歌人・辰巳泰子の公式ブログ

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赤まんまの覚え歌(83~100)

2012-11-25 07:36:55 | 日常
これで百首になりました。

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厄介な深き小骨を抜くときは工夫もなにも場数こなさん

いい香り新鮮なのね貴婦人ね 母の褒めしは魚(うお)か娘か

情けないと子らの言う彼不味くない 白和えにしよ、ほっとり甘い

彼岸花に残暑したたりスーパーはもう蓮の根に値札を付けて

全部あげるだってわたしは作れるし自分のぶんは今度でもいい

現在地の背中のほうで図会の山しんと暮れゆくうすずみ色に

そうするしかなくてのぼった天辺は風次第なり鳥もわれらも

あら汁のくつくつ煮えて外の面には落ち葉に落ち葉かさなりてゆく

観音さん小さくなられ召し上がる小皿に分けた湯葉のひとひら

落ち葉には落ち葉かさなり宿いくつ数珠玉のごといのちひしめく

値引きシールに今宵大漁の心持ち飽きないように惜しむ幸せ

一夜干されてうまみの詰まるわたくしはお芋なひとと合うかもしれず

マヨネーズとソース挟んでお土産は経木八寸はみ出すぐらい

ムール貝のむきみ売られていし町はいまなお苦し白ワインほど

ねた帳に大きな文字でけちと書きあわれ飲食に糸目なかりき

すし飯の焦げを隠さん白粉よりも宝のような胡麻擂るゆうべ

ゆずり葉のひと梅煮分けくれ花火した善意にはいつも名前がなくて

赤まんま花を召しませ一椀にペガスス駆ける想いあること

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このブログに掲げているのは、長歌レシピの短歌(反歌)だけを、百首です。
長歌と反歌の百首組が、「月鞠」13号に掲載されます。
発行は年内。
皆さんのお原稿とともに、きょうから、編集の作業に移行します。
たのしみにお待ちください。

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