先日、NHKテレビの北海道道“苦悩するアイヌの人びと”を放映していた。このテレビを見ていて、次のように思った。
テレビでも同じことを言っていたが、自分のルーツとか自分は何者であろうかと誰しも思う時がある。自分もルーツを調べたことがあるが途中でやめた。やめた理由は資料や時間等に限界があり、また人類には何万年もの歴史があり、ルーツ調べにはキリがないからである。
テレビに出ていたアイヌの人は、自分がアイヌであることを20歳まで知らなかったという。そしてお祖母さんも、自分がアイヌであることを一切、他人に語らなかったという。
その理由は、アイヌであることを知られたら、差別を受けたからではないかという。一方、“アイヌであることに誇りを持つこと”も大切と語っていたが、私もそのとおりだと思っている。
私は来月、帯広駅前にある十勝プラザで、「十勝アイヌ」(〜日本人の成り立ち~)と題して講演を行う予定であるが、その理由は母方の両親は北東北出身なので、私にはアイヌの血が流れている可能性が高いからである。
私はアイヌ民族に興味があるので、菅原進著 “アイヌ語から分かる日本史物語”や篠田謙一著 “日本人になった祖先たち”など、アイヌに関する本をたくさん読んできた。
それで分かってきたことは、縄文人(≒アイヌ)が日本人としての始まりであり、朝鮮半島等からきた渡来系弥生人との間で混血を繰り返しながら現在に至っているということである。
そして、アイヌと呼ばれる前は“エミシ”と呼ばれており、西暦801年、坂上田村麻呂が征夷大将軍に任命され、“蝦夷(エミシ)征討”を行なっている。
当時の日本の北限の地域は宮城県辺りまでであったので、北東北や北海道は辺境の地(外地)であって、人びとに認知されていなかったのである。北海道ではその名残で、本州にことを“内地”という場合がある。
一般に“アイヌ語文化圏”は、北海道のほか東北6県と新潟県までであり、アイヌは広い範囲に生活していたことが分かる。なお、エミシは、 “モンゴル遊牧民の末裔“だったという学者もいる。
グローバル資本主義で人間の存在感が失われようとする時、自分に誇りを持つことは大切である。また、歴史を遡ることは難しいことであるが、同化政策などの意味のない差別を生んだ日本の歴史を変えることになるのではないかと思っている。
「十勝の活性化を考える会」会長
注) アイヌ語
アイヌ語は、日本列島関東以北に居住するアイヌ民族(アイヌ)の言語である。
話者は、アイヌ民族の主たる居住地域である北海道、樺太、千島列島に分布していたが、現在ではアイヌの移住に伴い日本の他の地方(主に首都圏)にも拡散している。言語学では「孤立した言語」である。国際連合教育科学文化機関によって、2009年2月に「極めて深刻[4]」な消滅の危機にあると分類された、危機に瀕する言語である[5][6]。危険な状況にある日本の8言語のうち唯一最悪の「極めて深刻」に分類された。
地理的に近い位置で話され、古くから互いに経済的、文化的な交流があったにも関わらず、大和民族の日本語との間には、語彙の借用を除いてそれほど共通点が見いだせない。アイヌ語の系統や語族に関しては、学術的に確実なことはいえない状況であり、孤立した言語である。
北海道以北のアイヌの民には、強力な支配者や中央政府が存在しなかったため、標準語・中央語のようなものは無く、地方によって多くの方言がある。
(出典:『ウィキペディア(Wikipedia)より抜粋』)