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ピュリッツアー賞受賞作が描くアメリカの今 「フリック」

2016-10-28 11:26:10 | 日記
新国立劇場で「フリック」観てきました。2014年のピュリッツアー賞受賞作です。この賞 アメリカの今を描いた作品にあげられます。「フリック」は、そういう作品ということです。
舞台は、マサチューセッツ州の寂れた映画館。セットが面白い。舞台いっぱいに、映画館の客席のセット。つまり、客席に向かって、映画館の椅子が並んでいることになります。お分かりいただけますでしょうか。いまだ、フィルム上映しているのが売りの映画館。サム(菅原永二) 35歳の男 ローザ(ソニン) 20代中盤くらいの女 この2人が働いているところへ、エイヴ(木村了)という20歳の大学生が加わります。彼は、大学休学中です。いつしか、3人の間には、連帯感のようなものも生まれてきます。が、映画館が大手チェーンに身売りすることになり、新経営者が現れると、3人の関係にも変化が訪れます。実は、この3人 「ディナーマネー」と称して売上をごまかしていました。それが、新経営者にばれてしまったのです。新経営者は、エイヴの単独犯と断定し、彼だけ解雇します。エイヴ 当然仲間の2人がかばってくれるものと思いましたが、期待は裏切られます。それどころか、ローザは「あんたは、ここを辞めても食べていける。でも、あたしやサムは、そうはいかない」と、エイヴが辞めれば、すべては丸くおさまると言わんばかり。
ここまで書いても なぜこれが「ピュリッツアー賞」なのか、お分かりにならない方もいると思います。実は、この登場人物 エイヴが黒人で、サムとローザは白人。立場が、逆転しているのです。さらに言えば、ローザは奨学金の返済に苦しんでいるし、サムは実家の屋根裏住まい。若年の低所得問題も描かれているわけです。ここまで書けば、受賞した理由が、お分かり頂けると思います。お芝居観終わった後、私の頭には、佳境を迎えている大統領選が浮かびました。「トランプ旋風」が、なかなか止まなかったのは、こういうアメリカの実態も、大きく影響していたのでしょう。


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