べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

建て方(3) 蓮潟T邸 破風板取り付け

2008-12-04 11:58:38 | 蓮潟町 T邸(越後杉)


本日も快晴。
昨日までに、蓮潟町T邸の屋根塞ぎが終了し、フェルトを敷いてとりあえずは雨の心配も無い状態になりました。
昨日の夕方に雨に降られましたが、屋根野地も殆ど終了していたので、助かりました。



本日は、晴れ間を利用して、市内の冬囲いの作業に取り掛かっています。


それにしても、蓮潟T邸・・かっこええわ・・(設計した自分で言うのも何ですが・・)
特に、正面の丸柱とその上の屋根がせり出しているところ。
構造としても、無駄の無いすっきりとしたデザイン・・

造る側も、デザイン的に、構造的に良い建物のほうが、造り甲斐があります。






破風の取り付く部分(母屋の先端)には、実(さね)加工が施されている
破風板に、はめ込むように板側にも溝が彫ってあります






破風板と破風板のジョイント部分にも実(さね)加工がされています。


板状の木材は、乾燥と共に反り、材料によってクセが違うので段違いになります。
それを防止するために、お互いに溝を彫って、そこに硬木を差し込みます。




破風板取り付け風景
母屋との実(さね)、破風板のお互いの実(さね)
を合わせながらはめ込む作業です。
単に、打ち付けるだけではない・・表面からビスで止めるのは楽だが・・
長期間の使用で狂うと違いが出てきます。
苦労して取り付ければ、寿命も長い。



建て方(2)へ・・

建て方終了へ・

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建て方(2) 蓮潟T邸

2008-12-02 19:43:53 | 蓮潟町 T邸(越後杉)


本日も快晴。
朝は、放射冷却現象によって、霜が降りていました。
朝方の高所作業は滑る危険性があります。
暖気によって、霜が解けてから作業開始。

2階柱から小屋組は、昼前に終了しました。
天気が良いと、作業もはかどります。

この日、夕方までに本屋のタルキまで上げることが出来ました。
2日でここまで進むとは快挙!
在来工法では当たり前の日数なのですが、伝統木組みで2日は記録更新です。
1階に「差し鴨居」を多用すると、もう1日必要なのでしょうが・・となると、見附市K邸のペースとなります。
ウチの大工も、このやり方に慣れてきたのもあります。




中引(なかびき)を小屋束に差した天秤に載せる




中引は大栓によって固定される
中引きは小屋組の「背骨」、梁は「ろっ骨」にあたる。






伝統構法ではポピュラーな「金輪継ぎ」





中間を金輪継ぎで7mの長さの軒桁をクレーンで吊る
プレカットではこうはいかない。







プレカットではポピュラーな「鎌継ぎ」






丸柱の柱頭部の納まり


丸柱の上端部は、「頭押え」とも言うべき丸太で固定します。
頭押さえには束2本が差さり、棟木の延長のようになる。この棟の通りが、この建物での構造上、重要な部分になります。

「中引き」のように、こういった桁方向の大きな丸太は、小屋組みの背骨のようなものです。小屋梁は「ろっ骨」にあたり、「ろっ骨」と「背骨」がそろって小屋組みの骨組みが形成される。

「ろっ骨」にあたる梁だけで形成された現在の在来木造は「火打梁」を斜めに設けることで、小屋の水平合成を保ちます。
古来からの伝統構法では「火打梁」は設けず、梁と中引きとを「渡りあご」で組ませることで水平剛性を保っていたのです。
「火打梁」だと、その付け根に応力が集中し、折れてしまうから・・

「御神輿」のかつぎ棒は、井型に「渡りあご」で組んでいるますが、どんなにゆすっても形が崩れることはありません。その原理が使われているのです。



建て方(1)へ・・

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建て方開始 蓮潟町T邸

2008-12-01 20:50:24 | 蓮潟町 T邸(越後杉)

昨日の冬型が去って、本日から3日間、晴れの予報。
待ちに待った晴れ間を利用して、蓮潟町T邸の建て方が始まりました。

12月なのに、快晴が続くとは、お客さんもよほど精進が良いのでしょう。
先々週の積雪が嘘のようです。

今回は、大まかの部分をプレカットで加工、木組み本来の長ホゾ差しや込み栓、伝統継ぎ手、丸柱、丸梁の部分はこちらで刻みました。
プレカットと伝統構法のコラボレーションというところです。

よって、通常の在来木造とは一味違う・・というか、殆ど伝統木組みです。

通し柱は5寸で6本。これを土台より5寸(15㎝)程下げて、土台を差し、アンカーボルトにて基礎に固定。
これは、我が社の定番であり、柱が自立するほど丈夫になる。

さらに、この通し柱を梁、桁の長ホゾ差しによって2方向、又は3方向より差して鼻栓、シャチ栓によって固定。
「2、3方向から差し込むには、柱を相当欠かなければならないではないか?」
・・と言われそうですが(3分の1以上の欠損はしてはならない決まりがある)、そこは頭の使いどころ。実は、梁と桁は段違いにしているので、同じ高さの所では交差していないのである。
この高低差は2階根太の12cm分で、梁に根太を並べると桁と平らになり、そこへ2階床を貼ります。
こうすることで、床梁に根太の彫り込みをしなくても良い。(欠けばその分弱くなる)


通し柱に土台と梁・桁を差す。この2工程を同時に行うには、通し柱と梁、桁を組んでから基礎に落とし込むことになります。
文で書くのは楽なのですが、柱を空中に浮かしておいて、梁、桁を差し込まなければ成らないのは、想像を絶するハズ。後で、

「どうやって組んだんだろう?」と皆、頭をひねる部分。


そして、この2工程を行うことで、筋違い無しでも倒れない構造となってしまう。
建て方時の仮筋違い(ヌキ等で仮に固定する)は、ほんの立つ(タツ=垂直)を保つだけです。
普通の在来工法では、筋違い無しでは、危なくて2階での作業もままなりません。

(良く考えたら、仮筋違いを入れる前に、上に合板を敷いて、材料を上げてしまっていたのだった・・今思うと、大それたことをしていた・・それが出来るのも、柱を長ホゾで土台に差しているからだろう・・柱の腰だけでも持つのである)


プレカット使用といえど、頭を使えば、立派な木組みは実現します。
こうした構造として、金物補強を行えば、ガッチリした建物になる。
今回は、後穴空けの「丸栓」を用います。

写真は、2階部分の横架材を組んだ後の様子。
玄関先の丸柱がこれから固定されようというところというところです。

写真では、分りずらいところですが、通し柱とそれを結ぶ梁や桁は、中空に浮かせています。(通し柱の下に角を挟んでいるだけ)
丸柱も、通し柱と絡むので、一時浮かせています。
これらを全て組み終えたところで、一気に落とし込もうというところ・・


本日は、仮筋違いを入れたところで、終了。
日の入りは4時半で、これを過ぎると辺りは真っ暗になる。
足元が暗い所で作業をしていると、思わぬ怪我につながる。
はやる気持ちを抑えて、明日からの小屋組みに備えよう・・



丸柱は左右両側から伸びる梁によって固定されます


通し柱は、このように土台が差さったままで浮かせておく


丸柱(左)も、土台を差し込んで、落とす方法








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