平成28年国交省告示611号の公布により
大規模建築物の木構造の検証が可能になりました。
CLTの利点としては
○大規模な建物の木造化が可能
○工期短縮が図れる
○CLTが耐火被覆も兼ねる
○建物の軽量化による基礎の簡略化
◎森林資源の大量な活用が可能
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等が挙げられますが、今までは建築基準法に適用するために様々な実験と検証が必要で、複雑な構造解析が必要とされてきましたが、平成28年4月1日の国交省告示第611号の公布、施工によってCLTの規格、設計法が確立され、設計・施工が可能になりました。
平成28年 国交省告示第611号の概要
第一~第十二の項目に別れ、この基準を満たしたCLT工法の建築物が建築基準法上、認められます。
大規模な木造ビルが可能に!
中高層建築物というと、殆どが鉄骨造の採用になっていましたが、海外では9階建て以上のCLT建物がどんどん建っています。圧倒的な工期短縮が図れるのが魅力のようです。
告示第611号の公布・施行によって、日本国内でもようやく、その導入の糸口が出来上がったといったところです。
鉄骨造が木造に入れ替わる事で、膨大なボリュームの木材が使用され、都市が「第二の森」になって炭素を大量に固定できるワケです。山側でも雇用の促進が強化され、伐採、製材技術の継承が行われる突破口となりえます。
9階建てのビルも設計が可能に・・
告示第611号の解説
第一 適用の範囲
CLTパネル工法を用いた建築物等の構造方法を定めています。
一.時刻暦応答解析ルート
高さ60mを越える建築物の場合
二.保有水平耐力計算による(ルート3)
高さ31mを超えるか、4階建て以上の建築物
三.許容応力度計算による(ルート2)
高さ31m以下で階数が3以下の建築物
四.簡易的な許容応力度計算(ルート1)
高さ13m以下、軒高9m以下、階数3以下の建築物
9階建てビルの場合は、「二」の保有水平耐力計算によるルート2の建築物となります。
第二 材料
CLTパネル工法に使われる材料の品質を定めています。
一.CLTパネルの品質
今回、平成28年国交省告示第562号(告示1024号の改正)によるCLTの許容応力度・材料強度が新たに加えられ、それに沿ったパネルを使用する事が定められています。
二.柱・梁の品質
フルパネルCLTと言えども、部分的に既存の柱や梁を使います。
現行の建築基準法に沿った材料を使います。
三.接合金物の品質
各部に用いる金物を定めています。
第三 土台
一.土台を設ける場合は、基礎に筋結する。
二.土台の幅はCLTパネルの厚さ以上の寸法にする。
第四~第六 CLT部材
第四~第六はCLTパネルで実験検証した結果の留意すべき点と解決策をまとめたものです。
・第四:床版
・第五:壁等
・第六:屋根版
第七 防腐処理等
通常の木造と同等に地上1m部分は白アリに対する対策が必要です。
第八~第十 構造計算の方法
構造計算の検証方法を定めています。
・第八:保有水平耐力計算による(ルート3)
・第九:許容応力度計算による(ルート2)
・第十:簡易的な許容応力度計算(ルート1)
9階建てのビルの場合は、第八のルート3の構造計算方法になります。
第十一 耐久性等関係規定の指定
限界耐力計算を行う場合に用いる規定ですが、まだ詳細は明らかになっていません。
第十二 構造計算にルート3を用いた場合に除外される規定
ルート3の方法で安全性を確かめた場合に第三~第六のうち、除される規定があります。
以上が告示第611号のおおまかな内容です。
第一~第十二の規定に沿えば、CLT建築物が設計できる事になります。
2時間耐火構造が必要
実際、9階建のビルを建築しようとした場合、消防上、2時間耐火の耐火構造にする必要があります。
現段階ではCLTで「燃えしろ」を考慮した断面設計とすることで1時間耐火は実現できますが、それ以上になると「耐火被覆」が必要になります。(強化石膏ボード3枚重ね貼り等が必要になります)
現行では、「木造であっても木の露出した部分が無い」
という建物になりますが、それでも森林資源の活用を考えれば、都市に大きな需要があるのならば、それを期待したいところです。
CLTについて
CLTパネル工法プランニング支援ソフト「高度1万ミリ」
株式会社 藤川建設は・・・
長岡市で注文住宅を手掛けています
越後杉で家づくりをしています。
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