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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
●「模擬試験問題 補習版その4」を配信します。文章題とごく一部の設問を除き、ほとんどの設問を漢検漢字辞典第2版と過去問などから蒐集しています。
●いただいたコメントなどから判断すると、ほぼ、本番並のレベルの難易度のようです・・・たぶん(^^;)
●<その3>に比し、3~4問ぐらい難度高いかも・・・漢検第2版からの新出問題が幾つかあるのと、文章題がやや難しいかもしれません・・・。
●なお、誤りなどありましたら、厚かましいお願いで恐縮ですが、また、ご指摘・ご訂正の連絡もいただけたら幸いです👍

<syuusyuu 漢検1級 模擬試験問題 補習版その4(漢検準拠・難易度―並―) >
(一) 次の傍線部分の読みをひらがなで記せ。1~20は音読み、21~30は訓読みである。(30)1×30
1.
歃血で盟約を結ぶ
2.
笊籬を持って山菜取りに行く
3.小川の水が
汎氵疌と音をたてている *「氵疌」は一級配当漢字で一文字。「氵」+「疌」。
4.
蜂蠆の毒に犯さるるが如し
5.人生は白駒の
郤を過ぐるが若し
6.秋になると虫の声が
喞喞と聞こえる
7.
良耜で土を掘り起こす
8.神前に
祭粢を供える
9.
闃として人無きがごとし
10.夏草が
茸茸と生い茂る
11.
鑷子で小さな綿毛をはさむ
12.寒くなってきたので
襯衫を重ねて着る
13.貧窶
困阨の甚だしきに驚く
14.肘が
垢膩に汚れている
15.正岡子規の著作に
獺祭書屋俳話がある
16.
瞿然として立ち竦む
17.
広袤の大なる場所を貴ぶ
18.体内に
瀦溜がみられる
19.坐を照らして光、
卓犖たり
20.
糶売の場が立つ
21.刀剣の鞘に
鰄を用いている
22.
郁しい菊の香りがする
23.
燠が赤く残っている
24.古代、土木工事に
钁丁が使役された
25.天子からの
誥れが出された
26.兀兀と
矻く
27.草の
茵に横たわる
28.打ち身で膝に
黶ができる
29.鳳凰の「凰」は雌の
凰のことだ
30.色々な彩の
縟りを身につける
(二)次の傍線部分のカタカナを漢字で記せ。(30)2×15
1.神域を
オトクする行為だ
2.
タイセイの色鮮やかな山々
3.威権
カクシャクたる時となす
4.白寿を迎えて
カクシャクたるものだ
5.雲が
アイタイと棚引く
6.
キクジン色は山鳩色ともいい、天皇の袍の色で禁色とされた
7.盗人に
キクジンを行い、その罪を問いただした
8.骨
ソショウ症になってしまった
9.顔に
ハタケができた
10.綿花三
コリを包装する
11.
ノビルには葱に似た臭気がある
12.胸中にほんの少しのわだかまり・・・つまり、
カイタイが生じた
13.公金を
カイタイする
14.
キカに遭う
15.直属の上司の
キカにある
(三)次の傍線部分のカタカナを国字で記せ。(10)2×5
1.親の
シツケがなっていない
2.鍔元が動かないように
ハバキを使う
3.
ハタハタを鍋の材料に使う
4.
トキ色は淡紅色である
5.
トチはとちのき科の落葉高木である
(四)次の1~5の意味を的確に表す語を下の語群から選び、漢字で記せ。(10)2×5
1.英雄・豪傑が活躍するたとえ
2.世に尽くすこともなくいたずらに生きながらえること
3.自分の才能や知識を目立たぬように隠すこと
4.人の死のこと
5.谷あいから湧き出る泉・谷あいの水
<語群>
(いんめつ、かいぞう、かんせん、きょうすい、せんぜん、こしょう、がいかん、ていかん)
(五)次の四字熟語について、問1と問2に答えよ。 (30)
問1 次の四字熟語の(1~10)に入る適切な語を下の語群から選び漢字二字で示せ。
(20) 2×10
1.ア ( )秀麗 2.イ ( )浄土 3.ウ ( )剔抉 4.エ ( )棊処 5.オ ( )孤独
6.カ 懸崖( ) 7.キ 被髪( ) 8.ク 乾端( ) 9.ケ 胡漢( ) 10.コ 宝鈿( )
<語群>
(かんか、ろくば、ときょ、ようきょう、きょうきん、ぎょくさい、ごんぐ、りょうれき、こんげい、はら)
問2 次の11~15の解説・意味にあてはまるものを、問1のア~コの四字熟語から一つ選び、記号(ア~コ)で記せ。(10)2×5
11.いたるところに悪人がいることのたとえ
12.間一髪で危険を回避すること
13.隠れた人材を見つけ出して用いること
14.天地の果てのこと
15.物事に対する考え方や態度が正しく立派であること
(六)次の熟字訓・当て字の読みを記せ。(10) 1×10
1.花鶏 2.槐葉蘋 3.醢汁 4.垣衣 5.甘野老 6.玉鈴花 7.黄鶏 8.七葉樹 9.射翳 10.完骨
(七)次の熟語の読み(音読み)と、その語義にふさわしい訓読みを(送りがなに注意して)ひらがなで記せ。 (10)1×10
ア.1.衙参 ― 2.衙る
イ.3.价人 ― 4.价い
ウ.5.跂行 ― 6.跂う
エ.7.徼循 ― 8.徼る
オ.9.狡憤 ―10.狡う
(八)次の1~5の対義語、6~10の類義語を下の語群から選び、漢字で記せ。語群の語は一度だけ使うこと。(20)2×10
<対義語>
1.居士 2.愉悦 3.饒舌 4.末裔 5.微醺
<類義語>
6.天聴 7.後宮 8.極意 9.聳峙 10.淵叢
<語群>
(えいぶん、らんすい、のうそ、えきてい、うんのう、かんもく、きつりつ、だいし、おうのう、そうたく)
(九)次の故事・成語・諺のカタカナの部分を漢字で記せ。 (20)2×10
1.千金の子は坐するに堂に
スイせず
2.足るを知る者は
レイコウも膏粱より旨しとする
3.
イッチュウを輸す
4.老牛、
トクを舐る
5.
エイヨウの餅の皮
6.伽羅の仏に
ハクを置く
7.餓鬼に
オガラ
8.
ガトウの側ら、人の鼾睡を容れず
9.
キキョクは鸞鳳の棲む所にあらず
10.
クンユウは器を同じくせず
(十)文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。 (30)書き2×10 読み1×10
(A)「・・・抽斎が岡西氏徳に生せた三人の子の中、只一人生き残つた次男優善は、少時
(1)ホウシ(2)イツラクのために、頗る渋江一家を
(ア)困しめたものである。優善には塩田良三と云ふ
(3)ユウトウ(4)カハンがあつた。良三はかの蘭軒門下で、指の腹に杖を立てゝ歩いたと云ふ楊庵が、家附の女に生せた嫡子である。
わたくしは前に優善が父兄と
(5)シを異にして、煙草を
(6)ノんだと云ふことを言つた。しかし酒は此人の好む所でなかつた。優善も良三も、共に
(7)ケンテキの量なくして、あらゆる遊戯に耽つたのである。
抽斎が座敷牢を造つた時、天保六年(1835)生の優善は二十一歳になつてゐた。そしてその密友たる良三は天保八年生で、十八歳になつてゐた。二人は影の形に従ふ如く、須臾も相離るゝことが無かつた。・・・(鴎外 「渋江抽斎」)
(注)カハン:なかま
(B)「・・・思へばそれは寂しい道である。最も無力なる私は私自身にたよる外の何物をも持つてゐない。自己に矛盾し、自己に蹉跌し、自己に困迷する、それに何の不思議があらうぞ。私は時々私自身に対して神のやうに寛大になる。それは時々私の姿が、母を失つた嬰児の如く私の眼に映るからだ。嬰児は何処をあてどもなく匍匐する。その姿は既に十分憐れまれるに足る。嬰児は屢々過つて火に陥る、若しくは水に溺れる。そして僅かにそこから這ひ出ると、べそをかきながら又匍匐を続けて行く。このいたいけな姿を憐れむのを自己に
(イ)阿るものとのみ云ひ退けられるものであらうか。
(ウ)縦令道徳がそれを自己
(8)タンデキと罵らば罵れ、私は自己に対するこの
(エ)哀憐の情を失ふに忍びない。孤独な者は自分の
(オ)掌を見つめることにすら、熱い涙をさそはれるのではないか。
思へばそれは
(カ)嶮しい道でもある。私の主体とは私自身だと知るのは、私を極度に厳粛にする。他人に対しては与へ得ないきびしい鞭打(むちうち)を与へざるを得ないものは畢竟自身に対してだ。誘惑にかかつたやうに私はそこに導かれる。
(9)シモトにはげまされて振ひ立つ私を見るのも、打撲に抵抗し切れなくなつて倒れ伏す私を見るのも、共に私が生きて行く上に、無くてはならぬものであるのを知る。その時に私は勇ましい。私の前には力一杯に生活する私の外には何物をも見ない。私は乗り越え乗り越え、自分の力に押され押されて未見の境界へと険難を侵して進む。そして如何なる生命の威脅にもおびえ まいとする。その時傷の痛みは私に或る甘さを味はせる。然しこの自己緊張の極点には往々にして恐ろしい自己疑惑が私を待ち設けてゐる。遂に私は疲れ果てようとする。私の力がもうこの上には私を動かし得ないと思はれるやうな瞬間が来る。私の唯一つの城廓なる私自身が見る見る廃墟の姿を現はすのを見なければならないのは、私の眼前を暗黒にする。・・・」(有島武郎「惜みなく愛は奪ふ」)
(C)「・・・
(キ)砂礫のみが砂礫を知る。金のみが金を知る。これは悲しい事実だ。偽善者なる私の眼には、自ら教会の中の偽善の分子が見え透いてしまつた。こんな事を書き進むのは、殆ど私の堪へ得ないところだ。私は余りに自分を裸にし過ぎる。然しこれを書き抜かないと、私のこの
(ク)拙い感想の筆は放(な)げ棄てられなければならない。本当は私も強い人になりたい。そして教会の中に強さが生み出した真の生命の多くを尊く拾ひ上げたい。私は近頃或る尊敬すべき老学者の 感想を読んだが、その中に宗教に身をおいたものが、それを捨てるといふやうなことをするのは、如何にその人の性格の高貴さが足らないかを現はすに過ぎない といふことが強い語調で書かれてゐるのを見た。私はその老学者に深い尊敬を払つてゐるが故に、そして氏の生得の高貴な性格を知つてゐるが故に、その言葉の空しい
(ケ)罵詈でないのを感じて私自身の
(10)ヒロウを悲しまねばならなかつた。氏が凡ての虚偽と堕落とに飽満した基督旧教の中にありながら、根ざし深く潜在する尊い要素に自分のけだかさを化合させて、
(コ)巌のやうに堅く立つその態度は、私を驚かせ羨ませる。私は全くそれと反対なことをしてゐたやうだ。私は自分が
(10)ヒロウであるが故に、多くの
(10)ヒロウなものを見てしまつた。私はそれを悲しまねばならない。・・・」(有島武郎「惜みなく愛は奪ふ」)
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<syuusyuu 漢検1級 模擬試験問題 補習版その4 標準解答>
(一)
1.そうけつ 2.そうり 3.ほうしょう 4.ほうたい 5.げき 6.しょくしょく 7.りょうし 8.さいし 9.げき 10.じょうじょう 11.じょうし・せっし 12.しんさん 13.こんやく 14.こうじ 15.だっさい 16.くぜん 17.こうぼう 18.ちょりゅう 19.たくらく 20.ちょうばい
21.かいらぎ 22.かぐわ 23.おき 24.くわよほろ・くわよぼろ 25.ふ 26.はたら 27.しとね 28.あざ 29.おおとり 30.かざ
(二)
1.汚瀆 2.黛青 3.赫灼 4.矍鑠 5.靉靆 6.麴塵 7.鞫訊・鞠訊 8.粗鬆 9.疥 10.梱 11.野蒜 12.芥蔕 13.拐帯 14.奇禍 15.麾下
(三)
1.躾 2.鎺 3.鰰・鱩 4.鵇 5.栃
(四)
1.虎嘯 2.甎全 3.晦蔵 4.蓋棺 5.澗泉
(五)
問1
1.ア胸襟 2.イ欣求 3.ウ爬羅 4.エ蠹居 5.オ鰥寡 6.カ勒馬 7.キ佯狂 8.ク坤倪 9.ケ陵轢 10.コ玉釵
問2
11.エ 12.カ 13.ウ 14.ク 15.ア
(六)
1.あとり 2.さんしょうも 3.しょっつる 4.しのぶぐさ 5.あまどころ 6.はくうんぼく 7.かしわ 8.とち 9.まぶし 10.せせ(みみせせ)
(七)
1.がさん 2.まい 3.かいじん 4.よ 5.きこう 6.は 7.きょうじゅん 8.めぐ 9.こうふん 10.くる
(八)
1.大姉 2.懊悩 3.緘黙 4.曩祖 5.爛酔 6.叡聞 7.掖廷 8.蘊奥 9.屹立 10.藪沢
(九)
1.垂 2.藜羹 3.一籌 4.犢 5.栄耀 6.箔 7.苧殻 8.臥榻 9.枳棘 10.薫蕕
(十)
(1)放恣 (2)佚楽 (3)遊蕩 (4)夥伴(←漢検第2版にもあり)(5)嗜 (6)喫 (7)涓滴 (8)耽溺 (9)笞 (10)卑陋
(ア)くる (イ)おもね (ウ)たとい (エ)あいれん (オ)てのひら (カ)けわ (キ)しゃれき(原文振りは「しゃれき」。「されき」でも可でしょう。) (ク)つたな (ケ)ばり (コ)いわお
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