喜びで見ていました。
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柱 墨付け

2007-05-28 21:07:30 | 長岡市深沢町 山の木


先週は、晴れ間が続いたのですが、土曜日に西からの大風が吹き、中国からの黄砂が飛んできたようで、晴れなのに霞がかかったようでした。
最近は、中国からの汚染物質・・特に酸化窒素化合物の光化学スモックによる人的被害が広がっているようです。
幸い、土曜日は気温が高かったのの対して風が強く、体感温度は低かったし、汚染物資も流れたようで、光化学スモッグの被害はなかったようですが、方々で学校の運動会が催されていて、風が無ければ、幼児童の被害が続出したでしょう。
高齢者の方も晴れていて散歩に出られたようですが、熱射病に加えて日射病、光化学スモッグや紫外線の影響が心配されます。
風が無ければ、事態は大変なことになったかも知れません。

中国の汚染物質の飛散に関しては、土木学会サイトで10年以上も前から、「酸性雪」の現象が確認されていました。
最近は、光化学スモッグの形で、汚染物質の被害が拡大しています。
光化学スモッグなんて、昔の川崎などの重化学工業地帯の煙害みたいなものだと思っていましたが、日本海側を中心に気流に乗った大陸の煙が原因となっています。
日本の高度経済成長期に工業汚染による人的被害が続出しましたが、現在は海を越えて中国からやってきます。

黄砂が降る時は要注意なのでしょう。


さて、深沢町W邸の刻みも先週で終わり、いよいよ明日から建て方が始まります。
本日は材料の運搬や土台敷きで、明日からの準備で大忙し・・

写真は、既に終了しましたが、柱の墨付け時の風景です。
延々と続く柱の墨付け・・数えたくもないけれど、1階で100本近く墨をしたような・・


管柱(くだばしら)は「長岡地域森林組合」の人工乾燥による柱がメインでした。
表面の乾燥度は15%を切るのもありましたが、40%以上のものや、持つとズッシリと重い柱もありました。
どんなに表面が乾燥しようとも、中身は生だったりします。
節から水分が出てきている柱や柱同士をくっつけておくと、湿っぽくなっています。
森林組合の責任者を呼んで、見てもらいましたが、こんなものだと言います。

他の材木屋さんも、
「こうなる」
と言っていたのをみると、全体に人工乾燥の杉材はこういう感じなのでしょう。

      杉は乾燥が難しいとも言います。

加工工程は、含水率150%以上の生木を窯に入れて、水蒸気を噴きつけ、高熱を加えて徐々に中の水分を抜くというもの。
天然乾燥に比べて短時間に仕上がりますが、木もいろいろな個性があって、強い材料や弱い材料、色の黒いものや赤いもの、曲がりやすいアテが多いもの、すんなりとしたもの等、千差万別の物を、皆同じ物として窯に入れて同じプログラムで処理するのです。
誤差が出て当然でしょう。

天然乾燥は、時間はかかりますが、木の個性を見ながら乾燥ができます。
乾燥が進んでいるものから選んで出荷すればよい。
渇きが早いものや遅いものを見比べられるし、アテの発見もできる。
表面乾燥度は、20%以上だったりしますが、中も平均に乾燥していると思われます。
人工乾燥は、表面が極端に乾燥しているのではないでしょうか?

杉ブランド材の基準として、表面含水率が構造材で20%以下、造作材、下地材で18%以下と定められていますが、内部までは基準はありません。
構造材や柱のような断面の大きな材料だと、水分が抜け切れず、2~3ヶ月で塞いでしまうと、後で建具の建て付けが狂ったり、床が狂ったりしかねません。
下地材に人工乾燥材を用いたほうが得策かと思います。


・・ということで、柱を立てて、隙間を開け、乾燥中の人工乾燥材の柱なのでした・・2~3日でけっこう乾きました。
(こういうことは、大工側ですることではなく、材木屋さんのほうでするべきことなのですが・・)
怪しい材料は除いて次回に回すか小屋束にまわすかの工夫をしています。
見えないところで、苦労をするのが地元産材活用の醍醐味です。


       苦労無くして県産材は使い切れません。


返品してもいいのですが、もったいないし・・工夫して最大限利用するほうが資源を有効に活用できるというもの・・
束にしかできなければ、それはそれで、材木屋さんに交渉して値段を下げてもらえばよい。(だって、柱で頼んでるんだもん)

まだまだ、乾燥技術のあまい、森林組合ですが、使っていかなければ地元の間伐材が流通できないのです。
「品が悪い」
と文句を言って使わないよりも、工夫して使いながら、徐々に乾燥レベルをあげてもらったほうがよいと思います。
木の性質を知っていれば、何とかなるもの・・

2~3ヶ月でふさぐのではなく、建ててから乾燥期間を設けて、狂わせるだけ狂わせてから造作に入ればよい。
最低でも1ヶ月くらいは乾燥期間をおきたいものです。
そうすれば、後でクレームがくるのが少なくなるし、お客さんも安心できます。

これから何十年と住むのに、たった1、2ヶ月工期を短縮して粗悪な住宅にするよりも、待ってよりよい家に住んだほうがいいのではないでしょうか?
これは、県産杉材に関してではなく、あらゆる木材にも言えます。
米松なんて、杉より狂うのですから・・しかも、間伐材みたいな20~30年生のものが多く見受けられますし・・強度もどれだけ確保できるか疑問です。
金物も、建設中に緩んでくるので、締め直す工程も必要です。

工期は短いほうがいいのは、工務店だけで、お客さんにとってはデメリットが多いのです。
唯一、メリットがあるとすれば、契約して何ヵ月後に直ぐに入れるということだけです。その間の貸家の家賃が安くあげられるというのでしょうが、何十年と住むのに数十万円浮かせて粗悪な家になった場合、とりかえしのつかないことになる。

家のクレームは工務店に言えばよいというのは、我ら工務店が使っている木を工夫して使わないで直ぐに材料屋にクレームを言ってとりかえるのと同じことなのでしょう。

私はお客さんに、あえて、短時間で仕上げると、家が狂ってしまうと忠告します。
お客さんも、それを聞くと、少し待とうかと言ってくれます。
いい家をつくりたいというこちらの姿勢をみれば、お客さんも納得するのです。
我々工務店は、決して悪い家をつくろうと頑張っているのではなく、いい家を作りたいがために汗水を流しているのです。
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差鴨居加工

2007-05-21 23:20:25 | 長岡市深沢町 山の木


今週は木曜日まで晴れる予報です。
久しぶりにまとまった晴れ間が期待できます・・どうなるか・・

先週、工場にお客さんが加工現場を見に訪れました。
自分達の住んでいた裏山に立っていた木が、製材され、差し鴨居の材料になって、そのボリュームに驚いていました。

昨年の伐採時には、もう一軒の住宅に使う予定だったのですが、十本近く使うことに感激していたようです。
先祖代々の木を使わないのはバチがあたります。

主に和室や居間の差し鴨居や床梁に使います。
色を塗るかどうかは、カンナで仕上げてからのお楽しみです。
紅白ならいいのですが、黒が混じったり、節が強かったりした場合は、塗ったほうが良いでしょう。

今週の後半に土台敷きをはじめる予定です。
来週は良い天気が続くと好いのですが・・
おそらく、建て方に1週間くらいかかるでしょう。
組み方が大変なので・・
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差鴨居 材料

2007-05-16 20:40:22 | 長岡市深沢町 山の木


「山の木を使った家づくり」の究極版でもある深沢W邸の加工も終盤に差し掛かってきています。
写真は、「差鴨居(さしがもい)」の材料ですが、昨年の裏山の木を伐採した木がまさにここにあり、新しい家の要となる構造材として生まれ変わろうとしています。
先祖が子孫のことを思い、植林し手入れをしてきた木が、子孫の安全を守る家の材料に姿を変える・・

それも、こんな立派な差し鴨居はめったに手に入らないくらいの良い品です。
これぞ、究極!!
墨付け作業も緊張します。

今日は昨日の雨模様と打ってかわって、快晴。
外で材料の加工をするのに絶好の日和です。

明日はまた雨になるようで、良い天気が続かない毎日です。
先週の週間予報では、今週は良かったはずなのに、雨・風になってしまうのです。

今年は、異常だ・・

国連のIPCC(地球温暖化に関する政府間パネル)の報告では、北極の氷が今世紀末には消滅する予定が30年早まり、今世紀前半になるとの予想です。
南極の氷も解けているので、温暖化による海面上昇によって、東京湾の水位が上がり、沿岸の地域は水没してしまう。

また、シベリアの永久凍土が溶けだして、氷の中に閉じ込められていたメタンガスが大気中に放出され、さらなる温暖化が加速。(メタンガスは二酸化炭素よりも温室効果が高い。)
シベリアにおける再造林のない森林伐採が原因で、輸出先は日本や中国。
中国国内では伐採規制がしかれ、木材に関しては輸入に転じています。

紫外線もオゾン層の破壊によって、この季節に大量に放射されている。
各化粧品会社がUVカット製品をこぞって販売しています。

地下水も汚染され、飲料水に関しては家庭内浄水器やコンビニのミネラルウォーターを購入している。
BSE問題を根本から解決しない間に牛肉輸入再開の圧力をかけられる日本。
食料自給率が30%代の日本では、まだ減反の話が・・
政府備蓄米の売りさばきで悩んでいる間にWHOは農産物輸入の自由化を迫る・・

問題は山積みなのに、一つとして問題の根本原因に関してはメスを入れない。
対処療法のみで、それ以上深くは追求しない・・
景気が良くなると、環境問題の影が薄くなってしまいますが、数年前の状況とは全く違います。
というのも、全く猶予がないということです。
環境問題に関しては、既に影響が出てきているので、根本的に変えたとしても、直ぐか、遅すぎという状況にあるのです。

数年前と違うのは、その問題に対しての対策を試行錯誤してきた企業やNPO、個人が増えていることも事実です。
また、政府もそれに関しては、補助金も出してきているし、行政自体も積極的に動くようになってきました。

うちの会社も、新築、改装工事に用いる木材の99%が県産材に切り替え、外材や建材の値上がりによる影響をほとんど受けていません。
地域経済や地域環境への貢献度も上がってきていると思います。

お客さん一人ひとりの家作りに対して、どこまで命をかけられるか・・
それだけが目標なだけ。
その答えの副産物が、伝統構法や県産材利用だったりします。
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