障害児デイサービスで公費支出増 京都、質低下に懸念も

2018-06-17 06:50:11 | 護 help

 障害のある子どもが放課後や休日に通う「放課後等デイサービス」の京都府乙訓地域2市1町の公費支出が増加し続けている。2016年度分は、制度が始まった12年度の約8倍に達した。利用増は全国的にも同様の状況だが、サービスの質を懸念する声も聞かれる。

 放課後等デイサービスは、設置基準が緩やかで株式会社など営利法人の参入も認められているため事業所が増えており、乙訓地域には現在12カ所の事業所がある。また、学校や自宅との間の送迎を実施する事業者も多く、原則1割で上限付きの自己負担でサービスが受けられるため、利用者のニーズも高まっている。

 同サービスにおける乙訓2市1町の2016年度の公費支出額をみると、向日市は12年度比9・5倍の5700万円、長岡京市は同6・4倍の9600万円、大山崎町は同20倍の1400万円だった。利用者が増えている背景について、向日市の障がい者支援課は「家庭と保健師、学校などの連携が進み、支援が必要な子どもを療育に橋渡しする体制が整備されてきたことも大きい」としている。

 一方で全国的には、生活力の向上のための適切なプログラムを実施せずに「単なる預かり」にとどまるような質の低い事業所も問題になっている。また、保護者の意向だけでサービスをほぼ毎日利用し、子どもの主体性が損なわれている、といった指摘もある。

 乙訓地域では、サービス利用の上限を原則1カ月当たり15日とする独自ルールを定めている。子どもや保護者との面談などを経て利用計画の作成を担い、サービスの提供も行っているNPO法人こらぼねっと京都(長岡京市)の伊藤美恵所長は「保護者だけの都合ではなく、サービスが本当に子ども本人の将来のためになっているのか、という視点が大切。子どもの豊かな放課後を作るため、各家庭と事業者、計画作成の担当者が連携を密にすることが求められている」と話す。

■放課後等デイサービス

 就学後の6~18歳の障害児を放課後や長期休暇中に預かり、遊びや学習を通して生活能力の向上のために必要な訓練などを行う。児童福祉法などの改正により、2012年度に制度化された。療育手帳や身体障害者手帳が必須ではなく、発達障害などの子どもも利用しやすい。

【 2018年06月10日 19時40分 】



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