文明化重視から文化再生へ、日本の文化の根源を支える、生業(なりわい)。その再構築にIT技術の導入を

ふゆみずたんぼで生態系保全農業。商工業はIT生産技術。出版はXMLフオーマット、フルバッチ制作で再構築を.

2004/5/18satochiba:0233] 千葉の稲作・田圃を再生するために(8)

2006-06-17 17:43:15 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
里山の実態を知れば知るほど、容易ならざる事態だと考え込む毎日です。
 これからは、日本では少子化の影響が顕著に出だして、毎年50万人づつ人口が減少していきます。
その50万人分が、日本のどの地域から人口減少が生じていくかを考えれば、それは中山間から欠け落ちていくだろうとは、誰でも推測がつきます。
 年間50万人が、どの県の、どの部分から欠落していくか、深刻な現実です
現在、東京の郊外でも、すこし不便な所は人口減に見舞われだしています。
文京区でも道路沿いに高層マンションが林立し、その価格の安いこと(相対的に)と、建築されるマンションの個数のすごさに圧倒されます。
 
 私の住んでいるマンションの近辺500M内だけで、平均13階建てが、6棟も工事の真っ最中です。

 すべて、東京郊外からの引き上げ組か、地方の会社での出張所的な利用方法が圧倒的だそうです。 東京郊外ですら、この状態です。

 里山とは、いってみれば千葉全域が里山(都市と対応した)と考えて見ることだと思います。 その生活空間をいかに再生するかが、これからの課題です
 
 改めて考えてみて、里山条例とは、里山を里山林とか里地とかに限定することをやめることからスタートし、また、npoやボランティアが活動上必要なの費用と場所等の相当部分を県が条例に基づいて、随時負担してくれる事を約束し、県への提言を期待し、行政はその実現を果たせるようにように機能することを約束しているのだと、いま、確信していますます。

 仮に、そこまでは考えていなかった……
としても、これからは、そのように考えていく、という事を改めて 今までにない行政側からのアプローチとして、市民側からも高く評価され、いま多様なNPOや個人ボランティア等が、それぞれの課題に向かって、前向きに検討しだしているところだと理解してます。
 これからの、基本は行政への提案です

 市民が、現存する行政側の項目別予算の枠内に、いままでの政治家、市町村、業者とともに第4の圧力団体としても行政に介入し、執行予算の方向性に直接参画していこうとの方向性が、現実味を帯びてきています
ある面では時代背景が変わって行政がそれを真に期待しだしているとも言えます。

 その前提で、開示情報、現地見学を繰り返す中で、実態掌握では、市民側も予想できなかったような、真っ黒か灰色の部分が随所に出だしてきたとしても、たじろがないで、進んでいけないものかと考えています

2004/5/18satochiba:0232] 千葉の稲作・田圃を再生するために(7)

2006-06-17 17:40:45 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
[里山を取り巻く、諸問題の中で
 湿田から乾田化への施策が、最近30年来の農法の基本と聞いています。一つの見方として、最近のはやり言葉をひっくり返して考えてみます
 以下
 生物多様性  → 生物単様性
 環境に配慮  → 環境には配慮しない
 多様な農法  → 単一な農法
 湿田化    →  乾田化
 有機農法   → 無機農法
 乾田化による狙いの中に、日本に於いて、戦前数百もあった農法を乾田化という、ひとつの農法に単一化しようとする目標設定自体があったのではないでしょうか。 個人的にはそのように感じられて仕方がないのですが。
 
本論です
 千葉の印旛沼周辺の田んぼでは、異常なほどの乾燥化が進んでいます。
新海さんの田んぼでも、鮭が遡上して卵を産み付けた土濠の用水路も、今年はからからに乾いて、周辺では風にあおられて、田んぼの土のほこりがすさまじい状態です。 もちろん、鮭の卵は全滅でしょう。新海さんもこのようにひどい乾燥は初めてと言っています。道路まで流砂が覆っています。 
 
 もうひとつは、印旛沼の沼の縁につながる巨大な田んぼ地域でも2毛作を狙って、乾田化されたそうです。が、結果として麦は収穫が遅くなりすぎて稲の収量が落ちる問題、大豆もうまくいかなくて、結果として1年のうちの8ヶ月は乾燥状態のまま放置されています。2毛作の狙いははずれてしまったのです。千葉県下では、田んぼでの2毛作はすでにほとんど行われない状態になってきているそうです。 同時に専門家はこれらを含めて、1年間のほとんどの期間、田んぼに水がないために、いよいよ地下の保水能力にも問題が生じだしていると指摘しています。
  
冬期湛水水田で見えてきた、問題の本質はどこに 
 生き物の生命力を最大限活かしてあげる農法の確立こそ、これから議論を重ねなければならない問題の本質だと考えています。
 霞ヶ浦でのコイの大量死でのコイヘルペス騒ぎ、現在世界中、特に日本でも各地で、鳥インフルエンザの広がりが実感され、それへの怖さを体験しています。
 その過程でよりはっきりしてきたことは、ウイルスの伝搬や未知の環境下での、大量、高密度、高濃度救餌、短時間育成等、生き物としての生きる権利を侵され、主体性を奪われた生き物達の、あっという間の大量死の事例ばかりが目立ちだしています。
 大量飼育下での生き物のもろさが、表面化してきたのではとの一面が感じられ、同時に、これは、畜産だけでなく農業全域でも変わらない問題なのではと思えてなりません。
 生物多様性の本質は、同一種間でも、多様な命をつなぐ上で、異なる遺伝子をもった幅広いDAの多様性を自然界は必ず準備しているという事です。そのためには多様な環境を与え、生き残れるチャンスを自立的に発揮できることが必要だと考えています。
 生きものが本来の主体性を発揮してこそが、良い製品に育っていく。そのためには絶えず環境を最適にコントロールする仕事、これからの最大のテーマではないでしょうか
 そこには、生き物の命と、生活権を尊重してあげる姿勢が重要です。生き物との共生とは、そのスタンスが無ければ成立しません。 
 今までの農法も、畜産も科学技術と言っても、無機の、化学技術に依存していました。化学肥料も農薬も、人間が試験管の中で作り上げ、製造した物ですから、はじめから終わりまで人間が管理しなければなりませんでした。
 それに変わる有機の世界こそが、これからの本来の科学技術だと思います。基本的に生き物によって生き物を管理する技術です。
 問題の本質は、人間がどこまで生き物の管理に介入できるかの部分です。変動条件がたくさんありすぎて、現在のコンピュータでは管理しきれない部分がたくさんあることが分かってきています。
 その分かっていない部分への接近こそが、われわれのテーマでもあります。
 まさに、無農薬を貫く決意を持った方でも、除草に問題を抱え、除草剤を今日振るか、明日振るか、思い悩む世界かと思います。

 冬期潅水不耕起栽培では、生き物の生命力を最大限引き出すことによって、冷害にも強い稲が作り出されているのではと、最近考えられて来ています。
 その一例として、稲が穂を出す肝心なタイミングを、自分の命をつなぐ、最良の時に一斉に開花して、受粉に成功する仕組みがありそうだと言うことを、不耕起栽培の権威者岩澤さんが言っています。そうだとしたら大きなポイントではないでしょうか。

 冬期湛水水田で生物濾過された、温かい水をも求めて、鮭がやみくもに田んぼの用水まで入り組んできたことも、産卵できる箇所を求めて、水の道を臭い等でたどって来たとすれば理解できます。

2004/5/18[satochiba:0231] 千葉の里山、特に稲作・田圃を再生するために(6)

2006-06-17 17:36:41 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
千葉の里山の現実として、色々な方々とのくだけた話し合いの中で、大変気になる会話がありました。
 都会人の描くイメージとしては、農家の広々とした庭前の、縁側でこっくりこっくりと昼寝をする、おばあちゃんの姿だと思います。
 話しを聞いて、現実の里山にある農村では犯罪多発による生活の安全性の低下が心配になってきています
 それは、最近軒並み、空き巣に入られた、農機具を根こそぎ持って行かれた収穫物を盗まれたという話しを頻繁に聞くようになったことです。
 これは、農村自体での強固だと思われてきた共同体そのものの組織が崩れつつあることが大きな原因とも考えられます。
 各地で頻発する農産物泥棒では、地域内では盗んだ犯人の人物まで特定できても、警察は現行犯逮捕を原則としています。警察に犯人として名指しをした人の方が、逆に居直られて、俗に言う村八分にかけられる結果になってしまったという話を、あちこちで聞かされます。
 そのため、多くが泣き寝入りになっているという話しでした。
 それと、もう一つもっと困った話しとして 千葉県での、畜産農家の営農の現実と、環境の汚染があります
 里山にある、いわゆる畜産農家による牛や豚の多頭飼育(400頭単位)で発生する膨大な畜産汚泥の問題が、現状、最悪の環境汚染と密かに呼ばれている状況です。 でも、地域の農家の方々からは実態も、また特定の誰が問題を生じているかが分かっていても、外部には誰も話をされません。その結果として、地域の実態が本当のことは誰も分かっていません。

 その間に、だれも事態を特定できない。制御できない、抑えられない事態の深刻化の現実があります。
 これは、千葉県等特定県の問題というより、日本全国で一斉に起こっている問題点でもあります。

 北海道の東端、根室の風蓮湖や函館近くの大沼、宮城県の伊豆沼、長沼等でも、昨年の夏、水質汚濁の象徴的なシンボルである?アオコが発生しかけているか発生してしまいました。
 特に宮城県の長沼は水質汚濁ワースト2にランクされてしまいました(ワーストワンは、ご存じのごとく、千葉県の印旛沼です)。 長沼でも風光明媚なすばらしいところですが、畜産農家等からの垂れ流しで畜産汚泥の一部が河川に流出し、湖沼に流れ込んでいるとの話も聞いております。

 30年~40年前までは、1農家での家畜の飼養は、馬牛豚等を含め1桁以下であったと理解しています。

 現状は、畜産農家側が収益を確保するために、40頭が100頭になり、200頭になり、400頭になってしまった事にあります。その畜産農家の経営現場の実態があまりにひどくて、同時に畜産汚泥処理技術開発が遅れていて、かつ費用がかかり、それらへの対策の遅れ等からこの状況は、当分どうしょうもないと言うことが現実かと思います。

2004/5/18[satochiba:0230] 千葉の特に稲作・田圃を再生するために(5)

2006-06-17 17:34:09 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る

[これからの1次産業、特に農林水産業に関しての、問題の提起を行わせて頂きます。 その後は、これからのロマンのある、事の両面で明るい面を強調して、気分も変えたいと思います。
千葉の里山の現状で気が付いた、さらなる断面です。農家の皆様の沈黙が気になってきました
農家の皆様の現在の沈黙は、何が原因なのでしょうか
 冬期湛水水田の普及のために、関東(主に千葉県印旛郡周辺)をあちこちと歩き回っています。
 でも、沈黙の壁の厚さにめげます。最近は、冬期湛水水田運動は、自立した自営農者さがしの感じがしてきたりします。 
 その原因の最たるものとして考えられるひとつは、農家の実質的な小作農化が現在の事態を招いた原因のひとつと思えてなりません。
 現在、千葉県下を歩いてみて、いろいろな話を聞いてみると、各種営農の失敗(それこそ原因はありとあらゆることで)等によって、借金を負っている農家が実に多く、また、最近では、ほ場整備にかかわる負担金の代金も支払えなくて、競売にかけられる事態もが、生じかけているそうです。
 もともと、日本の敗戦後、農地解放によって地主から土地を譲り受けた自営農家の皆様が、直ちに直面した現実が水争いでした。 自営農業者同士の争いでは、血と血を争う事態になってしまうことが多発しました。
 少なくとも戦前では、水争い等は地主間の争いとして調整が取れていました。そのため、自営農家間では、深刻な水争い等での紛争を解決できないことから、その代わりの中立的な(擬似的な地主)調整期間として農協が、それも大きな動機で成立がすすみました。
 その役員として治まった多くが、戦前の地主方の師弟であったと考えられます。
 しかし、この農協組織がいつの間にか巨大化、肥大化、多目的化、商社化、金融機関化し、さらにはあたかも国の出先機関化してしまったと揶揄される事態を招いています。
 同時に、千葉県では農協が他の県より相対的に弱く、その分、県の行政機関が、それこそ手取り足取り、農家の仕事に結果として介入する結果を招き、県そのものが一種の地主化しているけらいが感じられます
でも、農家自体は、自営農業として土地を所有して、農協や県が地主代行と考えれば気楽なものでした。
 結果として形を変えた小作・地主の形態が継続し、現在に至っているとも考えられます。
 自営農家も、基本的に農協が行うことに対して、いつの間にか自分の経営という感覚が薄れ、本来の田んぼや農業経営に関心を払わなくても、農協がうまくやってくれるのだから、任せておけば良いということになってしまったのではないでしょうか。

004/5/18[satochiba:0222] 稲作・田圃を再生するために(2)

2006-06-17 17:29:00 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
もともと、白鳥類はシベリアで、短い夏の期間に成長し、飛べるようになった直後に日本へ渡ってきます。したがって餌のとり方、危険への対処の仕方、仲間同士の付き合い方等、白鳥が生存していくためのノウハウ、或いは文化が存在し、幼鳥は日本に渡ってきてから冬の半年間、親がつきっきりで教育するものなのです。
 さらに2~3年間、亜成鳥として、親の直ぐ近くで、家族群として生活をし社会勉強をしっかり経験し、危険に対する対処等を学習して親になります しかし、この楢葉のハクチョウは、自分の安全も,餌の取り方も、何もかも人に任せて、朝10時と4時の餌を待ちかねているだけの生活に堕していますから、親から餌の取り方、危険への対処の仕方を学ぶことのできない世代が誕生してしまいました。
 今の世代は、親自体が餌のとり方を含め、白鳥が本来固有に持つ文化を教わっていないのですから、世代間での継承がされず、すでに文化を喪失している分けです。
 全くの野生個体とは、生活スタイルが当然異なります。

 楢葉の白鳥群は、人間が餌をくれるのはあたりまえということで、安全と生命を人間にまったく託してしまったように観察されます。
 同じパターンで、『日光いろは坂の野生サル』がいます。餌を求めて平気で人を襲い、売店を襲撃します。これは楢葉のハクチョウと同じで、親から、餌は人間がくれるもの、餌をくれるのは人間の義務だと教えられています。当然、餌をくれない人間には怒って襲うことが当たり前となります。餌の取り方を学べなかった世代が引き起こしている喜悲劇と言えます。

 これは、日本の野生動物の生き方の問題であると同時に、国からの公共事業主体の、地方行政での、なんとなく日本各地の現在の社会構造を連想してしまいます。

 日本に渡ってくる渡り鳥を観察していると、現在の日本が直面している生活文化的な背景を、良くも悪くも、日本人と共通に染まってしまっているのかなと感じたりします。
 ある面で、日本の銀行や商社、そこに勤めるサラリーマン、特に学校の先生方や農家の方々を見てみると、楢葉のハクチョウ現象のもつ背景、日本の本来の文化を喪失した親と、その子ども達の姿がかいま見えてきたりします。
 
 千葉県で言えば、一次産業、特に農林水産業が、現在陥っている穴ぼこの、その一部分は、まさに「楢葉現象」の背景で、薄ぼんやりとでも、理解できるのではないかと考えたりしています。



 実は、この情報は、雁の研究グループとのメーリング内容の再編集です
各地で千葉の里山、特に稲作・田圃を再生するために考えること(1)記載の実態を改善するべく、以下の様な行動を起こしました。11月20日の情報です。楢葉現象解消、及び本埜村の白鳥群の餌場確保に期待をしていました。


(1) 福島県双葉郡楢葉町の大堤、いわき市の夏井川、そして千葉県本埜村、いずれも高濃度餌付け白鳥群で知られています。
 そのいずれでも、この冬、生活環境に大きな変化が生じています。

 餌を1日2回から1回に減らしたことです
この結果、夏井川では朝から白鳥群は餌場を求めて、大挙飛び立ち、昼間はほとんど姿を消しています。でも夕方までにはすべて戻って餌にありつくように行動が変わってきました。
 これは、最初夏井川白鳥を守る会の小野会長さんが始めたことで効果抜群、昨年まで1日中餌場前に400羽も滞留していた白鳥が1~5羽を除いて、近在の国道の両側の田んぼに数群に分散して採餌を始め、真っ白に見事な光景とのことです。
 雨で水のたまった畦の間で主に落ち穂を食べているとのこと。これを聞いて、本埜村でも参考にしたところ、近在に採餌地を求めだしたとのことです。福島県双葉郡楢葉町でも同様です。

 朝、餌を断つことで、白鳥群はイヤでも採餌地を探しだします。
でも昼間の採餌が不十分であっても、夕方の給餌がありますのでねぐらと、体調管理での餌付け機能は崩れません。
 効果として、給餌の絶対量が大幅に減少し、管理する側の負荷が軽減され、結果、餌等の費用が軽減されます。
 白鳥群も昼間の観光客からの餌を期待して居残るか、自分で探すかの選択をすることで、多様な生き方が選択されます
 なによりも餌付けではなく、自立してきちんと生活能力を身につけた白鳥となります。

 元々は、今年の冷害で餌の確保が厳しい渡来地の事情もあります。でも全国の大量渡来地では、この思考は大いに参考になるかと思い、報告をします 3ヶ所とも個体数は昨年並みで、安定期に入りました。昨日現在楢葉町(260)、夏井川(360)

[satochiba:0224] 千葉の里山、特に稲作・田圃を再生するために(3)

2006-06-17 17:27:26 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
これは2004年2月の雁・鴨・白鳥の専門誌に掲載した内容を再編集しました

1 本年度の関東地方、特に成田市周辺の田圃の状況は空恐ろしくなってきています。一面たんぼも山も灰色に染まっています。
 栄町の新海さんの冬期湛水水田横の水路もからからでたくさん産卵されたはずの鮭の卵も底から砂ほこりが舞っています。
 深海さん自体、このように乾燥したのは初めてという状況です。

2 佐原市の藤崎さんの冬期湛水水田の周辺では、田圃自体からは塩の塊が出現し、道路には流砂がよどみ、高速道路でも砂ぼこりで煙のようにたなびいている状況です。 とうとう行き着くところまで来てしまったように感じます。
 でも、農家の方々からの反応がほとんどありません。
 少なくともほかの県(宮城県等ほか)では、この無反応ぶりは考えられない事態だと思います。 

3 千葉県の現状は、砂漠田んぼ地帯に、里山はあっちでもこっちでも産廃の山、 千葉市民等のための飲用水は、日本一汚濁のひどい印旛沼の水そのものです。
 世界の文明は、資源枯渇と水源喪失で、砂漠化と環境汚染が重複してだめになる、最後のとどめは農地に塩が噴き出し、みずが枯れて農地の放棄となって、ジ、エンドと、アーノルド・トインビー等が歴史の教科書上で述べています。

4  印旛郡本埜村周辺では、秋の刈り入れ直後に耕起してしまい、田んぼを乾燥化させます。
 白鳥群への餌付けでも、本年は、朝の餌を止めて頂きましたが、12月中旬には、周辺にまったく餌のないことが分かりました。
 異常なほど鴨も少なく、かって利根川流域、印旛沼周辺合わせて150万羽はいたであろう鴨群も、全域で10万羽程度に減少しているのではと。個人的に試算しています。その上で、砂漠地帯には、水鳥が生息できない理屈を、嫌でも突きつけられる感じです

5 いま、心配なのは、この地方へ渡来した雁、鴨達が、餌にありつけず、栄養失調のままで北帰しても、繁殖出来る体力がなく、寿命が尽きた鴨から姿を消していく状態に陥っているのではないかとの心配です。 数年後には鴨の姿までもが消えるのではないかと恐れています。印旛沼も水面上に鴨がいません、どこへいっても空っぽです。

6 その反面で、佐原市にある、岩澤さんが指導している藤崎さんの田んぼの稲を改めてよく見てびっくりしました 冬期湛水水田の稲は、根っこの部分が冬の盛りでも元気に生きています。
この根っこの部分は真っ白で、茎は柔らかくプリプリして、みずみずしいままです。この根っここそ、昔の田んぼには無尽蔵にあって、白鳥や雁や、鴨達の越冬期の最大の餌の一つなのだと、専門家のも聞きました。
 
7 かって、150万羽もの雁、白鳥、鴨達が、印旛沼の周辺で生きていけたのは、まさしくこの生きた根っこと、水が張られた田んぼがあって、無尽蔵に餌が食べられたからだと理解できます。
 同時にハスと、マコモと、ヒシの身が周辺にほどよくあって、初めて雁・鴨・白鳥は多様な餌によって、バランスの取れた栄養を採餌地で獲得できたのだと理解できました。

2004/5/18[satochiba:0222] 稲作・田圃を再生するために(1)

2006-06-17 17:23:57 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
以下は、荒尾が自分で観察し、農業問題への切り口として、かつ問題意識として抱えていることの原点を若干申し述べます。
 それは、人間にちかい、生態系のトップに位置する複数の渡り鳥たちの、日本に渡来するグループの一部に生じている、特有な問題を解析しての感想です。
 
 まず、鳥も犬も猫も、種類別に最も有利な生き方を選択する手段として、人間を徹底的に利用するグループがあります ペットとしての犬が代表例です。最も種として成功している種類です。中には排他的な種類としてオオカミがいます。どこでも絶滅か、その恐れがある種として知られています。
 
 
 雁・鴨・白鳥をグループ別の観察調査していく上で、37年前に(オリンピック以前の、未だまともな時代の日本)に、東北や北海道で、野生(文字通り)の雁や白鳥のグループを観察したときの感覚があります。
 還暦を迎え、もう一度、好きなことをと思って舞い戻った、同じ雁・鴨・白鳥のグループでの観察で、白鳥群があまりに生活スタイルが変化してしまっていて、戸惑っています。
 一部の白鳥類の個体群が、徹底的に人間を利用しはじめ、その行き過ぎから、餌の取り方を知らない白鳥群が生じてしまっています。まさに人間に生命や安全までを依存し、ペット化としか言いようがない状況が生じています。

 同時に、「里山に託す私たちの未来」を考えるときに、白鳥類や犬は、ドックイヤーと呼ばれるように、3~4年で親になります。世代交代が著しく早いことが背景にあって、よりはっきりと、日本文化での背景を見せてくれるのかもしれないと思ったりしています。


 『地球を旅して生活する鳥』白鳥や雁類は、日本に渡来するグループは日本の生活文化になじみ、他の国とは異なる生活スタイルを獲得すると思います。
 人間と同じ生活者として認識すると、日本の文化的な環境とは無縁ではないと感じています。そこで逆に、日本の現在の社会病理(?)現象を理解する客観的なヒントを与えてくれる存在かもしれません。
 また、生態系の頂点にあって、地域の実際の状況をはっきりと教えてくれる存在でもありと思っています。


 日本文化のひとつの切り口として、以下の現象を「楢葉のハクチョウ現象」または「楢葉現象」という言葉で、紹介させてください。
 まさに、福島県楢葉町で生じたことと同じ事が、千葉県印旛郡本埜村の白鳥群でも生じかけていることがありまして、深く強く関心を持っております。
 本埜村でが反面教師とし、そうならないよう、冬の餌の与え方を改善されたり、努力を払われています。

 福島県双葉郡楢葉町では、1日じっとしていて、餌をとりに行かない白鳥が何百羽も発生しています。実はもっと深刻で餌のとり方を知らない白鳥類が、多数発生してしまったのです。
 
 福島県には、現在年間9,000羽以上の白鳥類の渡来があります。
 楢葉町にも、町の中心地にある農業用の溜池「大堤」に600~700羽以上が毎年渡来して越冬しています。
 いまから15年程前に少数が渡来し、餌つけされて越冬。幼鳥も、死亡率も低くお米をたらふく食べて栄養満点で北帰します。数年後親になっても、体力抜群で、繁殖成功率も高く、繁殖に成功すると必ず雛を越冬し場所に同行してきます。その孫がまた3~4年で親になりますから、ねずみ算で、あっという間に600羽を越してしまった分けです。
 
 問題は、日本に渡来する白鳥類は、私が37年前、(財)日本鳥類保護連盟の専門委員として、福島県や北海道で白鳥群を調査した折りは、500m以内には寄せてもらえませんでした。 人を見れば逃げ出したのに、今は、人は餌をくれるということをしっかりと学習し、人を見れば寄ってくるように変わってしまいました。


 

山武杉に関する情報2004年3月26日[satochiba:0006]

2006-04-29 22:17:59 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
 皆様、先日の里山の森の惨状には、言葉もありません
同時に、その根っこにある材木市場での、千葉県産山武杉の価格には改めてびっくりしました。同時に木材製品のほとんどが他県産ということも知りました
インターネット上で根腐れ病を検索しましたら、以下のリストが出てきました
ご紹介しておきます

政策法務
山武杉に関する、行政内での検討会のレポート。みどり推進課堀田さんの名前も

林業科学での評価です

林業家 並木さんの話しです

1 山武杉の惨状は、現地調査、木材市場の見学、改めてびっくりしています
同時に、里山条例に関わる勉強会を、それぞれの現地で開催することの意義を改めて感じています
 
2 この溝腐れ病が、山武杉だけでなく、一般の杉や桧にも出現し出している出現し出している とも聞きました。実態はどうなのでしょうか。皆様のご意見をお聞かせ下さい
3 里山林がこれだけひどいと、森自体が重症患者に見えてしまって 地域によっては、森林医療セラピーが成立するのかなと感じてしまいました。
県の森林研究所(?)等では、どの様に考え、対策を講じているのでしょうか。
 素朴な意見として、何か、対策をお考えなのでしょうか。

4 一説では、挿し木のための、畠苗の特有な病気という解釈、そして枝打ち等をしない手入れ不足を指摘する声と同時に
 (1) 地球温暖化の影響
 (2) 酸性雨による影響
 (3) 30年前からの赤松が枯れた原因と同様に、(1)も(2)も同様な針葉樹特有の原因で、体力低下も重なって生じている事 従って山武杉の実態は、第2の赤松だという方もおられます。

5 田んぼと里山林では、回転率が違います
  稲は1年で1回転する世界ですから、その地域回復に関しましては、1年単位で付けて対応が進んでいます。しかし、森林は針葉樹でも1世代1回転ですから、森林の地権者の話しは、淡々と話されて いましたが、親の代から一緒になって苦労してきた結果が、現状ではとまともに見ることがでない状況でした。

6 この森林の実態こそ、あらゆる皆様に見て頂き、現状認識をしっかりと持って頂きたいと強く感じました。

定年退職者が楽しみながら小規模な農業を担う 2004年2月23日 21:11[satosympo]

2006-04-29 22:06:31 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
里山と谷津田の再生には、具体的にどのようなイメージが必要なのかを考えてみました。

1 里山と谷津田等中山間での農業では、
 冬期湛水水田(冬・水・田んぼ)を行うことで、農法が昔の 農業のありかたに限りなく近づきます。乾田から湿田に変わります。この場合に 昔の農法では、年寄りでも稲作が出来ることは分かっています。
2 都会地の定年退職された方々が、一定のきちんとした農法の技術を マスターすることを条件にして、多数の小規模で楽しみながら行う 稲作に取り組んで頂きます。当然収穫も少なく、それ自体での所得は限界があります。
 しかし、年金を加算できれば、楽に生活が出来る。
3 地権者の農家の方々とは、市民農園方式で、営農指導を行うことで ある程度の所得と地権者としての保証が得られることが可能では ないでしょうか。
4 何よりも楽しみながら農業を行うことで、人生を豊に彩り冬期湛水水田(冬・水・田んぼ)によって、さらに、それでも放棄される箇所は「調整水田」方式で、湿地化して 生態系をより豊にしていく。
5 上記は、田んぼだけでなく、畑や里山林などにも応用できると考えています。
6 最大のポイントは、かっての寺子屋に近い方式での、「農業技術の習得」 にあります。この部分への行政からの支援が欠かせないと考えています

千葉県の田んぼの一断面(3)004年2月9日 9:03[satosympo]

2006-04-29 22:04:05 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
 
5 利根川流域のこの地域は、いまでも基本的には狩猟地です。11月から2月15日まで、絶えず鉄砲の音が鳴り渡り、冬の農閑期、農家の方々は昔から伝統的に鴨猟のハンターに早変わりします。農家のおじいさんの代まで、鴨猟で生計を立てていた家族が大変多い場所でもあります
 この地域では、昼間に鴨類を目撃することはほとんど出来ません。夜間に飛来します。でも、田んぼの乾田化を逆手にとって、多くの冬期湛水水田は、水を張った田んぼに米くずを撒いた、合法的に鴨を狩猟するための田んぼとして、利用されています。この猟法は、鴨を一網打尽に捕獲してしまいます。
 藤崎さんの近辺でも、印旛郡本埜村から白鳥群が、何度もなんども近辺まで渡来したそうですが、鴨やタシギを狙って鳴り響く鉄砲の音に怯えて寄りつけなかったとのことです。

6 関東地方の渡良瀬遊水池から、印旛沼周辺域までは、今も、利根川の中流域の台風や梅雨時に、真水による氾濫原です。
 江戸の中期に、東京湾に注いでいた利根川を、銚子へと流れを付け替えるまで、毎年の台風による大雨で、この地域は冠水を繰り返していました。 大方の農民は、農業を捨て、鴨場による猟への転換を行い、最盛期には、手賀沼周辺だけで、9ヶ所にも及ぶ鳥屋場があり、800家族以上が、鴨猟で生計を立てていたそうです。それが江戸時代には、1ヶ年に20万羽以上の鴨が捕獲され、都内江東区の両国に鴨の市場があり、江戸町民のお歳暮とは、手賀沼の鴨であったそうです。

7 この地域には、かって日本最大級の、雁・鴨・白鳥の越冬地であり、推定150万羽以上の各種雁・鴨・白鳥が越冬していたと推定されます。
 同時にタンチョウツル等も渡り鳥として、この周辺で越冬していた模様です。
 この光景は昭和10年頃までは、基本的に江戸時代と比較して変わらなかったと言われています。先代が鴨猟師であったという方に、何人もお会いできました。

8 いま、かって日本最大級の、50万羽と言われた「雁・鴨・白鳥」の越冬地であった、「利根川流域の氾濫源」のこの地域は、伊豆沼周辺と比較して、雁が80,000羽:1羽、白鳥が10,000羽に対して1,000羽、鴨は全域を合計しても50,000羽以下でしょう。

 農家の古老から、かって印旛沼は水面が見えないくらい多数の鴨が渡来していたが、最近はさっぱり姿を見せないで、空っぽだと寂しく言われました。
 なぜでしょう、単純な事で、砂漠地帯には水も餌もなく、水鳥たる鴨や雁は生息できないからです。原因の一つは、明らかに乾田化かと思えます。毎年冬の季節に乾田化によって田んぼの水がないことは、渡り鳥にとって餌がないという事に直結します。かっては、150万羽もの個体数を支えられてきた田んぼや湿地がほとんど餌場にならない状況だとしたら、これからがさらに心配となります。
 
9 この冬のシーズンに、印旛郡本埜村の白鳥群の朝の餌を絞って減らして頂きました。当初活発に周辺の田んぼ等に採餌に出かけた白鳥群も、12月半ばで餌を食べつくしてしまいました。印旛沼周辺域の田んぼは、ほぼ100%乾田化しております。さらに、90%は、稲の刈り取り後、直ちに耕起してしまっていました。特に本年は冷害によって2番穂に実が入っていないとかが重なっています。
 ここで、印旛沼、手賀沼等の鴨がどんどん少なくなって来ている原因が、田んぼの乾田化等によって、餌不足によって、北帰しても繁殖能力が低く、雛を育てられないが原因ではないかと推定されそうです。
 このままだと、後、数年で鴨の親の寿命を迎えて死に絶え、「沈黙の春」どころか「水辺の生き物のいない冬」を迎えそうです。

10 でも、皆様に、少しの朗報です。ようやっと安定した環境を発見できました。
 冬・水・田んぼ(冬期湛水水田)では、田んぼのイトミミズがいかに大切かの発見が、冬に水を張ることの有意義性を明確にしました。
 冬・水・田んぼの稲は、真っ白な状態で、かつ根の上の部分は真っ青で、みずみずしく生きています。この稲は、雁・鴨・白鳥、いずれも重要な食糧になるはずです。 これは、冬・水・田んぼ水田が拡がれば、雁・鴨・白鳥に対して無尽蔵に餌として供給されます。
生きた根っこ11 冬・水・田んぼは、雁・鴨・白鳥にとっても、周辺環境のも適応しながら生息の場として、間違いなく機能します。シギ類にとっては、イトミミズ、ユスリカの幼虫等、豊富な餌に恵まれ、同時に、冬の稲株の枯れた部分はタシギ等に貴重な隠れ場を提供しています。
 これから、春の内陸性シギ類の、ムナグロ等の渡来が期待されています。冬期湛水水田の拡大が出来れば、関東地方でも千葉県で、特に水辺の渡り鳥、特に雁・鴨・白鳥たシギ類の減少に歯止めが掛けられるのではないかと考えられます。
 これからの、雁・鴨・白鳥の大規模越冬地形成には、この部分からの地道な取り組みが最も大事な部分かと考えています。

千葉県の田んぼの一断面(2)2004年2月9日 9:03[satosympo]

2006-04-29 21:59:25 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
 年間で4ヶ月間しか、水を張らない農法の到達点は、アフリカのナビブ砂漠並みの環境と申し上げました。まさに、田んぼの畑化であり、畑に水を張る農法です。陸稲と言ってよろしいでしょう。すでに、ここのお米の味は、間違いなく陸稲の味だと、多古町の農業委員会の元会長であった、桜宮自然公園の所英亮さんは申します。
 でも、乾田化による農法は、兼業農家でもお米が取れる方法としての技術として、日本の農法の一つの到達点であることは確かでしょう。
 過重な労働から解放されたのでしょうが、同時につらい仕事は無くなったが、最も大事な、農家の英農上での楽しみも無くなったのではないでしょうか。
田んぼへの愛着心や農耕意欲の低下へのマイナス要素になっていないでしょうか。
 さらに、農家の公務員化は、どうしても、どんなに資金を投入しても自給率が上がらなかった、末期の旧ソ連のコルホーズ型経営組織を連想してしまいます。
 それは働く楽しみが得られないことに原因があります。地産地消とか、農家同士の知恵の競争原理が働かないからだと分析されています。
農業では特に最も大切な部分でしょう。
 でも、取りあえず、佐原市での実体験から申し上げます 
1 千葉県佐原市の周辺で、乾田化した田んぼで異常な事態が進行中です。
 それは、乾田化した田んぼが 
(1)田んぼが塩を吹き出しはじめた
(2)田んぼの土が、流砂となって移動する(道路等に堆積が始まってしまった)
 写真等鳥井報恩さん撮影
2 それよりも、何よりも、この異常事態に関して、田んぼの持ち主や行政を含めた、地域の方々の反応が鈍く、ここまで来ても、それらしい対応が取られていないことです。 この地域は、かって海の底であった場所だそうです。 千葉県全域、或いは日本中の太平洋岸で、乾田化による経過として乾燥化への時間経過で同じような事態に陥っているのではないかとも推察されます。
 どこの国でも、砂漠に水を注入する農法は、塩害を招いているようです

3 乾田化が、更に進んで田んぼ砂漠の状態となり、逆に、冬・水・田んぼ(冬期湛水水田)の所在が、砂漠の中の貴重なオアシスになってしまっています。
 オアシスには、水と餌を求めて、近隣の生き物が殺到してきます。
 当然そこでは、生き物同士が、多数集中し、過密化します。餌を巡って厳しい生存競争の場となってしまいます。狩猟する側の生き物も集まってきます 多くの渡り鳥たちにとっても文字通り、そこはオアシスではなく命を落とす墓場となってしまっています。
 このような生き物たちにつらい生存競争の、修羅場を演出してしまったのは、我々の世代の責任なのです。

4 佐原市の、冬期湛水水田で著名な、藤崎さんのたった2枚の田んぼ(2ha)に、タシギという越冬するジシギの種類が、80羽以上集中しています。またタゲリも10数羽います。
タシギほか
鳥井報恩さん撮影
 栄町の新海さんの田んぼにも、タシギとタゲリが多く、困ったことにハヤブサが2羽も定着し、タゲリ等が襲われていると報告されています。
 イタチやタヌキも多く集まり、藤崎さんの田んぼの畔には、イタチに血を吸われたコサギの死骸も目撃しました。
コサギ

無機化学農法→真の有機の科学農法へ2004年1月30日 0:30[satosympo]

2006-04-29 21:49:33 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
[satosympo] 里山の検証(2) 田んぼでの農法  田んぼで、冬・水・田んぼ(冬期湛水水田)でかつ、無農薬、無肥料で米が出来る。
しかも慣例農法とあまり変わらない成果を得られるとの話が、随所で語られだしています
 先日も、千葉県佐原市の農法研究家である岩澤さんと、そのパートナーで農家の藤原さんの田んぼの話が、佐渡のトキの話といっしょになって、NHKで放映され大きな話題となりました。 
 従来の近代農法は、化学肥料と農薬を多用し、同時に田んぼをほ場整備し、1年のうち約8ヶ月を乾田化する方式の農法で、効率化を旗印に邁進してきました。数百もあった日本の農法を、1本化しようという強い意志で、その中心がほ場整備と乾田化でした 
 しかし、冬・水・田んぼにするだけで、周りの環境ががらっと変わってしまったとの話を多く聞きます。 キーワードは、水、嫌気性菌、イトミミズ、サヤミドロと活発な光合成、大量の生き物の発生等、 肥料等のinputがゼロで、outputが大量となれば、田んぼがやせこけてしまうはずです。しかし実際には、その逆にどんどん状態が良くなって、収量も増え、冷害にも強い田んぼとなってきています。
  農家にとっては何よりも、毎日田んぼに出て、田んぼの状態を観察することが最も大事な仕事になります。ただぶらぶらしているようで、実は膨大な情報のinputが頭にされているわけです。これが楽しくて、楽しくて、お百姓さんの醍醐味だと、冬期湛水水田に昨年からチャレンジした、印旛郡栄町の新海さんは笑って言います。
  秋、稲刈りが終わったら直ちに、米ぬかを撒いて、水を張ります。
イトミミズが大量にわき出せば、地中深くから栄養分を吸い上げ、糞の形で田んぼの地底に、月数センチの勢いで吐き出します。このため、雑草は埋めこまれて芽を出せず抑草効果が期待できます。
 また、それを栄養分として、茶色の藻、サヤミドロが大量に発生し、浅い水たまりで太陽をあびて光合成を盛んに行い、過剰なほどの酸素を供給。同時に隠れ家が出来るために、メダカ等の稚魚が育って、また、どじょうやタニシ、などのほかに田んぼのただの虫など生き物が、わき出したプランクトンを餌にして、あるいは害虫を餌にするクモ類など、それぞれの役割を担って活性化します。 ヤゴやメダカ等もイトミミズやユスリカの幼虫(赤虫)等を餌にして多量に育ち、それぞれが代を重ねることで、その死骸等が有機物として、稲に吸収しやすい栄養分として蓄積されます。
 また、雁・鴨・白鳥等は、外部の湿地等で、水と一緒に飲み込んだ窒素・燐酸・カリ等を糞の形で田んぼに還元します。 
 田んぼは、緩速濾過と言って、サヤミドロ等の内部にて生き物が、雑菌等を食べ尽くし、砂等で濾過されて下流域へ流れます。田んぼ自体は超緩速濾過といって、ゆっくりと清水を下流域へ排出していきます。
 このような田んぼが地域に拡がっていけば、下流域の河川や湖沼の水質がよくなるでしょう。
 この生物濾過され、温かい水は生き物(鮭)にとっては、卵を生める水として、どこまでも田んぼの横まで遡上させる力を持っています。
 問題なのは、単純にinputが無くても、肥料分を田んぼの中で生き物たちが生産をする、と言うことになると、outputのお米が味が良くて、収量も確保できる、それを支援するのがお百姓さんの力、ただ、たくさんの知恵がいる仕事と言うことになります。
 この田んぼの中で、生き物たちが肥料等を生産するパワー、これが、生物生産指数(仮名称)です。 最近では、やれ、田んぼの中で発酵現象が起きているという考え方もあります。EM菌とか、海水の中の嫌気性菌を濃縮して使うと言う、嫌気性菌類の話題がよく上ります。
 河川、田んぼ周辺の獣の死体周辺に生じる菌とかを使ってぼかしを作るなどという話も出て来ています。
 まさに、何百もの農法が、地域ごとにあって、それらが一斉に動き出してきたと言うことかも知れません。農法も地産地消でもあります。
 従来の慣例農法では、無機物の化学物質を使うことで、はじめから最後まで人の介入が必要な仕組みとなります。
 しかし、有機物を使うと言うことは、生き物で生き物を管理するという事が大事になります。従って、どこまで人が介入した方がよいのか、悪いのかが微妙となってきます。
 また現象を観察し、現場で決めることが主役となりますので、まさに生き物との共生による農法となっていきます。
 全国の自立したお百姓さんの、営々とした研究と実践と、その客観的な価値判断を重ねて、同時に、日本が古来2500年の歴史を刻んできた農法と結びついて、力強く動き出しています。大地からの、現場からの力で、農法も、根底から変わっていくことになると思います。
 
定義: 
嫌気性菌類とは、酸素がなくても生存し、成長し、または適切に機能することができること。反対語は好気性。


日本の森林とおにぎりを比較すると、GDP的な発想は 2004年1月29日 21:57

2006-04-29 21:45:34 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
里山の検証の検証で、日本の森林行政に関係して、なぜこうなるの?(1)
 植樹して、30年から40年を経過した山武杉の、1本あたりの単価が100円から150円にしかならないと証言を各地で効いて衝撃を受けています。
 それも木材市場まで運搬費を負担して、原物を展示しての価格と聞いて、開いた口がふさがらない状態です。
 150円で買えるものの代表格はおにぎりです。おにぎりは、店頭販売の申し子であると同時に、代表的な高回転商品です1日に最低1回転はします。もちろんそれ以上になれば、賞味期限切れと言うこともあります。いま、アルバイトでも、おにぎりを1日に300ヶは握れます。
売価で言えば4万5千円。1ヶ月を20日としても90万円になります、年間で1,080万円。30年間として、32,400万円の売り上げ累積となります。
これと30年経過した山武杉が150円として、比較するとどうなるのでしょうか。
216万の1、となります。気の遠くなりそうな格差です。本当とは思えません。 30年から50年をかけて1回転という商品は、ほとんど例がありません。少なくとのパソコンの管理システムでは対象外でしょう。
 もっと端的に言えば、GDP(国内総生産)としての計算で、おにぎり産業は30年間で、2億円以上の売上げを計上でき、国や県から見れば、お米を作る農家や、肥料会社、おにぎりを製造する会社、その社員、運送するトラック会社、コンビニエンス等から所得税、住民税、源泉所得税等、至る所から税金を徴収できる仕組みになります。
 同時にGDP数値を高め、かつ景気を持ち上げる上で、結果として多大な貢献をすることになります。他方、200万分の1の貢献と評価された森林には、国として見向きもしたくなるのも、これだけ見ると理解できなくもありません。
 このレベルの木は、チップとしてしか利用されていません。従って日本の林業は、国際的な競争下では、この程度の価格でした市場が成立せず、山そのものが、価値を生み出せない不良債権のごとき状況に陥ることになったのでしょう。 千葉県の山武杉は、品質的な問題を抱えているから安いのかといいますと、宮城県でもほぼ同じ価格帯です。 
 しかし、よく考えるととても変です。
 まず、家庭の専従の主婦が、夕食としておにぎりを握ると、国には税収が減ることになります。同時に大企業がおにぎり産業を運営すると、いろいろな会社を経由して、たくさんの所得に転換していき税収が増えますが、町の総菜屋さんが作ると貢献度が落ち、家庭の主婦が作ると最低になります。国の施策として、家庭でおにぎりを作られては困る、お総菜屋でも困る。出来たら1部上場の会社がおにぎり産業に参入することが最善と言うことになります。
 さらに市民が、労働力を森林に投入されては、GDP的には困るということになります。
 GDP信仰というのは、こういった側面がありそうです。山の湿地や里海の干潟などは、それ自体が売上げを上げることはありません。従って、統計上GDPには貢献しません。
 田んぼのただの虫などは無価値と言うことになります。
 それだけでなく、国が中小企業に冷たいと言われるのも、税収という仕組み上、GDP貢献度が低いからと言う方もいます
 最近では、農水省が研究者に、冬期湛水水田や不耕起栽培等の研究にも待ったをかけているという根強い噂が流れています。肥料販売や農薬、空中散布、ほ場整備という国の事業展開に大きな影響を与えかねないという判断が生じているのでしょうか。それは、GDPに対極的な、生物生産指数(仮名)とも呼ぶべき現象のあることが、より明白になってきたからだと思います。

取手市、我孫子市境の古利根沼にも鮭が遡上 2004年1月21日 22:57[satosympo]

2006-04-29 21:40:17 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
 古利根沼は、利根川の勝手の三日月湖の一つ。取手市と言っても、利根川の我孫子市側の飛び地です。西、南側は一面の田んぼ、湧き水の流入もあるそうです。一帯は我孫子市の手で「我孫子ゆうゆう公園」として、整備中の箇所です。情報は我孫子市都市公園課からいただきました。ありがとうございました
○古利根沼に鮭が遡上しました。
「昨日、サケが古利根沼に来ているのを見たという情報を得た。言ってみたら100匹以上いたよ」というメールが5日に入ってきた。早速6日の土曜日に、古利根沼の東端で沼と利根川を結ぶ小堀放水路に、4人ほどのグループで見に行きました。ちゃんといました。
 沼まで遡上してしまってとまどっているもの、放水路でばしゃばしゃと産卵行動をしているもの、水路の段差をジャンプして乗り越えようとしてもまた流されて下へ戻ってしまうものなど、全体で20匹程度だったでしょうか、みんな傷だらけで痛々しい姿でしたが、やはりいました。しかし、折角産卵しても、汚れた水では酸素不足でふ化できないのではないかと心配です。沼の北側の取手市小堀の70歳位の地元の方の話では、「今まで見たことが無い」とのこと。
 12月8日の朝日新聞茨城版にはこの「古利根沼にサケ遡上」の記事が載せられていました。また、千葉日報によると「印西市の浦部川や栄町の水路でもサケが確認されてる」とのことです。これはいい知らせなのか。
古利根みどりのボランティアニユース 第40号古利根川の森みどりのボランティア運営会議(分析土子)

[satosympo] 生物濾過による清水に誘導されて鮭遡上の可能性 2004年1月19日

2006-04-29 21:38:05 | 里山に託す私たちの未来-再生策を探る
信州大学の応用生物科学科 中本信忠教授が提唱する「生物濾過できれいな水が生まれる緩速濾過システム」

緩速濾過による、おいしい水の話です。最近は生物濾過とも呼ばれだしています。
 田んぼの冬期湛水水田化には、環境配慮として大事な要素です. 琵琶湖周辺での積極的な採用が開始されようとしています。印旛沼周辺での冬・水・田んぼ(冬期湛水水田)導入への働き掛けには、雁・鴨・白鳥の越冬地形成と同時に、
印旛沼の水質改善への願いがより強く関わりとしてあります
 冬・水・田んぼ(冬期湛水水田)から流出する水の水質が、この方式による生物濾過された水との共通性が言われ出しています 別名、超緩速濾過(冬期湛水水田の底の砂地で濾過された水)
→ 性格上、時間がすごくかかるだろうとの意味あいから
 印旛郡栄町の新海さん田んぼの横まで、鮭が遡上してきた理由の一つは、この清水ではないかと考えられます
田んぼの生物濾過機能

 なお先生から私が、配布の許諾をいただいています. コピーフリーです。