今月上旬、時代小説家の赤木駿介さんが送ってくれた『リトル・トリー』。昨年師走、赤木さんにお会いした際「いい本だよ、面白いよ。読んだことある?」と聞かれた本でした。私が読んでいないことを知って、取り寄せて送ってくれたのですが、『ゲド戦記』を読み直していたので、すぐに読み出さずにいました。
著者はフォレスト・カーター。「リトル・トリー」とは祖父から授けられた彼のインディアンネーム。フォレストがチェロキー族の血を引く祖父母(祖母は完全なチェロキー族)のもとで過ごした幼少期の体験をもとに描かれた作品で、発行は1976年。
アメリカで初版が発行されたときには広く書評に取り上げられ、賞賛を浴びたといいます。第1回ABBY賞(アメリカ書籍販売業者連盟の年間推薦図書)受賞作品です。日本では普及版がめるくまーるから発行され、定価1,000円+税。
まだ3分の1も読み終わっていませんが、インディアンの精神世界や自然を敬慕する姿にすっかり魅了され、わくわくしながら読んでいます。
リトル・トリーの祖父が「いつの世も馬鹿がいて、もめごとを引き起こすしか能のない言葉をせっせとでっちあげているのだ」と嘆くくだりを読んで、不用意発言を連発する自民党議員の姿を思い浮かべ、笑ってしまいました。
単純な仕掛けの落とし穴に、いとも簡単にはまってしまう七面鳥を見ながら、祖父が言いました。「七面鳥はどこか人間に似てるな。こいつら、なんでも知ってるつもりになって、自分のまわりになにがあるか、ろくに見ようともせん。いつも頭をおっ立ててふんぞりかえってるから、なにもわからずじまいになっちまうんじゃな」。
痛いとこ突くなぁ、お祖父さん。思わず首を縮込めてしまいましたよ。