南九州の片隅から
Nicha Milzanessのひとりごと日記
 





 昨夜、東日本大震災の被災地と福島第一原発に視察に行ってこられた熊本学園大の教授による報告会があったので、参加してみた。

 この方は、もともとは政府寄りの立場だったが、20年以上前にゴルフ場の排水の農薬汚染がきっかけで、市民運動をされるようになったらしい。また、アスベストや放射線物質の専門家でもあり、チェルノブイリの事故後に現地にも行ったことのあるそうだ。
 今回の福島第一原発の事故以来、食品に含まれる放射性物質を測る機械をフル稼働させているらしい。


 講演の内容もよかったが、講演後の質問の方が聞いてて印象に残ったので、ここで覚えている分をいくつか列挙してみようと思う。記憶で書いてるから、このとおりの質問&回答ではないと思うが、こういう内容の雰囲気だったということで勘弁してください。


 司会が「では質問の時間を設けます」と言うと、NPO法人の会員と思われる人々が「待ってました!」とばかりに山のように手を上げた。

 Q:放射能に関して、私たち一般市民は無知です。放射能汚染された食品を見抜くというか、それからわれわれ素人が身を守るにはどうしたらいいんですか?
 A:身を守る方法なんてないですね。放射線物質には色も匂いもないんですから。敢えて言うならば、怪しいと思う食品を食べなければいいんじゃないですか?

 Q:福島県沖で採った放射能まみれの魚や海草が、北海道で水揚げされて「北海道産」として出回ってるらしいです。これは食品偽装じゃないんですか? しかも、スーパーに売れなかった分は学校給食に流れているそうですよ。これからの日本を担っていく子どもたち食べさせるなんて、こんなことが許されるんですか?
 A:偽装じゃないですね。魚介類は水揚げをした港を産地として記入するルールになっています。でも、今は福島沖では操業してなかったと思いますが。また、学校給食に流れているなんて話は聞いたことないですね。

 Q:ある情報を調べたところ、西原村のとある場所で放射能の値が異様に高い地域があることが分かったんです。先生知ってますか? 県も村もこのことを黙っていますがこういうことが許されるんですか? スーパーで西原村産の野菜もたくさん売ってますけど、大丈夫なんですか?
 A:ええ、もちろん知ってますよ。県庁のHPをちゃんと見てください。ちゃんと公開されています(笑)。因みにこの値はもう20年以上前から分かっています。冷戦時代に某国が核実験をした時に拡散した放射性物質を含んだ雨がたまたまその地域に降り注いだのだろうと推測しています。だから福島原発とは何の関係もありませんね。もちろん、今もそんな場所で野菜なんか作ってませんよ。

 Q:福島第一原発はメルトダウンはしていないと政府は言ってますが、高温の燃料棒がむき出しになって原子炉の底が溶けて抜け落ちたんでしょ? これってメルトダウンじゃないんですか?
 A:たぶんメルトダウンでしょうね。

 Q:福島第一原発のあの爆発は本当に水素爆発なんですか? 本当は核爆発じゃないんですか? 政府は本当の情報を隠してるんじゃないですか?
 A:あの爆発が何なのか、私はたぶん知っています…、いや、想像がついています。しかし、政府が「水素爆発だ」と公式に発表している以上、私はここでそれ以上何も言えないですね。守秘義務もありますし。すみませんけど。

 Q:政府が放射能を浴びてよい量の指針を出しているが、根拠が分からない。それに、その指針を守ったとしても、ガンにかかる率が上がるらしいではないか。
 A:今の世の中、日本人の死因の3分の1はガンです。単純に言うと、1000人のうち333人がガンで死んでいるんです。今回、政府が定めた指針では、ガンにかかる率は確かに増えるかも知れません。でも、その増加率はおそらく0.1%とか0.2%とかでしょうね。つまり、今まで1000人中333人がガンになってたのが340人とか350人になるということでしょう。どうですか? そんなに心配ですか? 私はそうは思いませんけどね。

 Q:放射能がたくさん計測されたとかいう、食べない方がいいというような食品はありますか?
 A:分かりません。心配ならば食べなきゃいい。これは別の話ですが、今回の福島第一原発の事故を受けて、椎茸生産組合が全国各地の椎茸の残留放射性物質を測定したそうです。で、どこの椎茸が一番その値が高かったと思いますか? 福島? 宮城? 茨城? 残念ながら違います。結果は大分でした。何故かって? 理由は簡単、大分が椎茸は全国一の産地だからですよ。それだけサンプルが多いから。因みに、何の問題もないレベルの値でしたから、大分の椎茸を食べても問題ないです。安心してください。

 Q:私はアスベスト除去を生業としています。被災地では古い建物が破壊され、おそらくアスベストがかなり飛散しています。しかし、各地から集まったボランティアは、無知なのか、マスク1枚つけただけで平気で作業をしています。で、アスベストがくっついた服を地元に持ち帰って「オレは被災地でボランティアしてきたんだぞ」と得意げになっています。アスベストを撒き散らして周囲に迷惑をかけていることも知らないで。先生はこのことをどう思われますか?
 A:私はあなたの言うことが信じられない。アスベストの専門家だかなんだか知らないが、専門家ならば今のこの緊急時に平時と同じことができるかどうか、そのようなことができるかどうかなんてわかるでしょう? あの防護服を着て作業しろというんですか? それにそんなことを言う前に、あなたは現地にボランティアに行ったんですか? 行ってないんでしょう? ボランティアの方々を批判できる立場ですか? 私は、そんなことをいま言うあなたの人間性を疑いますね。



 他にももっとたくさん質問が出たけど、何だったかもう忘れちゃいました。でも、先生が質問をことごとく潰していくのが面白かった。
 質問者が勝手に白熱しすぎて、時間を30分オーバーしても終わる気配なし。しかも、同じ人が同じような質問ばかり何度もするし。聞いててウンザリ(司会者よ、しっかり管理してくれよ)。
 にしても、最後の1つの質問(アスベスト)を除いて、他は全部、福島原発と放射性物質の話ばかり。地震や津波の話はないんですか? 過剰反応しすぎだって(笑)。


 今度は休憩時間を利用して、NPO法人の人らしき人が声高に「原発反対」の声明文を読み上げ、出席者に回覧板を廻して署名までさせようとする(もちろん私はスルー)。
 オイオイって…。
 あなたたちが「原発反対」を唱えるのは勝手だが、こっちまで巻き込まないでほしいよな。

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