美術の学芸ノート

中村彝などの美術を中心に近代日本美術、印象派などの西洋美術、美術の真贋問題、個人的なつぶやきやメモなどを記します。

20190907〜0911までの呟き

2019-09-25 20:57:00 | 日々の呟き

原詩と甚だ意味が異なる「故郷の空」や「蛍の光」で有名なスコットランドの国民的詩人、ロバート・バーンズは、遅くとも明治39年ごろには、わが国で、単に素朴な農民詩人としてではなく、「多感多情な人」つまり恋多き詩人として、また、「功名の心燃えるがごとき人」として知られていたようだ。


ブルーレイで録画したモネの「睡蓮、柳の反映」を復元するNHK番組を見終わっていない。が、一言、忘れないように書いておく。
AIに何百万回も学習させて最初に提示された復元画像の色彩やマティエールには失望した。私の脳の中に予想されていたものともかなり食い違ったことがわかった。(続く)

モネの最晩年の大睡蓮を復元するのに、70年代からの作品をデータとしてAIに取り込んでいたが、あまり必要なかったようだ。最初に提示された復元画像には不適切な紺の部分がかなりあったのが私には一番気になった。微量のピンクや黄も重要。白は大量に用いるが、表層には効果的な微量が現れる。

「睡蓮、柳の反映」を復元するには、白黒画像で形態を確定し、油彩画家に、マルモッタンよりもオランジュリーや米国の大睡蓮を観察させて描かせるのが、おそらく研究者たちの脳にある復元イメージに最も近いものになるだろう。AIは復元画家が色彩に迷った時に参考にする。多分、協働作業になるのでは。


国立西洋美術館、モネの「睡蓮、柳の反映」は、スタンプでなく肉筆の署名があるから、NHKの番組では、完成作としていた。そうかもしれないが、復元予想画像を見ると、ラカンブルの言葉にもかかわらず、オランジュリー美術館のとは同列ではない。作品としては西洋美術館の2メートル方形サイズの睡蓮をとる。

もちろん、作品の大きさから言えば、オランジュリー美術館の大睡蓮の関連作品であることは明らかだが、モネが最後まで残そうとした作品にはならなかった。


「この美学は…過去のすべての芸術作品を包括するとともに、現代芸術と職人技術の大部分を説明できる。…現代芸術のうちで極度に観念的な表現、デュシャンの「泉」も拒否できる利点がある。」
佐々木健一著『美学への招待 増補版』の山崎正和氏による毎日新聞評より。


「モネの白黒画像が、AIの学習によって自動的にカラー画像にいっきに変換されたのではなく、全く逆に、段階を追うごとに人間的・人為的な要素が復元画像の中に入ってきたのではないか。」


カンナ燃えさかる犬が死に婆が死に

人類滅亡百年のちの秋の空

今日の毎日新聞、季語刻々で坪内稔典氏が紹介した行方克巳氏の句。

草に臥て青空みれば天と地と我との外に何物もなし

藤原咲平氏の短歌、「霧ヶ峰を愛したお天気博士」の短歌、今日の毎日新聞より


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