住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

今朝の庭

2022-08-12 00:52:12 | 建築設計
建物がどこにあるかわからないぐらいの朝の印影
草木が育ちすぎて建物が見えなくなるって、建物の設計を生業とする者の自邸としてはどうなのよーと思いますが、家と庭が共に育ち一体的になるんであれば建物自体の存在感なんて無くてもいいと思ってしまう自分がいるー


塗壁掻き落とし仕上げ

2022-08-11 09:14:39 | 建築設計
壁を仕上げています
剣山のようなもので平骨にした塗りの表面を、剣山のような刃がついたブラシでガリガリと掻き落としてゆきます。塗壁材の乾燥後の硬さが仕上がりを左右するもので、職人の経験と感がものを言う工法とも言えそうです
壁の表面が細かな凹凸が光を乱反射させ、深みのある色合いと表情が好きで、私の事務所ではよく使います。この壁材は天然素材でありながら防水性があり、透湿性も兼ね備えていることも採用の理由の一つです


銅板葺き

2022-08-10 00:44:32 | 建築設計
銅一文字葺き
銅を薄くした板から屋根を葺きます
定尺の板からの裁断の仕方によって呼び名が変わります。一枚の板の四隅を折り曲げて、それぞれつなぎ合わせて、掴み込んで連結していきます
一枚の平板から手作業で部品を作り、つなぎ合わせてゆく手仕事です
施工当初はご覧の通り赤橙色で光沢があります(養生のブルーシートの映り込みが激しいですが)
経年で、ツヤがなくなり赤みが濃くなり→褐色→黒褐色→緑青色と変化していきます
銅板は酸化物の為酸化「緑青」ですが、これは鉄の錆とは違い、劣化を防ぐ効果のある皮膜です。
古くは765年にも使われた記録があるとされるこの素材、本格的に使われるのは江戸時代から。日本の風土にあった屋根材なのかもしれません
今回の設計では屋根の樋を無くし、大小さまざまな曲線で軒先を絞り込みました。職人技があってこその現場の模様です