八王子・妄想建もの (その1) 「加島屋」
八王子に暮らして半世紀。暮らしながらに思う事、感じるものを「八王子妄想建もの」として不定期にご紹介していこうと思います。
誰に依頼された訳でもなく、持ち主に了承を得ている訳でもありません。これはあくまでも妄想です。
築125年の店蔵がカフェ&レストランに変身しました。店のたたずまいは当時の面影を残した設計です。1階は誰でもが入りやすく、また外部に面してカウンターがあり、テイクアウトもでき、カウンターで買ったものを、店内で食する事も出来ます。夏でもひんやりとする2階のスペ-スはワインセラーを併設する飲食スペースです。
店舗に向かって右側は竹ぼうきや亀の子たわしなど、昔からある定番ともいえる日用品を販売しており、不定期的ではありますが、展覧会のスペースにもなります。歴史ある建物で、昔からからの定番品と、新進気鋭の作家の造る日用雑貨のコラボレーションなんて事もあるかもしれません。またそれらのものを通して、お歳を召した方と若者の出会う場、交流の場所となる事でしょう。
八王子に住んでいる方なら知っている人の方が多いと思える甲州街道沿いの加島屋さん。築125年のこの建ものは、関東大震災や、第二次世界大戦の終戦二週間前に見舞われた八王子大空襲を耐え抜いた数少ないこの店蔵である。ちなみに八王子大空襲、2時間で1600トン余りの爆弾が投下されたとか。日本本土空襲では3番目の投下量であった事は意外に知られていない。今建っている私の事務所の場所にあった祖父母の家も全焼だった。「何もそんなに多くの爆弾を落とさなくても」と今更ながらに怒りを感じました。そんな、思った事、感じたものなどの「思い」を織り交ぜながらの妄想です。
戸田晃建築設計事務所 戸田 晃