美術の学芸ノート

中村彝などを中心に近代日本美術、印象派などの西洋美術の他、独言やメモなど。

仙台の喫茶店「無伴奏」(2)

2023-06-11 19:16:31 | 個人的なメモ
「 無伴奏」でよくリクエストされていた曲として、グールドが弾くバッハのゴールトベルク変奏曲があったが、もっともポピュラーな曲としては、パッヘルベルのカノンやアルビノーニのアダージョ、もちろん、ヴィヴァルディの四季や調和の幻想(霊感)などもあった。

バッハの無伴奏チェロやバイオリン曲はもちろんだが、お金も教養もない貧乏学生が、この喫茶店で何より学ばせてもらったのは、バッハのカンタータだつたかもしれない。140番、147番、78番、82番、それから4番、106番など。
あまり有名は曲ではないが、あるドイツ語の教授の推薦だと言われたカンタータの198番、「候妃よさらに一条の光を」も友人に教えられ、導入部の演奏には特に魅せられた。

バッハの有名な曲はどんなジャンルの曲でも、殆んど何でも聴けたが、マタイ受難曲やクリスマス・オラトリオなどはそれらにふさわしい特別な日にしか全曲はかからなかった。
リクエストがあっても、他の客のリクエストもあるので、LPの第1面だけで済まされた。
友人たちもアンナ・マグダレーナ・バッハの『バッハの思い出』などを読んでおり、マタイの導入部や終曲部などの素晴らしさをよく語り合ったものである。
もちろん、リヒター指揮のヨハネ受難曲における不安に満ちた劇的な導入部の演奏を知った歓びも忘れられない。

私は、グールドの弾くピアノ協奏曲第3番、5番、そして誰の演奏だったかバイオリンとオーボエのための協奏曲は頭が撫でられるような心地よさがあって、好きだった。ブランデンブルク協奏曲の第4番、5番、6番や、バイオリンとチェンバロのためのソナタ第4番、音楽の捧げものなども時々リクエストした。
最後にぷっつりと切れて、宇宙空間に投げ出されたように感じたオルガン演奏のフーガの技法も良かった。

バッハのオルガン曲と言えばパッサカリアが好きだと言っていた友人は、もう鬼籍に入ってしまった。(続く)




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