イエローのラブラドール、その名もラブ君は、もう1匹のミックス犬とともに軽トラの荷台に乗せられて河川敷にやってきては、年配の飼い主さんがゴルフの練習をするそばを、つかず離れずしながら自由時間を楽しむのが日課でした。
ラブ君はまだ5歳くらいだったと思います。彼がまだひょろこい幼犬のときから会っているので、うちの3頭にしたら、張り合う必要のない年下の友人といったところでした。
昨年中は皮膚病に罹り、頬や四肢の関節部分に赤黒い肌を露出させた、かなり悲惨な状態のラブ君を見かけましたが(河川敷に生息していた皮膚病のたぬきから移されたらしいと飼い主さんは言っていたけど、ホントは何だかわかりません)、皮膚病が完治したあとは、散歩の時間帯がずれていたせいか、頻繁に会うことはありませんでした。
今朝久し振りにラブ君の家の軽トラが河川敷にやってきたので、荷台の檻を覗き込んだところ、ミックス犬の姿しかありません。ラブ君の所在を尋ねると、「ラブは死んじゃったんですよ」と思いもかけぬ返答がありました。
昨年末、食欲がなくなり、体調不良のようなので獣医さんに連れて行くと、腸捻転を起こしており、緊急手術が必要なほど切迫した状態だったそうで、すぐに手術をしたのだけど間に合わなかったといいます。紐状の物がついたプラスチック片を飲み込んでいて、それがラブ君の命取りになったのでした。
吹き荒ぶ北風のせいか、泣き出すのを我慢していたのか、年配の飼い主の息子さんであろう若いお兄さんが鼻を赤くしながら「今でもラブの見上げる顔を思い出す」といったときには、思わずもらい泣きしてしまいました。だって、飼い主に向ける犬の眼差しが、どれほど温かいものであるかは百も承知だし、5歳で逝くなんてまだ若過ぎるもの。
中・大型犬に限らないけど、犬がうっかり異物を飲み込んでしまうことは、比較的よくあることです。
トチは1歳9カ月のとき、穴が開いたゴムボールをうっかり飲み込んでしまったことがありました。穴が開いていたので、くわえているうちにぺしゃんこになるのに、壊れたわけじゃないのでそれで遊ばせていたのです。
投げてやったのに持ってこない。「探せ」とか「持ってこい」と言っても、トチはキョロキョロするばかり。思わずゴクリとやってしまった自覚がなかったようで、一生懸命周囲を探していました。投げたはずのボールがどこを探しても見つからなかったので「もしや」と思い、獣医さんへ。
悪い予感は的中しました。レントゲン写真には、半月型のボールがしっかり胃の中に収まっているのが写っていました。食塩水を飲ませるなど、いろいろ試みたけれど吐き出さなかったので、開腹手術と相成りました。
上の写真は、トチの抜糸後の傷痕の写真です。術後は絶食に始まり、食事の管理が大変でしたが(何しろ食い意地が張ってますから!)、ラブ君のことを考えると、誤飲でトチが命を落とさずに済んだことは本当に幸いでした。
昨日は『奇跡のいぬ』グレーシーの最期を読んで泣き、今日は朝からラブ君の訃報で泣き、毎日泣きっぱなしだわ。