アマリリスが咲き誇る季節になりました。
窓越しの陽光でハイビスカスは年中咲いていますが、我が家のアマリリスは秋に葉を落とし、春に球根を植え替えます。
植え替えから約1か月、ググッと伸び、2~3日で花芽が膨らみ急に咲き出します。
一本の茎の先に、4本の花芽が十字に広がる、不思議な、いや豪華で派手なプロポーションです。
一方、隣のハイビスカスは今日だけよと一日花で、咲いた翌日には花びらを巻貝か葉巻のように巻き込んで、自然落下してしまう・・・鮮烈な花です。
沖縄などでは、雑草同様に自生しているので園芸品種として希少価値は無いでしょうが。
ハイビスカスが長きに渡って存在を主張するには、蕾を沢山つけて新しい花を次々と毎日咲かすことになります。
しかし、連続して咲き続けるにはスタミナが必要となります。
30度以上の猛暑が続く夏は、バテるので咲かないようです。25度前後の春・秋は肥料を与えると絶好調で咲き続けます。
これに対して、アマリリスは大輪の花を咲かせると1週間、昼も夜も咲き続けています。
ハイビスカスが肉食系とすれば、アマリリスは草食系でしょうか? ポーンと咲いて暫くすると数枚の葉があるだけの目立たない状態で生活することになります。
・・・そうでした、花が終わると球根に栄養を集中させるので、茎から切り取り若葉のクンシラン?のような葉だけで年末までそっと静かに置かれています。
横から見てみましょう・・・派手な大輪で誘って、ジッと虫を待っているのでしょうが、野山と違い都会の厳しい環境に置いて・・・スミマセン。
我が家では植え替えも一段落しましたが、これから朝の水やりが大変になる季節です。
イチゴに葉水がかかりすぎたか、葉に少しダメージが・・・、カミキリ虫に根を切られ、ライラックが一鉢ダウン。
・・・梅雨の季節に向かい、生育の観察が必要です。
・・・・・
晴天の休日、宗教情報を収集しているわけではないのに、アンテナに ピピッ と・・・気になるので向かってみました。
交通量の少ない道路から校内に、・・・左に守衛さん、挨拶して中に入って左側、その先に立て看板がありました。
入場料:無料と大きく記されています。 その上?・・・
「素心 バーミヤン大仏天井壁画」 ~流出文化財とともに~ とあります。
バーミヤン 耳にされたことがありますね、ファミリーレストランにも同じ名前がありますが・・・
・・・左に進みます。奥に待ち構える洋館は、年代物ですね。
「陳列館」と見慣れない看板が掛かっています。
ここは、・・・東京芸術大学大学美術館陳列館 昭和4年(1929年)竣工とありました。
・・・なるほど、昭和の始めですか、・・・大正13年9月、関東大震災で壊滅的な被害を受けながら、前年までに次々と隅田川に橋が架けられた。
三越呉服店は、社名から呉服店を外し三越へ、この年の秋には上野広小路に松坂屋が新装され、日本初 昇降機ガールの誕生とサービスも近代へ変わろうとしています。
震災後の復興はインフラの整備、さらに如水会館など近代建築のビルが建ち、新しい文化が生まれ・・・
知識だけが重視の今日と違い、公私混同しない人間性が基本にあって、貪欲に知識と技能を学ぼう、社会に貢献しようという精神が多くの人々にあったのでしょう。
そこに情熱が加われば、責任感が生まれ、知恵が働き、目標を短期間で達成しようとする、そんな日本人がかつては役人を筆頭に奮闘されたようです。
明治の人々の、侍の精神、清貧の思想がまだ残っていたのでしょうか。
そんな物思いにふける・・・、ここは東京、優秀な知識・学歴が売りの都知事が高給を頂きながら、・・・政治資金という税金を公私混同に利用し、・・・セコイと叩かれています。
しかし、このようなことはここ数十年、特殊な例ではなく・・・「領収書で落とせれば」 公私混同しても分らない・・・
領収書で落とせるのだったら、他人の銭です、高級?いえ、出来るだけ高額な宿泊、贅沢品を購入しようと欲望が高まるのです。
3万円の桐箱入りメロンにサクランボ、3000円では交際費にならないのです。
金額が最初にありきのゆがんだ交際費天国、それにあやかる商売で高級料亭や異常な高額品が売れるのです。
かつて、社会人になりたての頃かそれ以前か、某通信大手(多分KDD)の社長夫人がブランド品の化粧品、宝石から下着などの生活品まで
日本橋三越本店にハイヤー(社用車)で乗り付け購入していました。お店にとっては上客です・・・女王様のようにおもてなしをして頂いて、・・・と週刊誌が騒ぎ立てた記憶があります。
有名店で購入したこれら私物の領収書が、主人の会社で当然のように経費で処理されていたと・・・何故記憶に残っていたのでしょう。
社長は元郵政省のエリートキャリア(役人)出身・・・独占的な、社会的な企業の社長です。銭は十分あるけれど、主人も妻も、自分の銭は使わない・・・。
こんなしょうもない社長夫人の話が、週刊誌にスクープされたのでしょう。実は、このエリート社長と部下連中は、脱税か汚職で摘発され、大きなニュースになりました。
当然調査が入り、その過程で芋づる式に品の無い話が発覚してしまったようです。
・・・「領収書下さい」・・・上様で?、・・・「いや、〇△会社名で」・・・、今日でも家庭の生活費まで経費で落とす人々はおりますよね。
・・・架空領収書の需要が多く、発行する会社が摘発されたこともありました。・・・もちろん・・・領収書は?と尋ねられ・・・「要らない」と公私混同せず・・・ごちそうされる気前がいい人もたくさんおりますが・・・。
・・・横道にいたので? 話が横道にそれました。
左の柵の外に見える道路は・・・上野公園の高台を通る抜け道です。下谷、JR上野駅から鶯谷・池之端・根津方面へ・・・左斜め前方に東京国立博物館があり、この陳列館の右裏は、東京都美術館、
・・・公園内に縮小されましたが噴水があって、・・・昔家族でこの季節に自転車で散歩に来て、公園の噴水横でアンケートに記入したら、後日黄色の自転車が「当選です」と届きビックリしたのを思い出しました。
さて、陳列館、内部に入ってみましょう。左に受付、正面が1階展示室、右に階段・・・2階には後程
・・・撮影はOKのようです、ストロボはもちろん禁止、しかしカメラを持参してこなかった。急きょSONYの動画で見にくいですが紹介します。
1階ドアの先に進むと、左側に不思議な
標本のようなBOXが並んでいます。中身は、彩色された工芸品、・・・いや、破片です。
これは美術品、スルタン?・・・サイズがバラバラ、・・・これも頭部のカットが雑で破壊された物でしょう
拡大です
奥の中央に存在感のある石像が・・・これは、残念・・・頭部が無い
オッ! ワンポイントマーク付きのしゃれたサンダル履きです。
これらの陳列品は、ピントが甘いですネ、・・・自動のピントは暗くて振り回しが早いと付いていけないようです。
上部に、横長の写真が展示されています。
隆起したと思われる切り立った崖が延々と続いています。手前からの並木道が付き当たった所の少し右側に、黒い長穴が見えます。
ここが世界的なNEWSになった、バーミヤンです。
そして黒い長穴には巨大な大仏が彫られ、その天井に大仏天井壁画がかつてまばゆい光を放っていたそうです、・・・当 特別企画展の展示品がまさに光彩を放っていた、貴重な破片そのものなのでしょう。
大仏頭部の彫刻は、エーゲ海ギリシャ文明の影響も見られる素晴らしいものです。
・・・改めて、学習してみましょう。バーミヤンとは・・・まずは地球上の位置です。
地中海・・・中近東、シリア、ペルシャ・・・アフガニスタン・・・モンゴル、敦煌、中国、 東西にシルクロードが走っています。
そこは、アフガニスタン その北部
かつて、ソ連軍がアフガンに侵攻し長期に渡り戦争状態が続き、・・・隣国パキスタンに大勢の人々が逃れ・・・難民となります。
難民の中で若者が、イスラ神学校で娯楽も禁止する極端なイスラム教を学びます。そして、彼ら学生がタリバンと呼ばれます。
ソ連が撤退し混乱状態のアフガニスタンに、パキスタンの軍事援助も受けたタリバンが武闘勢力として・・・かつてのアレキサンダー大王の名のついた都市カンダハルから祖国を制圧し始めます。
このアフガニスタン北部を拡大します。
首都カブールから北西230kmに、Bamyanがあります。
1996年このカブールをタリバンが制圧し、その後アフガン全土を支配しタリバン政権を樹立します。
そしてタリバンは、偶像崇拝は認められていないと、他宗派の仏像まで爆薬で破壊し、2001年3月その映像を世界に公開したのでした。
Bamyan、バーミヤン、バーミヤーン、航空写真では山間の盆地、いや内陸部ですが・・・標高は、2500mもあります。
2500mは空気が薄い山岳地帯です。
現代の交通機関は、・・・らくだ、それともジープでしょうか?
・・・飛行場がありました。幹線道路も走っているようです。飛行場の北を探すと目的地が見えてきました。
見易い地図で、この位置になります。
山岳地帯のオアシスです。切り立った崖に大きな仏像は二つあるようです。
位置が理解できたところで、この企画展の案内を読んでみましょう。
タリバン、イスラム教原理主義の武闘派と呼ばれた政権は数年後、2001年12月崩壊します。アルカイダの9.11テロ、首謀者とされたビンラディンをかくまったとされ、アメリカ軍から攻撃され・・・
しかし、神学校の学生武闘派の残党は・・・、今日でもニュースによく登場します。
先日、USAの無人機が他国(アフガニスタン)の領土上空から・・・タリバンのリーダをテロ犯罪者としてロケット砲で殺害しています。
この件が実際そうだったかは不明ですが、ご存知の方も多いと思いますが、現地アフガンのCIA 諜報員から標的の情報が衛星を介して伝わります。
米軍はアメリカ本土から狙撃担当チームがスクリーンを見ながら発射ボタンを押します。
標的に向かって無人のカメラが誘導します。近代戦争は、敵対者を背後から(天空から)暗殺です。
本人確認も何もなく・・・逮捕して裁判が必要?・・・関係ない・・・とこの地域は戦争状態が続いています。
精神が集中せず、展示品の説明をじっくり読むことができずにいると、これから2階で天井画の説明をします。
時間のある方は、・・そんな関係者の案内が近くから聞こえた。
明るい階段を登ると、独特の青色が鮮やかです、ラピスラズリの顔料です。
この青の建物は、ペルシャには多いようです。イスタンブール、トルコにも・・・、顔料はアフガニスタンで産出するようです。
さらに右側にこの様な画像がありました。白馬が2頭、
では、映画館でしょうか、内部に入ってみると
天井から柔らかい暖かい光線が・・・両サイドから照らし出されているのが・・・天井画、
その前方スクリーンに映し出されているのが・・・そうです、1.5kmも続く断崖の風景でしょう。
前に進み出てスクリーンを見つめると雲が微かに流れ、車のようなものが下方を移動して行く。
定点カメラで撮影された映像を時の流れが感じられるように、ユックリと・・・プロジェクターで今日のバーミヤンの風景が放映されていました。
バーミヤンの東西の2大仏、更に数多くの石窟は2001年3月13日にタリバンによって破壊されてしまった。
東大仏の石仏像は高さ38m、釈迦如来。西大仏の石仏像は高さ55m、阿弥陀如来といわれる。
間もなく関係者、多分芸大の教授でしょう、天井画の復元について説明して頂けました。
破壊された東大仏の天井画を忠実に再現されたのがこの天井画です。縦6m横7m
床に描かれた黒い幅広の曲線がありました。中央部がスクリーン側に膨らんだ線は、大仏の頭頂部(顔側)の輪郭になるわけです。
この線の前方、スクリーン側の床は断崖絶壁で、38mの下に地面があると思うと、・・・自然にラインの内側で天井画を鑑賞したくなりました。
一般の人々はこの下方の地面から大仏を見上げ、さらに頭頂部の上にこの空間が存在していることになります。
当時、この天井画を製作するにも長い年月と職人、そして資金が必要です。
費用を負担した一部の人々(国王はもちろんでしょうが)は階段でこの付近まで登り、近くから天井画を鑑賞できたそうです。
630年玄奘三蔵(西遊記の三蔵法師)がこのバーミヤンを訪れ、「バーミヤン大仏は美しく装飾されて金色に光り輝き、僧院には数千人の僧が居住していた」と書かれているそうです。
天井画は当時は多神教時代で、太陽を表わす大きな白いコロナのある円の中に、翼のある馬車に乗って天空をかける地元の太陽神ミトラが描かれているそうです。
前方の隅に日本でも良く見かける・・・風神が描かれています。
後方左には、天使の翼を持ったギリシャの女神が、そして壁に並んだ多くの人物像の中には、・・・仏陀も描かれているとの説明でした。
・・・破壊され粉々になったであろう天井画を忠実に再現?
土中から破片を集めて組み立てる壺のように再現したのでしょうか?・・・ハイテク技術、画像処理と、印刷技術+職人・学生の情熱 だったようです。
この地にフランス、ドイツ、日本各国が何度となく調査隊を送り調査された資料、その中に京都大学が1970年代に撮影された15000枚の写真を利用されたそうです。
この中から150枚を組み合わせ、重ね合せ、合成・変形させ、ドイツ隊の測定した採寸を基準に貼り付けていかれたようです。
芸大の特殊画像処理技法も駆使されて半年、天井の3Dを情報をユニット化し造形したベースに、和紙に印刷した画像を貼り付けます。
さらに学生たちも含め大勢で質感、彩度を高めるために、顔料を刷毛で塗布し、見事に再現し、このように天井画として組立てられたそうです。
朝日新聞で公開された画像を借用しましょう。
改めてこの地点から、スクリーンに映る自然界を眺めてみる、天空の気分には少し遠い、人混みの間から・・確実に・時は流れていく。
10秒、20秒・・・しかしこの場では1分と集中できなかった。
・・・・
この石仏群はいつ頃の製作か諸説あったようですが、破壊された破片に木片や麦わらが存在し、今日これらを分析して年代測定しようと進行しているようです。
しかし推定値には幅があり450年~850年位に建立されたとする説や、別の資料と測定法で、東大仏は495~519年、西大仏は536年~566年などと発表されているようです。
・・・源蔵法師は、当時シルクロードの北方ルートからこのバーミヤンに下りてこられたそうです。
有名なこの大仏を地上から参拝し、偶像製作の目的の一つでしょう「巨大さで圧倒し、神仏を人間とは比較にならない絶対的なものとして崇拝させる」・・・に大きく影響させられたのでしょうか。
さらに大仏頭部の位置に上がられると、源蔵法師の頭上には鮮明な太陽神と多くの人々が天空から包み込み、足元を巨大な大仏の・・・その頭上付近に置きながら・・・地上38mからの眺望が手に入ります。
感銘を受けたのは、・・・これから目指すインドには古くから階級制度(カースト制度)があり、最上位の司祭者(バラモン)権力者の気分を味わえたことでしょうか。
あるいは、バラモンの下の階級、王侯貴族、その王子だった 「シッダールタ」 がこのような階級制度などを否定して、その後・・・「仏陀:真理を悟った者」となり、仏教の祖となられたように・・・・この世を何とか変えなければと思われたのでしょうか。
・・・・
・・・歴史の情報が頭の中で混沌として、・・・同じ2階には、頭部を間違えて付けられた仏像があり、その間違えた頭部を外した仏像や
他にも「仏陀の誕生」などが展示されていた。
これらの展示品も先程説明して頂いたのですが、思い出せずに・・・失礼します。
やはり、タリバンに貴重な文化遺産を破壊されたショックな映像を思い出し、どうも集中力に欠けた時間帯でした。
これらの掲示物も撮影して後で確認しようと・・・しかし不鮮明で・・・雰囲気だけ紹介します。
どうぞ、関心のある方は、上野公園の北 東京国立博物館 「黄金のアフガニスタン・・・」、その斜め右前方が藝大です。
東京藝術大学大學美術館 陳列館 「アフガニスタン特別企画展・ 素心 バーミヤン大仏天井壁画 」 会期は、6月19日(日曜)まで (月曜休館)
もう一度拝見したいと思っています。
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