「田植え地蔵」の仏画奉納 京都、友禅染図案家が制作

2018-03-20 07:38:51 | 創 creation

 京都府向日市寺戸町の慶昌院に、本尊「田植え地蔵」の仏画がこのほど奉納された。地元の友禅染図案家が手がけた力作で、本堂のはりの上に飾られた。仏画奉納を機に、地蔵とゆかりがあるとされる願文を哲学者の山折哲雄さんが現代語訳し、歌になった。寺は「向日市の新しい売り物にして地域活性化につながれば」と期待している。

 仏画は縦約2メートル、横約50センチ。本尊の地蔵が雲に乗っている来迎(らいごう)図で、一昨年の秋ごろに寺から依頼を受けた友禅染図案家の金原明保さん(73)=同市物集女町=が絹の布に絵の具で描いた。金原さんは、さまざまな角度から本尊を写真に撮って持ち帰り、筆を振るった。本尊には衣に細かい文様が入っており、細部まで忠実に再現。3枚目で納得のいく作品を仕上げ、「仕事の合間に片手間でやるのではなく、集中して描いた」と振り返る。

 仏画制作は、慶昌院の山路純正住職(69)が寺の整理をしている時に来迎図の版木を見つけたことがきっかけになった。版木は縦27センチ、横10センチで、1909(明治42)年に彫られた。山路住職は「版木の存在は知っていたが来迎図とは思わなかった。当時の人々に、お地蔵様に迎えに来てほしいとの願いがあったのだろう」と話す。

 慶昌院は曹洞宗の寺。同宗派は東北地方にも多く、東日本大震災で被災した寺院が多数ある。山路住職は震災復興への取り組みに力を入れており、仏画制作もそうした思いから考えたという。

 1月上旬には仏画をお披露目する法要が営まれた。山折さんも出席し、地蔵にまつわる願文を現代語訳して歌にした「慶昌院地蔵賛歌」が紹介された。本堂には仏画と一緒に願文も飾られており、参拝者が見入っている。

【 2018年03月16日 17時30分 】



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