2月のブログでご紹介した「蛇腹引き」の続報です。
いよいよ、施工開始です.一つの窓に職人一人、一日掛けての作業.何という贅沢
漆喰を盛り、今回のために制作した型で引いていきます
それだけ聞くと一日も掛からないように思うかもしれませんが、
地球には重力があります
漆喰は粘り気はあるものの、固まるまでは塗ってるうちにじんわりじんわりと下がってくるといいます。
それを根気よく上部に持ち上げながら型を整える.
ちょうど「寄せてあげて整える感じ」(下着か何かの宣伝みたい…失礼)
固まり初めても厚く塗った部分や薄い部分など、漆喰の分量でやせ具合も違うので、コテにより丹念に着け送りして滑らかにして型を整えてゆく.
そして最後はやはりコテ押え。左官職人の経験と技術がものを言います.
いつもお願いしているT左官さんは、現会社の前は漆喰の蔵創りなどを手掛ける親方のもとで修行していたとのことをお聞きし、合点がいく。
その人でさえも、この「蛇腹引き」の技法は久しぶりに使ったとのこと.
また「最近の左官屋さんでもできる人は少なくなったんじゃあないかな~」とぼそり.
で、出来上がりました。(東側窓)
こちらは、玄関のアウトスウィング廻り
今回は装飾的と思われるモールディングを採用しましたが、全てにおいて採用しているわけではありません。好みでいいますと、シンプルな開口部のデザインに惹かれます.
このお宅で採用した外国製木製サッシュはその重厚感と見付寸法(厚み)が14cmあり、一般の塗り壁仕様の木造壁厚17cm前後にそのまま着けると何だか窓だけが浮いてた感じになってしまいます。
そのバランスと窓のデザインを考慮し、このような方法をとりました.
窓は機能的な条件を満たすことはもちろんの事ではありますが、外と内をつなぐ大切なエリアであると思います.
お日様を感じ、切り取られた景色を楽しみ、時にお茶をしたり、本を読んだり、居眠りしたり…
「窓辺」とでもいうのでしょうか?
窓と枠の表情が気になるのはそんな理由からかもしれません。