2019年10月4日(金)、9月の米雇用統計が発表された。
日本のメディアでは、雇用者数の増加(13.6万人)が市場予想(14.5万人)を下回ったことが強調されているが、アメリカのメディアでは失業率(3.5%)が50年ぶりの低水準になったことを見出しにするものが多い。
平均時給は前年比2.89%と昨年8月以降はじめて3%を下回った。
ただ前に書いた論文で明らかにしているように、過去3回の景気拡大期における平均時給の伸び率は平均でそれぞれ3.3%、3.2%、3.1%。
インフレ率が2%を下回っていることを考えれば、2.89%はそんなに悪い数字ではない。
絶対的な水準としてみれば、9月の雇用状況は利下げが必要となるようなものにはみえない。
ただ少し気になることもある。
前回の景気後退(2008年1月~)では、その半年ほど前に失業率、平均時給、長期失業者数など多くの指標がピークアウトし(悪化に転じ)ている。
いまアメリカでは失業率は改善が続いているが、長期失業者数、平均時給などは数か月前につけた最高値から悪化が続いておりピークアウトが疑われる状態になっている。
問題はこの先、失業率などほかの指標もピークアウトしていくのか、あるいは平均時給や長期失業者数がふたたび改善に向かうのかである。
米雇用動向に注意していきたい。