「凶悪」

２０１３年　邦画
山田孝之　主演

監督は白石和彌
ノンフィクション小説の映画化である。

殺人罪で死刑判決を受けた須藤純二が、ある雑誌編集部に
「話していない余罪が３件ある。それには木村という男が絡んでいるが
のうのうと生きているのが許せない、全部話すから記事にしてくれ。」と依頼する。

証拠は何もない、死体も出なければ証言もない。
編集者藤井修一は、調べていくうちにその犯罪にとりつかれたようになってしまう。

絶対に記事にしたい、その執念で木村を追い詰める。

その様子が淡々と描かれている映画だが、
その実際に起きた凶悪な犯罪が、観る者に身近な恐怖を与える。




編集者藤井修一が山田孝之なんだけど
この映画を見るまでは、先入観で山田孝之が犯罪者役だと思ってた・・。
実際、凶悪事件にとりつかれていく様をみると、ほんとはこっちが犯罪者なんじゃないかと思えてきた。
興味がある、の範囲を超えていて、
家庭には認知症の母親とその介護に疲れた妻がいるのに
まったく家庭を省みず、ついには妻に離婚届を差し出されてしまう。

そしてそのことも藤井には事件を追いかけるのをやめる理由にはならなかった。

何が藤井を駆り立てるのか、
藤井にも答えは出ていない。

須藤純二はピエール瀧、木村はリリー・フランキーと俳優陣も素晴らしく
ノンフィクションに凄みを与えている。