「長岡宮都図譜」、防災に生かせ 研究者2人が製作

2012-08-16 14:08:30 | 歴 history
長岡宮と周辺の地形や自然環境に、先人たちが自然や災害と向き合った痕跡などを重ねることで、今の防災を考える狙いで製作された「長岡宮都図譜」 長岡宮と周辺の地形や自然環境とともに、昔の人々が災害を防ぐためそれらに手を加えた痕跡を地図で表し、解説を添えた「長岡宮都図譜~都の自然景観と防災の考古学」を、向日市埋蔵文化財センターと京都大防災研究所の2人の研究者が共同製作した。自然災害に対応するため、時に果敢に手当てを施し、時に折り合いをつけた先人の知恵を現代にも生かしたい、との狙いだ。

 製作者は、センター職員の中塚良さんと、研究所の釜井俊孝教授。

 宮都図譜はA3判。長岡宮・長岡京左京域主要部の地形と条坊を復元した図やその拡大図など計7枚の図に、それらの見方と狙い、また図から読み取れる過去に発生した災害と防災の歴史などの解説文から成る。

 図中には、丘陵地と断層、河川と氾濫原や扇状地など低地の位置を示すとともに、宮内にひかれた水路、川や土地の改変跡地、また多数の用水の跡などが細密に描かれている。

 解説文では、これらの図に史実や発掘調査の結果を照らし合わせ、過去に断層が大きく動いたり河川の氾濫や土石流が起きた場所と時期などを紹介。また谷地形を利用しため池をつくる一方、土砂の流入を防ぐため堰堤(えんてい)を設けるなど、昔の人々が自然をうまく利用しながら災害にも備える柔軟さを発揮していた例も挙げている。

 さらに、防災(除災)の観点から長岡京と平安京の方位や地割を分析したほか、放射性炭素による年代測定の結果から推定できる、650~1800年の間に長岡京域と周辺で起きた大きな環境変動の歴史もたどっている。

 300部を印刷し、現在100部が残る。希望者に無料配布する。問い合わせは市埋蔵文化財センターの中塚さんTEL075(931)3841。

【 2012年08月16日 10時42分 】

桓武と激動の長岡京時代 (歴博フォーラム)
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山川出版社


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