守り続けた茶道施設、重文に 京都・宇治の松殿山荘

2017-10-31 19:49:02 | 歴 history
 京都府宇治市で守り続けられてきた茶道の研修施設が重要文化財になる見通しとなった。国の文化審議会がこのほど、木幡南山の「松殿山荘」を重文に指定するよう答申した。茶のまちの関係者に喜びが広がった。

 松殿山荘は、茶道家の高谷恒太郎(1851~1933年)が、周囲に広がる茶園の景観を気に入って土地を購入して建てた。12棟もの建物群と広大な敷地を子孫が代々守り続けてきた。

 現在は、所有する「松殿山荘茶道会」の代表理事で高谷のひ孫にあたる平岡己津夫さん(69)が管理し、毎年春と秋に2日間ずつ、一般公開している。

 完成当時の状態をとどめようと努めるが、維持には労力も費用もかかる。アライグマなどが柱に爪痕を付け、イノシシは庭園を掘り返す。白アリのせいで倒壊寸前だった建物は全解体して修復した。「雨漏りに気を付けるように」との父の言葉を守り、雨が降れば建物や外の水はけを確認して回る。

 平岡さんは「修理に支援が必要な時期にきていた。祖母や父が頑張って維持してきたことが報われた。これで未来に残せる」と喜ぶ。

 山本正市長は「お茶に縁のある松殿山荘の重文指定は、宇治のブランド力の向上や宇治の魅力を再発見する良い機会になる」とコメントした。

 一方、大勢の人が訪れると建物が傷む原因になることや「本当に見たいという人に訪れてほしい」との思いから、平岡さんは公開の拡大には慎重だ。市は「私有物なので、所有者と相談して支援を検討したい」としている。

【 2017年10月23日 11時55分 】


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