2019年10月16日(水)、GMとUAW(全米自動車労組)は4年間の労働協約について暫定合意にたっした。
ロイターなどによると、合意内容は以下のとおり。
(1)期間従業員(temporary workers)は3年勤続すれば正社員として雇用する。<日系移転工場をまねてビッグ3の自動車工場では賃金や福利厚生が正社員にくらべて大きく見劣りする期間従業員の雇用が増えている>
(2)リーマンショック後に採用された労働者は、それ以前に雇用された労働者より低い賃金が適用されている。勤続とともに賃金は徐々に上昇するが、リーマンショック前に雇用された労働者と同じ賃金になるのに8年かかっている。この期間を4年に短縮する。
(3)正社員に11,000ドル(120万円:1ドル=110円)、期間従業員に4,500ドル(50万円)の労働協約締結一時金を支給する。
(4)2年目と4年目に3%の賃上げをおこなう。1年目と3年目に年収の4%に相当する一時金を支給する。
(5)純利益に連動して支給する利益分配金(ボーナス)の支給上限を撤廃する(これまでは扶養家族ありで1.2万ドル<130万円>という上限があった)。
(6)有給休暇取得の自由度を高める。GMでは、リーマンショック後に採用された労働者は、採用時に1週間、1年後から5年目までは2週間、5年以降は2.5週間の有給休暇が付与されるが、工場の計画停止がある場合、その時期に有給休暇を取ることが義務付けられていた。これを、1週間分の有給休暇については個人が自由にとることができるように改める。
(7)GMとUAWが共同で運営してきた教育訓練センターを売却する。現在、訓練センターを通じた組合役員の汚職について大規模な捜索、裁判が進行している。
(8)2020年1月に閉鎖予定だったハムトラック工場に30億ドル(3.3千億円)の投資をおこなう。
(9)ローズタウン工場を含む3工場を閉鎖する。同時に、ローズタウン工場の近くに電動車用のバッテリーセル工場を新設する。
このあと、組合員全員によって労働協約の批准を認めるか否かを問う投票がおこなわれる。
GMで労働協約が締結されると、次はフォードあるいはFCAで労使交渉がはじまることになる。
2019/10/18追記
10/17日(木)、本部に集まったGM支部長は労働協約が組合員投票で可決されるまでストライキを継続することを決定した。
組合員投票は2019年10月19日(土)から25日(金)にかけておこなわれる予定になっている。
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