北海道は、戦中戦後を通じて、日本の基幹産業ともいうべき石炭の一大産地で、日本のエネルギー基地でした。その他の鉱物も多く、資源豊かな島でもありました。
当時の北海道が、エネルギー及び食料の両面から、戦争で疲弊した日本の早期復興のための大きな力になったことは、間違いありません。
およそ50年以上前のことで、その後の急激な円高と、エネルギー源の原油シフトの波で、これらの産業は急速に衰退しました。
天然資源が国を潤すのは、サウジアラビアなどの産油国を見れば、一目瞭然です。ノルウェー人の友人に、なぜノルウェーが、EUに加盟していないか聞くと、北海油田があり産油国なので豊かなため、との答えでした。
ところが、資源国イコール豊かかというと、ボリビアなどの南米、鉱物資源の豊富なアフリカ諸国は必ずしも豊かと言えません。せっかくの大切な資源も、欧米鉱物メジャーに、タダ同然で持っていかれるためです。
さて、北海道に話を戻すと、21世紀に入り、また東日本大震災以降は特に、エネルギーの中心が、太陽光発電、風力発電などの、自然エネルギーに急速にシフトしてきています。
北海道は、これらの自然由来のエネルギーの適地で、おそらく21世紀後半から22世紀にかけては、再び、確実に日本最大のエネルギー基地となるでしょう。
日照時間の比較的長い北海道は、太陽光発電に適した広大な敷地を有し、既に多くの大規模発電事業者が、膨大な太陽電池を設置しています。
風力発電に関しても、日本の風力発電適地の半分が北海道の海岸部分にあり、こちらは現在、多くの大規模発電が計画されています。
今後は、CO2削減の目標もあり、火力発電が縮小されるばかりでなく、自動車もガソリンから電気に代わることで、自然エネルギーによる発電にとっては、非常に大きな追い風になっています。あとは、北海道と本州を結ぶ大型送電線網の整備だけです。
電力の大消費地である首都圏などは、福島及び新潟からの原子力発電による電力供給が見込めず、いずれ北海道からの電力に頼ることになります。
要するに北海道は、20世紀半ばまで、日本のエネルギー基地でしたが、21世紀半ばから、再び、日本のエネルギー基地となります。
それでは近々、あるいは22世紀にかけて、例えば、ノルウェーのような豊かな北海道になるでしょうか・・・? これは、実は単純な話ではありません。
多くの産油国のように、石油収入により国を潤すか、南米、アフリカの資源国のようにほとんど‘タダ’で、大切な資源が持っていかれて貧しい国のままになるか微妙なところです。
まずは、地方政府(ここでは北海道庁と各市町村)が声を大にして、「太陽光も風も‘北海道の資源’である」ということを、世間に認めさせること、そのうえで、津軽海峡を渡る電力に課金することです。
石油輸出機構(OPEC)が、欧米石油メジャーに対して、原油の対価を払わせたのと同様なことが出来るかどうかにかかっています。
今まさに、本州の大規模発電事業者が、北海道の太陽光と風を自由に使って、発電を始めています。その土地はもちろん、借地も含めて正規の手続きを踏んで使用していることと思います。
太陽光発電と風力発電は、石炭産業と違い雇用はほとんど生まれないので、このままだと直接的なメリットは少ないと、言わざるを得ません。
こういう場合の関連法規など予備知識が全くない素人ですが、発電事業者と早期の交渉をすることと、地方政府の努力で法整備など、北海道にお金が落ちる仕組みを作り出すことが重要です。
ポイントは、太陽光と風が、石油や石炭などと同様に資源として、その利用権が認められるかどうかです。表題の、「太陽光と風は誰のものなのか?」の答えは、「そこに住んでいる人たちのもの」です。
「十勝の活性化を考える会」会員F