高齢者生活支援、手探り続く 京都のコーディネーターら

2018-08-16 12:10:04 | 護 help

 高齢者の暮らしを地域で支えるための取り組みを担う「生活支援コーディネーター」の配置が、本年度から各市町村に義務付けられた。関係者からは「何をすべきか具体像が見えにくい」との声も上がる中、京都府乙訓地域の2市1町のコーディネーター計6人は、地域の課題探しや高齢者の居場所づくりなどを手探りで続けている。

 生活支援コーディネーターが配置された背景には、2016年度に10・4兆円に達し、増加の一途をたどる介護費用を抑えるため、サービスの担い手を「施設」や「事業者」だけでなく「住民(ボランティア)」にも移したい、との国の思惑がある。乙訓地域のコーディネーターは、地域の実情を探る活動を、まず始めている。

 大山崎町では、社会福祉協議会職員の沼田健仁さんが16年11月に就任した。地域住民や商工会、介護関係者らとの話し合いで見えてきた課題は「高齢者の居場所がない」ことだった。「施設サービスに重点が置かれた介護保険制度の弊害で、近所づきあいが少なくなったり、自治会の加入率が低下したりした面もある。高齢者が集まる場所をつくれば、その場でみんなの困りごとも共有できる」との考えから、住民による地域サロンづくりの支援と広報誌などによる情報発信に力を入れてきた。

 地域サロンは、介護予防サービスの一つとしても期待されているが、沼田さんは「地域での支え合いの活動は、担い手側も高齢者が多く、若者をどう引き込むかが課題だ」と話す。

 生活支援コーディネーターには、地域の関係者をネットワーク化して情報共有を行う「協議体」の運営も求められている。長岡京市で、同市社会福祉協議会職員の4人が務めるコーディネーターは、市内の四つの中学校区ごとに協議体を組織するため、住民や医師、商店や金融機関の関係者らに出会って地域のニーズを探っているところだ。ただし、その先の活動について明確な見通しがある訳ではない。同市高齢介護課は「コーディネーターや協議体が何をすべきか、国は具体像をきちんと示してほしい。他の自治体での成功例が、他の地域でもうまくいくとは限らない」と戸惑いも見せる。

 向日市は、社会福祉協議会に業務委託する2市町とは異なり、市高齢介護課に1人のコーディネーターを配置する。市によると、「高齢者の地域での居場所作り」や「ごみ出し支援」に関して、現場での情報収集などをしているという。

 地域での支え合いを進める体制づくりは、近所づきあいが希薄化しつつある現代では相当な困難を伴う。大きな目標に近づくには、コーディネーターと、社会福祉協議会や地域包括センターなど地域の実情をよく知る既存の資源との連携が欠かせない。

【 2018年08月14日 11時12分 】



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