住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

0317 homify というサイトの記事を受けて、補足としてご紹介~

2020-03-16 19:07:08 | 建築設計

世界のインテリアや建築を紹介しているhomifyというサイトの特集記事で、紹介されました。

「5つの魅力的なインテリアBefore&After!」という特集です。

https://www.homify.jp/ideabooks/4073612/5つの魅力的なインテリアBefore%EF%BC%86After%EF%BC%8

特集といっても、住宅の一部の紹介しかされてないので、補足としてこちらにUP しました!

ここは南大沢にあるUR都市機構が分譲した住宅です。公団なのでゆったりとしたつくりのマンションでした。

改装前の玄関。

空間全体はゆったりとしているものの、玄関ホールを中心に2室への扉や水回りやLDKへの廊下・下足入れと、様々な機能や出入り口が集中していて、雑然としたイメージが否めなかった。

改装後の様子。

玄関扉の正面にはインパクトのある壁紙で入ってくる人を迎えてくれる。奥にある室には蓮の柄の壁紙の右隣から入る。

向かって右側のオークの壁は、フラットな壁に見えて、手前の室の出入り口、収納、下足入れの扉を兼ねている

黒い壁は黒板塗料を塗った棚。オークの板との間には鏡を設置し、空間の広がりを表現すると同時に、スッキリと整理した

手前の室の出入り口はこんな感じ。収納・下足入れの扉はこの手前に位置する。開閉はプッシュ式。

改装前のLDK。

階高や構造によって、天井や壁から梁型が露出する。また扉の位置やデザインからもまとまりがない。

そこで、あえて壁や天井の凹凸を利用して、凹んだ壁の部分にラワン合板を張り、扉部分も同一材を張り、枠を最小限にすることにより、まとまりのあるデザインとした。

壁の一部が扉になっていて、そこを開けると中からもう一つの扉が出てくるようになってます。(わかりづらいかもしれませんが、TVの左側が扉部分)

また、ラワンボードの壁の目地(隙間)に棚受け金物を設置し、壁と一体化した棚の設置を実現した。ラワン部分はオイル+ワックス仕上げ。壁・天井の白い部分は、既存のビニールクロスの上から直接塗ることのできる漆喰。改装用の色々な材料があります

改装前のLDK(キッチン方向を見たところ)

左の扉は廊下へと続く。対面キッチンの手前にはカウンターがあった

 

改装後。

廊下からの扉は、構造上の制約から、梁下に位置する扉の高さは約1.9mだった。

クリムゾン色の扉は「毎日開け閉めする扉だから、気に入った特別なものにしたい」との施主のご希望を受けて…

今回は英国のアンティーク使用のため、日本の既存のものより一回り大きい。(モヂュールが尺かメートルかの違いが至る所で出るので注意が必要です)そこで、扉を梁下の位置より手前にずらし、また存在感のある扉に合わせ、カウンター周りを合わせてデザインすることにより、目立ちすぎないように配慮した。尚、「南国」がテーマのひとつであったので、開口の位置・大きさは変えず、カウンター材や棚の材など素材を吟味した。

扉はイギリスのアンティーク。

100有余年前まで、どこかのパブで使用していたものらしい。

この扉は、傷や色剥げ、取手を付け替えた時の後もキャラクターとしてとらえ、あえてそのままで使用してます。

ちなみに、扉の素材を調べてみると、世界三大銘木のひとつマホガニーと非常に贅沢なもの。普通はその生地を見せたいと思いますが、大胆にもその素材の上から塗装してあります。それどころか、何度も色を上から塗り重ねてしまうのは、日本人にはなかなかできない~まあ、イギリス人らしい~

改装前の和室。

リビングの隣に和室。よく見る間取りですが、リビング床とフラットにつながる6畳の和室は、大きめのこたつを使用するとか、ベット使用ではなく、常に布団を引いて寝るとかではない限り、あまり使い勝手がよくないと私は思ってます。

改装後の和室→和室ユニット

でも畳の自由度の高さは捨てがたい。フレキシブル性とでもいえるでしょうか。そこで、6畳和室を半分減らし、その分リビングと同じタイル貼りにして、畳の部分の床は持ち上げた。

小上がり3畳はその高さの違いによって椅子としても腰掛けられ、畳の下は床下収納として使える。もちろん、障子を閉めれば個室としても使える。ゴロンとできるし、いざと言う時は布団も敷くことができる。
今回は空間をリビングと和室という、二つの単位に別けたくなかった。大きなリビングの中に、和室というよりは和室ユニットが置いてあるといった感じ。障子を含めユニット全体を一体的(一つの箱)になるようにデザインした。色では外国の人が考える日本の色ってどんなんだろう?というもう一つのテーマがあり、この赤は外国人が考える「日本の弁柄」のイメージを想像して選定した。色探しでたどり着いた塗料はイギリスのFarrow&ball 製でした。ちなみにアルミサッシの位置大きさも今回は全く手を入れず…

このリノベーションはキッチン・トイレ・洗面当水回りは手を加えず、間取りもほとんど変えず、床や壁の仕上げを変えたり、部屋やスタイルに合わせ、造作家具を取り入れることで実現したものです。いかがでしょうか?

他にも細かなこだわりや思いが詰まった個所がいっぱいあります。詳しくは当事務所ホームページ、もしくはHOUZZというサイトの当事務所のページで「南大沢・南風の家」を見てくださいね。

 



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