住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

ボーダーガーデン

2013-11-26 20:01:38 | 建築


屋上庭園完成です。

1階の里山の風景と一転。2階テラスは洋風の植栽を中心としたボーダーガーデンにしました。

一般的なコンテナBOXに植栽を植えると、植木鉢の大きいものみたいで存在感がありすぎる。仰々しくさえ感じてしまう事がある。
そこで植栽の土のラインとウッドデッキの床のラインを合わせるべく、建物の構造で植栽部分をあらかじめ下げておきました。

草木が地に生えている感、とでもいいましょうか?笑 大事にしたいところではあります。



2階テラス部分に植栽を設ける事によって、1階の庭と緑が繋がり、庭全体として広がりが生まれました。

秋晴れのもと、1階庭の紅葉が鮮やかでした。



壁に映るもう一つの庭。

白い漆喰の壁にすーっと吸いこまれるようです。



八王子・妄想建もの その2

2013-11-12 20:18:10 | 建築

 「八王子旧市民会館跡地」

はじめに

今回は八王子市上野町にある八王子市民会館跡地です。
八王子市民会館はオリンパスホールという名前になり、上野町より八王子南口に移転し、旧市民会館は取り壊されました。そして長らく空き地のまま、跡地利用の計画が公にされぬまま現在に至っています。私をはじめ地元の人達は、今後どんな建物が建つのか話題に上がることしばし。
最近、八王子駅北口にある警察署が移転されるという話もあり、遅きに失した感もありますが、閑静な住宅地にある広大な空き地を目の前にし、地域に関係なく、いわゆる箱モノが建設されるのではなく、この街に何があればよいのか、何があるべきなのか、住人の目線から考え、(仮称)「八王子街広場」として紹介します。

  敷地、北側南大通りより見る   敷地、北西の角より見る(左側南大通り八王子駅方面を見る)


旧市民会館跡地の立地に関する事や社会的需要

Ⅰ、立地について

(Ⅰ-1)平日の朝夕や、休日の渋滞が常態化→中央線を挟み、南北交通のアクセスの悪さ
  
   ・南大通りの交通の抜け(西八王子駅付近踏切の渋滞) 
   ・国道16号線の渋滞等の影響を受ける南大通り
   ・オリンパスホールの搬出入の利便性
   ・(通称)陸橋の活用
   ・八王子駅前に送り迎えの為の駐停車できる場所が少ない。
 
Ⅱ、社会的需要について

(Ⅱ-1)少子高齢化 

   ・保育所等の待機児童
   ・子育て
   ・学童保育

(Ⅱ-2)防災機能

   ・近い将来の発生が懸念されている巨大地震等

(Ⅱ-3)環境問題

Ⅲ、地域活性化

(Ⅲ-1)地域交流、各自治会・町会等との交流・活性化 
(Ⅲ-2)地域に対する愛着(地域愛)
(Ⅲ-3)観光資源の活用 


(東側より俯瞰する)

(仮称)「八王子街広場」の概要

八王子駅を南に出て、すぐに見えてくる並木道「南大通り」を右手の高尾方面に、一直線に続く歩道をあるく事17分、その歩道に面した左側にその敷地はある。自動車の通りは多いものの、一歩入ると閑静な住宅地である。この敷地は北側にその南大通りに接し、敷地の東側と西側を道路が接している。敷地には高低差があり、南側が高く北側に向かって傾斜している。
建物はその高低差に逆らわず計画し、中庭を挟みその東側の低層部分と西側の中層部分に分けた。低層部分には保育所とデイケアホームがあり、中層部分には、多目的ホール・集会所・寄り合いスペース。カフェ―併設の植物園(温室)を設置。上部には公共機関が入る。傾斜地という地形を生かしたプランとし、また積極的に屋上緑地化することにより、環境問題に考慮。東棟と西棟の間は、一部ブリッジで繋いではいるものの別棟として、風の通り道になり、緑豊な中庭はあたかも丘陵地を散歩しているような、安らぎと癒しを与えてくれるであろう。
また、地下1階・1階部分に駐車場を設置し、各地域に存在する各町会の防災倉庫を併設し、南大通りを挟み、敷地北側の消防署(現在工事中)と共に、防災の拠点になる。


(中庭を中心とした断面イメージ)

前述(Ⅰ~Ⅲ)を受けてのこの建物の役割

■交通の拠点としての役割(Ⅰ-1)

   ・地下1階・1階の駐車場車でここまで乗り付けて、駐車し、公共交通機関に乗り換える。→渋滞緩和
   ・パーク&ライド(※1)他 
   ・シャトルバス・コミュニティーバス
   ・カーシェアリング
   ・貸自転車
   ・徒歩(歩く事が楽しくなる歩道の周辺環境の整備)
   (八王子駅より約1.3km、徒歩20分弱。旧市民会館でのコンサート・イベントがある時には、駅より歩道を使う人が大勢いて、活気がありました)

■少子高齢化(Ⅱ-1)
   ・併設の保育所に子供を預け、八王子駅を利用して通勤する-パーク&バスライドの拠点(※1)

■中庭の役割(Ⅱ~Ⅲ)
   ・中庭を挟み、若年層と高齢層の交流(Ⅱ-1)
   ・避難としてのスペース(防災広場として)(Ⅱ-2)
   ・防災広場(Ⅱ-2)
   ・植栽の導入(Ⅱ-3)
   ・中低層階で囲むことで、セキュリティーのし易さ
   ・地形を生かしたプラン
   ・街中バードウォッチングを通し交流(Ⅲ-2)
     (街中でありながら10数種類の野鳥が観察できる-筆者が当該敷地近辺で確認)

■地下駐車場
   ・地下シェルターとして転用(Ⅱ-2)
   ・各町会の防災倉庫併設(Ⅱ-2)
   ・休日の駐車場利用(世界遺産に認定された高尾山の積極的活用・シャトルバスと併用)(Ⅲ-3)

■複合施設(Ⅲ-1)
   ・共用部の最小化
   ・会議室・食堂兼用
   ・異世代交流
   ・異業種交流
   ・産学交流
   ・多目的ホール
   ・寄りあいの場

■地域の交流(Ⅲ-1)
   ・地域住民の自治会館的役割
   ・地域住民の防災拠点 
   ・寄りあいの場
 
■防災・避難の拠点(Ⅱ-2)(Ⅲ-1)
   ・避難
   ・被災時の救護・介護・炊き出し
   ・防災倉庫(地域)
   ・消防署(北側郷土館駐車場跡地に建設中)との連携
   ・延焼を食い止める構造もしくは空間構成(RC造に囲まれた中庭)  

■バリアフリー
   ・地形を生かしながらスロープでつなぐ(Ⅱ-1)

今後の展開-八王子トライアングル構想(Ⅲ-1~3)

八王子駅より1.0kmの八王子医療刑務所閉所後の跡地(現在は医療刑務所)と東京地方・家庭裁判所八王子支部跡地、また同じく八王子駅より1.3kmの当該敷地の3箇所を結ぶ連携的活用は出来ないものか?
(八王子駅中心に半径1.3km以内の八王子トライアングル)

建物イメージ


全体イメージ


東より見る(画面左側に向かい上り坂になっている)


南より見る(右側の低層棟、左側の中層棟に囲まれるように中庭がある。奥に見えるのは、2棟をつなげるブリッジ)


北側ブリッジ越しに中庭を見る